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「特別な場所?何か理由があるの?」
『ねぇねがこの世界で過ごしていろんな事を知って、大丈夫だと思った時に話してあげる。アスターも、その時ユリシアの側にいる覚悟があるならいいよ。』
「覚悟、どう言う事だ……?」
『今はまだ教えられない、とだけ言っておくね。』
「そうなの、分かったわ。」
すごく大事な事なのかな。リラなりに私達に話せるか見極めているのかもしれない。
それならリラの言う通りにしておこう。
『リラー!布選ばないのー?』
『今行く。』
トコトコと歩いてソラとフローラのところへ行き、リラも布選びを再開した。
「リラは地球にいた頃からあんな感じなのか?」
「うちにいた他の子と違っていたのは確かにそうね。」
「そうなのか。」
「うん。リラは一番早くうちに来た子なの。ソラは後から迎えて二匹の間に子供が産まれた。リラはお母さんでもあったし一番歳上だったから、ソラよりもしっかりした子ではあったよ。」
ソラとフローラと一緒に、ふみふみしながら布を選ぶリラは、いつも通りになっていた。
「あの子はソラとは違う、何か大きなものを抱えている。ソラは戦う為の力、リラは護る為の力を持っていて、それぞれ役割が異なっている。ソラは最前に立ってリラは後方で護りを固める、っていう構図になりがちだけど、何か意味がある気がする。」
私の発言を理解するのに少々時間がかかっているのか、アスターは考え込んだ。
「……確かに、ユリシアの言う通りだな。」
アスターが私の発言をどう解釈したか分からないけど、いつもの優しい笑顔をこちらに向けてぽんぽんを頭を撫でた。
大丈夫だ、と言われた気がした。
「布選び、いっしょにやるか。」
「うん。」
『ねぇねこっち来て布一緒に選ぼう!』
『アスターも一緒に選んで。』
「ああ。」
「折角ならそこの窓開けてルルーも見えるようにしよう!」
ということで、仲良くみんなで布選び。
悩みに悩んだ末、最初にフローラが選んでいたふわふわで暖かそうな布、リラが選んだ肌触りの良い布、ソラが選んだ機能性抜群でしっかりした布を、それぞれリボンと同じ色にすることにした。
今回は創造で作るけど、そのうちミシンとか買って自分の手で作ってみるのもいいね。裁縫はそこそこできる方だし。
この世界にミシンがあるかどうかは謎だけど。
アスターは高貴な身分の出自だろうし、見たことないってあり得そう。