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「次はどこへ行こうかな?」
村を出てから魔物を狩ったり訓練したりと色々しながら暫く歩き、また森の中へ突入した。
「そうだな、折角なら公都に行ってみるか。」
「こうと……?」
そういえば、索敵でマッピングもやっているけれど、国名とか地名とかわからない。唯一分かっているのは私がこの世界に転移して暫く過ごしていたイルリスの森だけだ。
「ソラ、ユリシアの索敵はマッピングもあるよな?」
『あるよー!ねぇねのマッピング完璧だと思う!』
索敵でマップを出しアスターに見せると、そういうことか、と呟いていた。
「リラ、君達はどこまで地名を知っている?イルリスの森はきちんと書いてある、各国の名前くらいは教えてあるのだろう?」
『ううん、私たちはそもそも国とかそういう概念はないよ。イルリスの森は特別な場所だから教えてあるだけ。』
「そこから違うのか……。」
『でもそっか、人間なら知っておかないといけないんだね。」
「そうだな。国や村の名前は把握しておいた方がいい。ユリシアだけでなくリラとソラもな。この先もユリシアと共にいるのであれば必要な知識だ。」
リラとソラが素直にはーい、と返事をすると、少し遅れて顔を出したフローラもはーい?と言った。
アスターはそんなフローラが可笑しかったのか、クスッと笑うと撫でて偉いな、と柔らかい笑みを見せる。微笑ましい。
そこそこ開けた場所に出てきたので、今日はここで休むことになった。コテージを出し一休みしたところで、アスターが以前も見せてくれた地図を広げた。
「まずここがイルリスの森だ。これは皆分かるな。ユリシア達が過ごしていた場所は大体この辺りだ。」
私達が居たのはイルリスの森の中心地で、アスターは南側から来たらしい。
「イルリスの森はこの大陸の中心地にあり、別名は中立の森と呼ばれる。この森では国同士の一切の争いが禁じられているからだ。この森を囲むように、大きく分けて4つの国がある。イルリスの森から見て南西部の国がゼラニウム王国で俺の出身地でもある。北西部がガーベラ公国、北東部がルピナス共和国、南東部がフリージア皇国だ。ルピナス共和国はいくつかの小国が集まっている国で他国と少々異なる政治を行なっている。」
「成程。ルピナス共和国が少し違っていて、私が本来生まれるべきだった国もゼラニウム王国だったのね。」
「その通りだ。それから、この大陸の西側には、北から南にかけていくつかの小さな島が集まったカスミ諸島というものがある。ちなみに諸島は通じているか?」
「大丈夫、通じる。」
「それなら良かった。こんな感じで、この世界には大きく分けて4つの国と、どこの国にも属さない森と諸島がある。先日訪れた村はミノウ村だ。村の名前はその都度教えよう。」
「分かった。」
マッピングにも書いておこう。今後は村の名前とかも付け足していかないとだね。




