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そう言えば、当たり前のように地球にあった電化製品とか水道とか設置したけど、使えるのだろうか。
『ねぇね、あれれいぞうこでしょ!あっちのお家にもあったやつ!』
『でもちょっと小さいね。』
「うん、向こうのお家にあったやつとは違うけど、冷蔵庫だよ。私と君達しか居ないから小さくて良いかなって。キッチンとお風呂の方は危ないから、勝手に入っちゃダメだからね。」
『はーい。』
『わかった!』
うん、良いお返事!
『でもねぇね、これどうやって使うの?』
「それはねぇねも疑問なの。地球では電気で動いていたからね。」
そう、問題はそこなのだ。動かないのでは意味の無いただのガラクタになってしまう。
どうしようか悩んでいたが、ものは試しだ、手始めに洗濯機のスイッチを押してみたが、何も反応せず。まあそうだよね、と納得していると、リラがキョトンとした表情で、さも当たり前かのように呟いた。
『魔法で動かせないの?』
「そっか、その手があったね!」
リラちゃん、私より頭良いのでは?
何より魔法の練習にもなるし、使えるようになれば便利になる。
と、その前に、いい加減この服着替えたい。
今の格好は、部屋着にしているモコモコのピンクのパーカーにお揃いのパンツ、それとインナーにはTシャツに下着、足元はいつも使っていたスリッパ。
確かお風呂に入った後にこの格好になったから、多分そのあとそのままの格好で転移したのだろう。
自然の中を歩いて来たし、色々ボロボロなので、切実に着替えたい。出来ればお風呂に入り直したいくらいだ。それに、この格好では流石に防御力低すぎて、魔法の練習をするにも危険だ。というかよくこの格好で此処に到着するまで無事だったね。小さな傷一つ無いのだけど。
「先に着替えた方がいいね。」
『ねぇね、創造でお洋服作ってみたら?』
『いいね!スキルの練習もできる!』
「あ、そっか、作ればいいのね。」
ということで、レッツトライ。
「んー、この世界はどんな服装なのか分からないし、魔法の練習するのに万が一を考えて、防御力がある服装が良いな……。でも重いと動きづらいから動き易さも考慮しないと。あと寒さ対策で羽織れるものと靴!」
ブツブツと呟きながら、頭の中でざっくりと必要なものを思い浮かべる。取り敢えず細かいディテールは実物を出してからでいい。
「創造!」
ポンポンと装備達が出てきて、目の前に広げた状態で置かれていき、靴まで出たところで止まったので上から並べ直した。
ブラウスとパンツは替えも含めて三セット、探索や魔法の練習時に着る革製の防具もどきのセットアップをこれも三セット、羽織りにローブを作りこちらは二着、靴は防具代わりにニーハイブーツを二足、グローブを二セット、その他インナー類を同じ数出した。シンプル過ぎてもつまらないので、ある程度デザイン性のあるものにした。
あまり色々作りすぎても荷物になってしまうので、一旦此処までにしておこう。
今直ぐに着ないものはそれぞれ片付けて、着替えて外に出て先程のコテージの先にある広場へ出た。