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愛犬達と異世界放浪旅  作者: 咲藤 ユキ


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14

 次の日、早速支度をして、いざ出陣!

と、気合を入れていたところに、めちゃくちゃ笑顔なアスターが言った。


「今日は初めてだし、俺とリラとソラはユリシアに付いて行く。但し、口出しもしないし手助けも一切しない。フローラはユリシアと一緒に行くこと。ルルーも移動手段としてユリシアと一緒に行って良いが、現場に着いたらリラとソラと一緒に大人しくしているようにな。」


「……はい。」


 この笑顔のアスターには逆らっちゃいけないと、ここ数日で学んだ私は大人しく返事をした。


 倒した事がある魔物だし、数も少ない。提案されたクエストの中では難易度が低いって何となく分かったけど、それでも怖いものは怖い。


「フローラ、頑張ろうね。」


「シアねぇ、大丈夫だよ!フローラもがんばる!」


「ありがとうっ……!」


 なんて良い子なの!やる気出たわ。


「ルルー、魔物に遭遇するまで、いつも通りフローラを乗せてあげてね。」


『分かりました。』


 出発し、ポイント地点まで索敵(サーチ)を使いながら歩く。人の立ち入りはあるのか、スムーズに進めた。


 木の影から確認して、うん、まずはここだ。

初クエストはすでに倒した事がある、小型の兎の魔物だ。


「この辺りだね。……3体いる。」


『シアねぇ、フローラがやる!』


「そう?じゃあ私がまず2体やるから、残りの1体をお願いね。」


『はーい!』


 まず、小さな雷を魔物の周りに落として牽制し動きを止める。そしたら水の玉を飛ばし、頭を覆って窒息させ倒し、風で運んで回収して終了。


「こんな所かな。」


 折角なので魔法オンリーで倒してみた。後ろが何やら騒がしいけど一旦無視だ。


「フローラ、やってみよっか。」


『はーい!』


 良いお返事!


 白虎は風を司る神獣だ。その娘であるフローラも一緒である。

 なので風魔法使うのかなー、とワクワクしながら見守る……つもりだった。


『いってきまーす!』


「いってらっしゃい……え?」


 反射的にいってらっしゃいとは言ったけど……?

フローラはダッと勢い良く駆け出し、そのまま爪で魔物の喉を切り裂いた。


『うわーん!シアねぇごめんなさーい!』


 何事?

取り敢えず辺りを警戒しつつフローラに駆け寄ると、ぎゅうっとしがみついてきた。


「フローラ、どうしたの?」


 そのまま抱き上げ目を合わせてみると、瞳を潤ませごめんなさい、と呟いた。


『あのね、うさぎさんをちょっとぱんちしようとしただけなの。そしたらね、つめ出したままだったのわすれてて、くび切っちゃった……。』


 子どもだけど、やっぱりそこは神獣だからか、フローラはちょっとのつもりでも、兎の首は切り裂ける程の強さを持っているらしい。


「大丈夫、素材も魔石も回収出来るから。フローラ、よく頑張ったね。」


 うちは褒めて伸ばす方針である。

フローラを撫でながらめいいっぱい褒めると、泣きそうだったフローラも笑顔になっていた。


「よし、あと2体探しに行こっか!」


『うん!フローラ自分であるく!』


「分かった。」


 フローラを地面に下ろし、再びサーチを使いながら進むと、今度は開けた場所に2匹が固まって居た。

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