表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/66

25

一部ルビを追加しました。(本文の内容は変更ありません。)

明け方。


『ねぇね、起きて。誰か近くにいる。』


「ん……。誰だろう?」


『ソラが今玄関で確認してる。ドアを開けて。』


「分かった。リラは此処でフローラを見てて。」


リラに起こされて目が覚める。まだ陽が登り始めたばかりで、普段はまだ夢の中にいる時間だった。


取り敢えずサッと着替えて念の為ローブを羽織り、下へ降りるとソラと白虎が玄関前に居た。


「遅くなってごめんね。」


『構わぬよ。娘はまだ眠っているようだな。』


「ええ。リラに託して来た。」


『ねぇね、人間の気配だよ。悪い感じはしないけど気を付けて。』


「分かった。」


この世界で初めて会う事になる人間だ。実はかなり怖い。


「リラの結界も抜けられたのね。」


窓から少し見えたが、馬に乗っているようだ。

人間自体は足元しか見えないが、武装はそこそこしっかりしているように感じた。


コンコンッ


玄関をノックされる。


ソラと白虎に下がるよう念話で伝えて、ドアを開けた。


「……はい。」


「こんな所に人が住んでいるとは思わなかったな。」


私からしたらとても長身の男性だ。180近くはありそう。更に大剣を背負っており、体格も良いと伺える。

フードの隙間から見えた髪色はダークブラウンで、深海のような綺麗な青い瞳だった。


「あの、何か御用でしょうか?」


久しぶりの人間との会話なので、めちゃくちゃ緊張している。怖い、逃げ出したい……。


精一杯の笑顔で対応するも、考えが伝わったのか、苦笑いされた。


「すまない、怖がらせるつもりはなかったんだ。ただ、この森は誰も居ない筈なのに家があった事に驚いてな。」


「そうですか。」


今度は穏やかに微笑み、頭を下げられる。

何だろう。


「すまないが、馬をここで暫く休ませたい。君は何もしなくて良いのだが、構わないだろうか?」


長時間の乗馬だったのかな。それくらいなら大丈夫だろう。ソラやリラが特に警戒もせず大丈夫と言っている。


「それくらいでしたら大丈夫ですよ。こちらへどうぞ。」


外へ案内し、馬を繋いでもらう。その間に水とおやつ代わりに果物と野菜を数種類用意した。馬もかなりの大きさで、地球に居た頃には見た事が無い気がする。体格良い人が乗るから馬も大きいんだろうね。


「宜しければ、こちらもどうぞ。この子が食べられそうな物があるといいのだけど。」


「ああ、ありがとう。とても助かる。何でも食べられるから、ここへ置いてもらえるか?」


「分かりました。」


示された場所に置き、馬に声をかける。もしかしたら通じるかもしれないからね。


「どうぞ、ゆっくり休んでいってね。」


『ありがとうございます。』


とても丁寧で、落ち着いた声色でお礼を念話で返してくれた。通じるんだね。


「……此奴(こいつ)がこんなに落ち着いて、しかも懐いているようなそぶりを見せるとは珍しいな。」


「そうなのですか?とても良い子ですよ。」


「……そうか。」


何やら難しそうな表情をしている男性の奥で、ソラと白虎も同じような顔をしている。

……何かまずいことをしちゃったかな。


一先ずどうぞ、と男性をコテージに案内する。何か目的があってこの辺りに来たのかもしれないけど、どうなんだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ