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『フローラいいな。』
『ねぇねぼくも!』
「今はフローラの番よ。順番ね。」
『はーい。』
『僕たちはフローラのねぇねとにぃにだもんね!』
「そうだね、リラとソラはフローラのねぇねとにぃにだねぇ。」
うちの子皆んな可愛い。めっちゃいい子。
……アスターさん、呆れたような顔してこっち見ないで。
「神の御使いと神獣のきょうだいか……。」
「アスター、深く考えないで。」
「あ、ハイ。」
フローラを思う存分堪能した後いつもの定位置へ降ろすと、いつの間にパグの姿になったのか、リラとソラが抱っこしてと甘えてきた。
「一緒には抱っこ出来ないの。リラは先にアスターに抱っこしてもらう?」
『うん。アスターだっこ!』
『じゃあぼくはねぇねだっこ!』
パグの姿になると、どうやら知能もパグの状態に合わせて変わるらしい。随分と幼くなっていてこれもまた可愛らしい。
私はソラを抱き上げ、二匹はそれぞれ存分に甘える。どうやらアスターもこの姿を気に入ったのか、リラを抱っこしつつ撫でたりと甘やかしていた。
『アスターおろして。ねぇねがいい。』
「やはり俺よりもユリシアか……。』
……アスターさん、うちの子がごめんね?
『ぼくはアスターのだっこもすきだよ!』
「そうか、ありがとう。」
ソラにそう言われたことが嬉しかったのか、アスターは微笑んでいた。
リラとソラをそれぞれ降ろして、私はリラを抱き上げた。
こちらの世界に来てからは、リラは最初の方こそ拙いお喋りだったが、あっという間にしっかりした(というより元に戻った?)のだ。ソラは多分元々の性格と喋り方のままのような気がする。まあ、そもそも地球にいた頃は、こんな風にはっきりとした言葉を交わすことなんてできなかったけれどね。
存分にパグの姿を堪能した後、暫くしてリラとソラは黒狼の姿に戻った。
『アスター、公都ってどんなところ?』
『女神さまとリラと一緒に行ったことある気がするけど、何百年も前じゃなかったっけ?』
あ、百年単位なんだね。……この子達って、どのくらい生きているのかな。
何百年、とソラが言うくらいなので、一千年単位はいってそう。
でも、公都がどんなところなのか、確かに気になる。
都ってことは、人は多そうでガーベラ公国の中では一番栄えているのかな?
「何百年も前なら、当時と全然違うだろうな。ガーベラ公国の中心地で最も栄えている場所だ。かなり広くて人も多く、大公宮殿もある。貴族のタウンハウスなんかもあるぞ。」
「そうなんだ、賑やかそうだね。大公宮殿……つまりはガーベラ公国は大公家が治めている公国?タウンハウスっていうことは、貴族はそれぞれ領地を持っていて、領地の方に本邸がある?ルピナス共和国は別かな、貴族制度は各国共通だとすると、あ、でも君主制だけどそれぞれ違うから貴族制度も違う可能性も……。」
『ねぇねの頭脳フル回転中だね!』
『ねぇね落ち着いて。』
「ユリシア、一旦待て。」
「え、何皆んなどうしたの?」