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10/19 ストーリーの追記を行いました。
このページの最後のシーンがちょっとうまく纏まらなかったので、時間差になりましたが無事書けました。
今めっちゃ考えていたんだけど。リラとソラは思考読めるから別として、アスターは何をそんなに驚いているの。
『ねぇね、また口に出してたよ!』
「あら、そうなの。」
しばしの沈黙の後、アスターがため息と共にリラに問いかけた。
「リラ、ユリシアが今まで生きていた世界では、こちらとは理が違うんだったよな。」
『うん。君主制は他国にはあるけど、ねぇねの住んでいた国は違うよ。貴族制度は歴史上確かにあったし現代でも残っている国はあったね。』
「基本は他国の制度のようだな。」
「うん。でも、私の住んでいた国も昔はそういう制度があったみたいだし、意外とそんなに変わらないかもよ。」
「成程。一応説明すると、ルピナス共和国以外……つまり君主制の3カ国だな。この3カ国には貴族制度があり、それぞれ王家、大公家、皇家を除き、共通した5つの爵位で分けられている。上から公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵だ。各国の序列では若干逆転している場合があるが、基本的には序列もこの順番になっている。ミュゲラム家は公爵で序列は第1位、つまり王家の次だな。」
「思っていた通りじゃない……。」
うん、知っている爵位だし順番も一緒、私の知識と差はないみたい。にしてもアスターは本当に位の高い位置にいる家門の出だったのね。分かっていたけど。
「とは言っても、俺は次男だし後継者は既に兄で決定している。弟も居るし長兄のサポート役もこなせていたからな。俺は外からサポートしている。」
「そうなんだ。だからアスターは旅を続けているのね?」
「そうだな。研究や冒険家も続けているが、他国を渡り歩き調査も兼ねている。自由にさせてもらっている代わりに与えられた俺の役割だな。」
「成程、そういうことだったのね。」
アスターはただ自由に旅をしているだけでなく、国の中枢であり王家を支えているミュゲラム家の一員としてもきちんと役割を全うしているのね。
私は、その邪魔をしているのではないだろうか――。
『シアねぇ、だいじょうぶ。』
「……フローラ?」
私の思考を読み取ったのか、フローラはニー、とひと鳴きすると真剣な目で言った。
『シアねぇがいなかったら、フローラはここにいないの。アスターとルルーだって、であえなかったかもしれないよ。シアねぇがこっちに帰ってきてくれたから、みんなとあえたんだよ。』
「私が、帰ってきたから……。」
「そうだな、ユリシアが帰ってきてくれなかったら、俺もルルーもこんなに楽しい旅はしていない。」
ぐいっと腕を引かれ、何かにぶつかる。聞こえてきた心音に、アスターに抱きしめられていると気がついた。リラとソラ、フローラはアスターと私の膝の上に乗り、ルルーは窓から顔を覗かせていた。
「俺は、ユリシアが別の世界に生まれたことも、この世界に帰ってきたことも、意味がある事だと思っている。」
「意味が、あること……。」
「ああ。ユリシア、自由に生きていいんだ。自由に旅をしてこの世界を知って、ユリシアのやりたい事をゆっくり見つけていけばいい。」
今まで、よく頑張ったな。
アスターの優しい笑顔とその言葉に、私の涙腺は崩壊し、感情が爆発した。




