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一部ルビを追加しました。(本文の内容は変更ありません。)
リラならしっかりした子だし、託しても問題無いだろう。それに、向こうに居た頃はソラと過ごした時間は、リラに比べて半年以上も少ないのだ。二匹一緒でも良いけど、ソラとも楽しく遊んだりしたい。
外で本日の収穫を片付け暫く遊んでいると、不意にソラがコテージの方を見た。
『あ、ねぇね、リラが出てきたよ。』
「白虎が起きたのかな?」
それにしては焦っている気がする。
ダッシュで私の足元へ駆け寄ると、慌てた様子でリラが話し出した。
『ねぇね、ソラ、白虎が来たの。子どもが居なくなったから魔力を辿って探しに来たみたい。人間が居るって言ったら会わせろって言ってる。』
「分かった、一先ず家に戻りましょう。」
急いで家に入ると、先程助けた白虎の子どもより、遙かに大きい白虎が居た。私達……いや、私を警戒している様子だ。
『白虎、久しぶり!ソラだよ!』
『そうか、其方がソラだったか。リラから聞いたが、其方らは“ちきゅう”に行ったとな?それで、それが迎えに行ったと言うニンゲンか。』
威圧感が尋常じゃない。
恐怖は感じているけれど、……あのモフモフ良いなぁ。
目線を合わせる為に跪き、頭を下げた。
「初めまして、ユリシアと申します。此方の世界の名前です。お話の通り、私は元々“地球”と言う星……此処とは別の世界で生きていました。」
『そうか。……確かに、変わった“色”を持っているな。頭を上げよ。』
「失礼します。」
頭を上げ、白虎と視線を合わせる。青にも見えるような深緑に淡い緑の縁。
不思議な色の瞳だ。
『瞳も変わった色だ。この世界のニンゲンには殆ど居ないな。』
「私の髪も瞳も、此方の世界に来てから変化しました。元は黒髪にダークブラウンの瞳です。元の世界でも、今の私の様な瞳の色は希少でした。」
『ふむ、やはり其方は特異な存在だな。』
成程、私はこの世界でも異質なのね。恐らく私がこちらの世界ではなく、地球で生まれたことも関係していそう。
「申し訳ありません、私は此方の世界に来てからあまり日も経っておらず、人間を見かけておりませんので、此方の世界に住む人々がどのようなお姿なのか全く知らないので、私がどのように特異なのかは分かりかねます。」
『構わぬよ。それと、そんなに畏まらなくてよい。この子を助けてくれたのだから、我等白虎の友として、仲良くしてくれぬか?』
「光栄です。それでは遠慮なく。」
良かった、どうやら警戒を解いてくれたようだ。
白虎と話しているとモゾモゾと毛布が動き出し、ぴょこっと小さな白虎の子どもが顔を見せた。
おめめぱっちりで、しっかり起きたと判断できる。
『あっぱぱー!』
うわあぁぁ可愛い!
と思わず心の中で荒ぶってしまった。表に出さなかった私を褒めたい。
『思ったより元気そうだ。まだ礼を言ってなかったな、娘を治療してくれて感謝する。』
『えっと、助けてくれてありがと!』
「どういたしまして。元気になって良かった。」
お父さんに倣ってお嬢様もお礼を言ってくれた。もふもふ親子可愛い。
早速リラ達と仲良くなったようで、楽しそうに遊んでいる。