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にしても、この短時間で、リラとソラの言語理解がめちゃくちゃ進んでいる。
最初は平仮名が殆どだったが、難しい言葉も話せる(正確には念話)ようになっていた。
特にリラは、本人も言った通り、地球で私と一緒に過ごした時間がソラよりも長く、もう殆ど人間と同じくらいの読解力と言っても申し分無いし、ソラはまだ拙いけれど、すぐにでもリラに追いつきそうだ。成長速度が凄まじい。
やっぱり異世界だし、種族とかも関係ありそう。
そんな事を考えつつ周囲を見回すと、どうやら出発してからそこそこの距離を歩いていたらしく、景色が少し変わってきた。
先程まで植物の色は緑系統が多く、慧眼で視たクラルー草の青紫が所々に生えている、という感じだったが、赤やピンク、黄色と言った暖色系も増えている。
取り敢えず今聞いておきたい事は聞けたし、この世界のことが少しずつ分かってきたので、そろそろ魔法とスキルの練習をしていこうかな。
慧眼はリラとソラと話している間にも使っていたので、段々と使い方が分かってきた。
最初から最高レベルではあったものの、そもそも使ったことが無いので、兎に角色んな植物を視ており、そのお陰か、二冊の図鑑が出来上がっていた。慧眼で得た知識を全部頭で記憶出来るわけではないのでどうしようか考えていたところ、ノートへ自分で書くように記録しておこうと思い付き、視て頭の中に入ってきたものを、そのままノートに写すという技も覚え(因みにリラ曰く慧眼と創造の複合技らしい)、丸々ノート二冊分を作り植物図鑑にした。
植物を写真としても読み取れたので、かなりの力作だ。そのうちモンスター図鑑みたいなものも作っておきたいよね。
今の所、生き物らしいものには出逢っておらず、生態系とか襲われる危険性とか、全然分からないけど、今後旅をするには把握しておいた方が良いな。
あとは、もう一つのスキルの創造も使えるようになりたい。
絶対便利だと思うから。
魔法の練習は開けた場所でやりたいなぁ。
『あ、ねぇね、広い場所だよ!』
ボンヤリとそんな風に考えていると、ソラから声をかけられた。
「広い場所……お、良い感じの場所だね!」
そこは程よく広い平地に、植物が囲むように生い茂っており、森からの良い目隠しになっているが、少し先に進めば更に広く開けた場所がある。水の音が聞こえるのでその方向へ行くと、今のサイズのリラとソラでも安全に入れそうな小川があり、浅い池のような水溜りもある。
「この川、もしかして湧き水が流れている?」
『うん。あの山のお水だよ。』
『この水綺麗だよ!ほら、川の底にキラキラの石があるでしょ?』
ソラに言われて覗き込んでみると、確かに反射してキラキラと輝く石が幾つも転がっている。
「本当だ。この石が何かあるの?」
『あの石は、元々向こうの山にあった魔石だよ。魔物が死んでしまった後に出てくる石が魔石で、あの山は大きな湖があるから水属性を持つ魔物が多くて、その魔石が流れて小さくなって、川の底に溜まってきているんだけど、水属性の魔石は浄化する効果もあるの。』
『属性によって、色んな効果があるよ!』
「そうなんだ。」
これはメモしておかないとだね。
すくってみると、透明度が高く濁りが無く、見た目はかなり綺麗だ。湧き水の上更に不純物とかも浄化されているのだろう。
生き物の足跡と思しきものもあるので、かなりの好立地では?