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『人間は魔力を測定する道具を使っているし、基準値についてはあまり深く考えなくていいかも。ただ、実際はこういうものがあるって、知識として覚えておいて。』
「うん、分かった。」
「承知した。しかし、あまり人前でこの話はしない方が良いだろうな。魔力に関する研究がもう少し進んでから広まるなら問題無いだろうが、目立つようなことは避けよう。」
『その方が良いと思う。それで、あの子達についてだけど、多分私とソラの子どもだからこっちに来たのかもしれない。私とソラは元々地球の理から外れている存在であるにも関わらず子ども達を産んだ。魔力も多少受け継いでいるし、あの子達も私とソラに近い存在になったんだと思う。ただ、あの子達は地球で生まれ育ったから、パグのままでこっちに来たんだろうね。』
「成程、確かにそうだね。あの子達は2つの世界の理を持っている事になる。」
『リラとソラが元はこの世界の住人であるが故に、こちらの世界の方が適用されたのだろう。それこそ女神の思し召しだ。』
『白虎の言う通り、かもね。』
まだ憶測の域ではあるものの、白虎もリラの話に同意しているなら、恐らくその通りなのだと思う。
アスターは異世界に関する研究もしている。だから度々向こうの世界の話をしていた。まあ、私だって全てを知っているわけではないし、あくまでも私が見聞きして体感した範囲でしかないけどね。リラとソラからの視点でも話を聞いていたから、もしかしたら2匹の子ども達に関する話は、アスターの方が理解できるかもしれない。
フローラにはまだ早かった話みたいだけど、ちゃんと白虎が噛み砕いて説明して理解したようだ。えらいねぇ。
でも、普段は元気いっぱいなソラが、ずっと静かだ。たまに反応していたから理解はできているみたいだけど、どうかしたのだろうか?
『ソラ、大丈夫?』
『……うん、大丈夫!』
いつもは元気いっぱいな、そんなソラの様子が違う。真剣に聞いているだけじゃない、何かがある。リラも何かを抱えているみたいだけど、ソラはリラと違う、別の何かだ。
普段どちらも楽しそうに過ごしているが、抱えているものは相当大きなものである事に変わりはない。私が向こうの世界でどんな風に生きていたか知っている分、ずっと気遣ってくれていた事は知っている。感謝しきれないほど、2匹には助けられている。
それなのに、私は何もしてあげられない。
私には、何ができる?
「これからどうするんだ?」
アスターの言葉に、思考が引き戻される。そうだ、今はあの子達についても考えないと。
『私は、子ども達と一緒にいたい。』
『僕も!』
リラとソラの希望は、想定通りだった。私だって、一緒にいたい。
「……アスター、リラとソラの希望もあるし、私も、あの子達と一緒にいたい。お願いします、このままあの子達を引き取らせて。」
私は必死になって頭を下げた。
一気にパグが5匹も増えるのだ。それに、健康状態に問題はなかったとは言え、実際にどこまでパグのままなのか、魔力以外に何か変化があるのか、何も分かっていない。そもそも犬という生きものすら、この世界に存在していないようだった。それでも、あの子達だって、家族だから。




