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一部ルビを追加しました。

スッとフードを取ると、髪色が変化していく。本来の色なのか、雪景色のような銀色をしている。


「自己紹介もせず、突然押しかけてすまなかった。俺はアスター・ミュゲラム、年齢は24、職業……今は冒険者エクスプローラーで気ままに旅をしている。アスターと呼んでもらって構わない。よろしく。」


「私はユリシア、20歳です。ユリシアもしくはシアとお呼びください。よろしくお願いします。」


「20歳か、もっと下に見えたな。」


「うーん、よく言われたことがありましたね。」


アスターとは4歳離れているのか。正直、自分が年相応に見えないことは地球でよくあることだったので慣れているが、アスターはとても落ち着いており、もう少し年上かと思っていた。


「言葉に気を遣わなくて良い。」


「いきなりそういうわけにはいかないかと思いますが……。」


流石に年上だし、何となく身分が良さそうなので敬語を外すのはどうかと狼狽(うろた)えていると、優しく微笑まれた。


「構わないさ。逆に気を遣われてもな。」


「……分かった。」


この世界に来たから初めて出会った人間だ。この森は探索で色々と歩き回ったがめちゃくちゃ広くて、結局人間には一度も遭遇しなかったのだ。


冒険者、か……。私も旅をするとなると同じ職業になるのかな?


「ところで、ユリシアは此処に住んでいるのか?」


「そうね、今はそういうことになるけど、近いうちに旅に出ようと考えていたの。だからそれまでの拠点にしていたっていう感じかな。」


「そうか。それにしては立派な建物だな。しかもこの様式は見た事がない。」


「私の故郷にあった様式なの。」


「成程な。それなら理解できるが。地球からの回帰者……。ちきゅう、という場所は聞いたこともないし、実際に地図にも無い。異なる世界があるのでは無いかと俺は考えている。元々そういう研究をしたいが為に旅を始めたのでな。」


まさかと思い、慧眼を使うと、予想通りだった。

この人も慧眼持ちでレベルも私と同じ10だ。しかも私はまだ使い慣れていないから隠すこともできず、ステータスもほぼ見えてしまった事だろう。


「そうだったの。」


やっぱり、分かってしまったということは、アスターに対してはもう誤魔化しようが無い。


「私はこの世界とは異なる世界……地球にある日本という国で、成人していて親元を離れて一人で暮らしていた。ある日目が覚めたら実家で飼っていたこの子達と一緒にこの森にいて。私が居た世界では魔法なんて存在しなかったから、混乱したの。いつの間にか森で眠っていたなんて思わなかった。それからはこの子達と一緒に、此処を拠点にしてしばらく生活して、そろそろ旅にでも出ようかと相談していたのよ。」


「まさか、本当に異なる世界が存在するとは、面白いな。旅は楽しいから良いと思うし、良ければ一緒に行かないか?」


「一緒、に……。」


そう、私の懸念点は、異世界に来たからこその無知なのだ。アスターが一緒なら心強いことだろう。その考えは皆んなも同じなのか、『良いと思う。』と意見が一致していた。

出会ったばかりなので不安はあるものの、悪い人ではなさそうというのは慧眼で伝わったので、良いかもしれない。


「分かった、一緒に行こう。この世界についてはうちのリラとソラ、それから白虎から色々教えてもらっているけれど、人間として生きていく上で必要なことは流石に教えてもらうのは難しくて。アスターが一緒なら心強いから。」


「白虎殿が一緒とは、本当に規格外だな。俺にも利点はあるし、何より一人より楽しそうだからな。」


「そうね、寂しくは無いし楽しそう。」


こうして、出会ったばかりだけど、アスターが仲間になってくれた。


「それじゃあ、先ずはこの子達も紹介しないとね。元々はあちらの世界の私の実家に居た、パグという犬だったのだけど、こちらの世界の本来の姿に戻っているの。黒狼族のリラとソラよ。リボンの色がピンクで女の子がリラ、水色で男の子がソラだよ。」


『よろしく、アスター。』


『にぃによろしくね!』


「よろしく……今のは何だ?」


「……え、もしかして念話出来てる?」


『あのね、私たちの意識共有は、実は魔力が一定以上あれば誰でも繋げられるんだけど、私たちの意思でできるの。だから私たちから繋げないと出来ないよ。同時に繋げることも出来るよ。』


『ねぇねとは早くお話ししたくて、こっちに帰還した瞬間に繋げちゃった!』


「そういう能力だったのね。」


「また一つ驚きだな。」


つまり、主導権はリラとソラ側にあるってことね。


「それから、四神の一角の白虎とその娘……って、アスターの方が詳しそうね。」


「恐らくな。」


『よろしく。』


『よろしくね!』


「娘の方は、フローラって言うの。私達の旅に一緒に行くことになっているわ。」


「成程、普通は絶対有り得んことなのだが、よろしくな。」


それはそうでしょうね、この世界の住人としては、まさか四神がいるなんて思わないだろう。

フローラが怖がっていないから、アスターは安全認定なんだろうな。

少々キリが悪い場所になってしまいましたが、今年の更新はこれにて終了となります。

初めての作品投稿にも関わらず、たくさんの方にお読みいただきとても嬉しく思います。

次回の更新は年明け2025年1月5日を予定しております。

完結を目指して今後も更新を頑張っていきますので、来年もどうぞよろしくお願いいたします。

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