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さて、アスターに「またレアアイテムをお持ちで……。」と驚かれつつコテージを仕舞って、出発だ。
以前作った乗り物は流石にアスターに見せるわけにはいかないので、リラに乗せてもらうことにした。
何とこの子達、自由に大きさを変えられるので、私を乗せてくれることになったのだ。
アスターが馬のルルーに乗っているから、同じようにする為である。
「目的地はあるのか?」
「特に無いけど、先ずはこの森から一番近い村に行こうかなと思っているの。」
「成程、それはいいだろう。ユリシアの身分証も作れるはずだから、道中で色々説明しつつ向かってみよう。」
ゆっくりと歩き始めながら、アスターと最初の目的地を決めた。
「あ、魔物発見。」
『僕がやる!』
少し遠くに魔物の気配があり、ソラが一目散に駆け出し一撃で仕留めた。
ソラはこんなに血気盛んだったっけ……。もっと甘えたで、あ、でもおもちゃとかでよく遊んでたか。
「魔物は素材になって売れるから回収しておこう。」
「分かった。」
アスターからの助言でソラが仕留めた魔物に近づき、バッグで回収した。
「見事なものだ。無駄な傷無く仕留めているから高値で取引できるだろう。」
「そうなんだ。」
それはいい情報だね。今まで狩った魔物もあるし、資金調達できそう。
ソラが周囲に気を配り、リラが私達の防御をする。私はソラとリラの援護が暫くの役割だ。
「急いでもいないし、折角だからゆっくり景色でも観ながら行こう。」
「そうね。」
私がコテージを持っているので、野宿になる事は無い。そういう意味では、サバイバル経験皆無の私にコテージは有難いアイテムだ。
因みに、リラとソラは元々お家犬だったけど、それはあくまで地球にいた頃の話で、帰還した今ではリラ曰く大体何処でも生きられるらしい。
だから野宿サバイバルもどうということはないそうだ。
ただ、お家でぬくぬくしたいので、野宿はあまりしたくないみたい。
家があるっていいね。
暫く進むと、開けた場所に出た。見覚えのある印は私がこの世界へ来た時に居た位置で、移動する時に付けておいたものだった。
「これは何かの印か?」
アスターの疑問に答えると、「よく生き延びられたな。」と感心された。うん、私もそう思う。リラとソラが居なかったら今頃こうして生きてはいないでしょうね。
サーチで確認すると、拠点にしていた位置と村までの距離感としては、この場所は元拠点からそう離れてはいない。それでも植物の様子が違うと言うことは、生態系の境界があるのだろう。
「アスター、採取しながら進んでもいい?」
「ああ、構わない。この辺りもまだまだ人間は立ち入らないから問題無いさ。」
「そうなのね。ありがとう。」