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「アスターには世話になってね。色んな素材をこの村に持ってきてくれたから、武具の制作も捗って商品も増え、ここには他国からも訪れる人が特に多いんだ。その結果、かつては寂れていたこの村に活気が出たのさ。この村の住人と外の人々を繋ぐ、そういう村に生まれ変わって領主様も治安維持に努めてくれているから、人々が過ごしやすい良い村だよ。」
「そうだったのですか。とても素敵なお話ですね。」
経済の循環が人々へ活気をもたらし、内外問わずプラスになる。
とても良い関係性で、結果的に国にも良い影響を与えた。
素直な感想を言うと、店主さんに頭を撫でられた。
懐かしくて擽ったいような、そんな気分になった。
「それにしても、種類が随分と豊富になったな。」
「アスターのおかげさ。他国から伝わったものが流通するようになったし、元々生産していたものも改良できるようになったんだ。ゼラニウム王国には劣るが、この国では一番流通量が多くて栄えるようになった村だろうな。」
「納得した。折角なら、いくつか武器と防具を見繕ってもらおうか。」
「うん!」
「任せてくれ。お嬢さんの武器は弓かい?」
「一応弓を使っていますが、投擲でダガーを使う方が多いです。直接物を投げる方が命中率が良いみたいで。」
「成程なぁ。確かに、そういう戦い方をする奴は珍しいが、パーティ内で魔導師系や後方支援系で活躍する者であれば、その戦い方をするのは一定数いるから、投擲向けの武器も揃えてあるよ。防具はそうだな、グローブはどうだい?」
「グローブか。」
「他の装備は素材も仕上がりも申し分無い、そのままで十分だからね。弓を使う時用と、それ以外で使う用で見てみよう。」
「ありがとうございます。」
「利き手は右かい?」
「はい、そうです。」
「はいよ。いくつか選んでみよう。」
じっくり見つめず、さっと見ただけで提案される。私が女性ということも配慮してくれたのかな、流石プロの方だね。
「俺は防具と剣の修繕を頼む。」
「そうだな、そろそろ直した方が良い時期のようだね。今日このまま預かれば、明日の朝には出来上がっているよ。」
「分かった、そしたらこのまま頼む。明日取りに来よう。」
アスターは小手と鎧を外し、大剣と共に預けた。アスターの鎧って、どちらかというと胸当てっぽい。
「小手と鎧はミスリル製か、良い装備だなぁ。胴体は別装備か。」
「大剣を扱う分、身軽にした結果だ。」
「成程なぁ、良い選択だ。」
そういうことだったのね。納得した。
アスターの防具と大剣を最初にお店にいた若い男性が出てきて受け取り、そのまま奥の方へ行った。
店主さんは投擲向けの武器とグローブをそれぞれ数種類取り出した。
武器は私の持つダガーと同じくらいの大きさ形の刃物に、円形で持ち手がついている物、装置と小さな槍の3種類。グローブは全て革製で、弓を扱う用で人差し指と中指も覆う形状とセットで小手のような物を2種類に、指が全て出ており手首までのものを3種類用意してくれた。