表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/66

21

一部ルビを追加しました。(本文の内容は変更ありません。)

リラとソラは、地球にいた頃人間の年齢に換算すると五十歳前後だった。今はもう年齢換算は難しくて出来ないだろう。なにせ女神の御使いって言われているみたいだし。ただ、向こうよりは若くなっている気がする。


子猫と子犬の(たわむ)れはただひたすら可愛く、急遽作ったボールを投げてやると必死に追いかけている。


『時にユリシアよ、これからどうするのだ?』


「そうね、今はリラとソラから色々と教わっているけれど、その先は何も決まっていないかな。このまま此処で暮らせるならそれでも良いけど、折角ならこの世界を巡ってみるのも良いかもね。」


『其方にとっては帰って来たとは言え、未知の世界だからな。旅するのも良かろう。』


「貴方もそう思う?未知の世界って、怖いけど憧れがあったの。折角なら楽しみたいもの。」


『ねぇねには、私たちが生きてきたこの世界をたくさん知ってほしいな。』


あら、リラはお話聞いていたのね。


『もう地球に戻ることはできないけど、ねぇねはこの世界、きっと気にいるよ。』


何故だろう、リラがそう言うなら、きっとそうだって確信が持てる。


……うん、決めた。

暫くはこの辺りでトレーニングを兼ねて探索をして、頃合いを見て世界中を旅してみよう。


「そっか、それは楽しみだね。」


ソラにも伝わったのか、私に飛びつき『ねぇねと色んなところに行きたいと思ってた!』と言った。


 そう言えば、この子達と出掛けるなんて、地球じゃ出来なかったもんね。近所の散歩くらいだったから。


『ユリシア、旅に出ると決めたのか。』


「うん。」


『そうか。ならば旅に出る時は娘も共に行かせてはくれぬか?』


「え?良いの?」


『娘はまだ何も知らぬ。これも何かの縁であろう。我も時折会いに行くのでな。』


 何かの縁、確かにその通りだ。

元々この世界で暮らしていたら、白虎に出逢う、なんて中々無いんじゃないかな。あくまでも推測でしかないけど。


「分かった。ただ、私はまだこの世界に来たばかりでもう暫くはこの森で過ごすから、旅に出るのはもう少し先だよ。」


『構わぬよ。我等も暫くは娘の教育があるのでな。』


白虎はそう言うと、ポンッと一つの耳飾りを出した。白虎の瞳と同じ神秘的な色の石が嵌め込まれ、ブレスレットと良く似た装飾が施されている。


『我の加護を込めてある。これでいつでも我と連絡が取れるから、身につけておくとよかろう。無論助けが欲しい時も応えよう。』


「ありがとう。」


 また凄い物貰ったなあ。


さて、今後の予定も決まったので、先ずはこの森をしっかり探索して、魔法の使い方をマスターして、色々スキルアップしよう。

自分の身は自分で守れるくらいにはなりたい。


白虎も時折来てこの世界のことを色々教えてくれるらしいので、お言葉に甘えてお願いした。


地球に居た頃なんて、旅してみようって考えたことなかった。

同じ事の繰り返しで何も無い、つまらない日々に訪れた、突然の非日常は、まだこの世界に来て数日の私に、久々に「楽しい」って思わせてくれた。


多少の不安はあるけれど、心強い味方もいるし、この世界で過ごすこれからが益々楽しみになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ