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一部ルビの追加と、漢字からひらがなに変更しました。(本文の内容は変更ありません。)
「よし、そろそろ動こうかな。でもどうしよう、私サバイバルなんて出来ないなぁ。魔法はある程度使えるようになったけど……。」
物理的な攻撃方法とか、狩りの仕方なんて何にもない。武器になりそうなものは昨日作ったナイフくらいだ。
『僕達は噛み付いたり足で蹴ったり出来るけど、ねぇねは何もないね!』
ソラくん、今度ねぇねと一緒に言葉のお勉強しましょうね。
『ソラ、そんな言い方しちゃダメだよ。そもそもねぇねは人間で私達とは種族が違うから、闘い方も違うんだよ。それに私達はもう殆ど力も戻ってきたから、多分ねぇねよりも強くなってると思う。』
リラちゃん、本当にありがとう。
まさかのフォローに感動したけど、確かにこの子達の言う通りで。
昨日こちらへ来て直ぐに確認したステータスの時点で、既にこの子達の方が何倍も強い事が分かっている。
「リラの言う通りね。でも私も攻撃方法は幾つか覚えて出来るようにならないと。」
流石に、この子達に任せきりは宜しくない。
「何が良いかな。」
『僕達の攻撃にねぇねが巻き込まれちゃうと大変だよね。』
『人間の攻撃方法はあんまり分からないね。』
「そうだよね。そしたら、弓とか銃とかの遠距離攻撃が良いのかな?」
一先ずは弓と銃と投擲用のダガーを作った。なんて言うか、自分で思い浮かべて作るから、全部ゲームに出てきそうなデザインになってしまった。うん、全く同じでも似せてもいないし、あくまでも出てきそうっていうだけだからよしとしよう。
弓は小さめで遠距離というよりかは中距離で射つイメージ、銃は実物を見たことも触ったこともないから、完全にドラマとか映像で観たものを想像して作って、ダガーは最初に作ったナイフの完全上位互換という位置付けだ。
「作ってみたものの、私が扱えるかの問題ね。」
そう、肝心な問題はそこなのだ。これも練習するしかない。
『ねぇねの創造すごいね!武器もすっごくカッコいいよ!』
「本当?ありがとう。」
ソラが目を輝かせながら褒めてくれる。嬉しいねぇ。
でも使えるかどうかもテストしないとだね。
「んー、じゃあ今日の予定は、これから暫くは武器の練習で、休憩して、少しだけ探索しようか。暗くなり始めたら帰って来ようね。」
『うん。』
『はーい!』
一日の予定も決まったので、昨日覚えた水魔法の応用で氷の的を作り、練習スタート。
『あ、そうだ、ねぇね、これあげる。』
リラが何やらリング状のキラキラとしたものを、ソラは恐らくショルダーバッグであろうものをそれぞれ両前脚で抱えており、渡してきた。君達二足歩行も出来るようになったのね?もう驚かないよ。
「リラ、ソラ、ありがとう。これは……バングル?でもとっても素敵な銀細工ね。こっちは革製のショルダーバッグかな?しっかりした造りで壊れにくそう。」
『どっちも女神さまからの贈り物だよ。ねぇねが寝た後に渡されたの。』
『これはね、魔道具って言うんだよ!』
『この銀細工は魔法を使う時に助けてくれるよ。魔力の強さを調整したり、ねぇねの魔力で身体を強化出来るよ。身につけるだけでいいの。』
『しかも、大きさ自動調整機能付き!』
「そうなんだ、凄いね!」
魔法という力に慣れていない私にとって、一番欲しいものかもしれないね。
折角貰ったので早速腕に通すと、手首に丁度いい大きさへ変化した。
「わっ、小さくなった!サイズ感バッチリね。」
『あとね、このバッグは亜空間に繋がっていて、時間が止まっているから何でも入れられるよ。バッグの蓋を開けて、コテージに向けてみて。』
「亜空間……?よく分からないけどやってみるね。」
リラの言う通りにバッグを開けてコテージに向けると、シュルッとバッグに吸い込まれて一瞬で消えてしまった。
「とんでもない代物ね……。」
『取り出す時は、出したい場所に向けてバッグを開けておいて、取り出すものを思い浮かべれば出てくるよ。』
「分かった。」
先程までコテージがあった場所の方にバッグを開いた状態で向けてコテージを思い浮かべると、仕舞った時と同じように、あっという間に元の状態で出て来た。一応中に入ってみると、何かが動いた様子もなく、本当に元の状態のまま戻ったようだった。
「凄いね、時間も止まってるなんて、本当に便利!」
これなら食糧の保管も楽になるね。万が一ライフラインが止まっても、予め準備しておけば何とかなりそう。