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次の日の朝。
目が覚めるとやけに暖かく、私の両サイドにはリラとソラが、私の上にはフローラが乗っていた。
起きようと思って右手を動かそうとしても、何かに掴まれている感覚がする。
「……アスター?」
昨日は確か、この世界の情勢やアスターの家――つまりはミュゲラム家――の話をしていて、……うわぁ、やっちゃった?
私は子供か。恥ずかしすぎる。
「あのまま泣き疲れて寝ちゃったのね。」
「部屋に運んだら、手を掴まれたままだったからそのままにしたんだ。」
「うわっ!アスター、起きてたの?」
「ああ、少し前にな。」
そんな爽やかな良い笑顔とイケボでおはよう、なんて言わないでください。
よく分からないけど誰か助けて。
「……取り敢えず、皆んな起こそうか。その状態じゃユリシアは身動き取れないだろう?」
「あ、はい、お願いします。」
アスターが皆んなを起こしそれぞれ目を覚ますと、真っ先に私を心配し出した。
1階に降りると白虎が来ており、リラからの伝達で私を心配して訪ねてくれたそうだ。なんとお優しいことか。
「皆んなありがとう。ご心配をおかけしました。」
『ねぇねは溜め込みやすいし相談とか苦手なのは知っているから、これからは勝手に念話で引き摺り出すからね。それが嫌なら、少しずつで良いから話してね。』
……リラちゃん、少しアスターに似てきた気がする。
白虎がたまには娘と一緒にいよう、と言うので、白虎も交えて休息日にしようとソラからの提案でゆっくりすることにした。
そういえば、こっちに来てからこんなにゆっくりした事なんて無いかもしれない。何かしらの行動はしていたからね。
会話ものんびりとしたものだった。どんな国で暮らしていたという話から、花の話をした。この世界と通ずるものに何があるか考えたのだけど、花が真っ先に思いついたから。
それから、白虎とフローラが楽しそうに親子の時間を過ごしている間、リラとソラにルルーと沢山遊んだ。ルルーとは触れ合う機会が少ないので、思いっきり可愛がったら何故かアスターが拗ねていた。すごく大人な男性だと思っていたから、なんだかちょっと可愛らしい。
1日のんびり過ごして就寝する前、アスターとリラから今後もこういう1日を過ごす機会は定期的に作ろうと言われた。
多分、私の事を思っての提案なんだろうな。
「皆んな、いつもありがとう。」




