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フィルムカメラにまつわるストーリーその4

作者: ユニトール

ユマは普段、派遣先で事務の仕事をしているごく普通の女性だが、

週末は鮮やかで時にはシック色調と独特なスタイルのコスプレイヤーに変身する。

彼女の趣味は、日常とは別の世界への扉を開く魔法のようなものだった。


一方、マクミはフィルムカメラで風景写真を趣味にする平凡なサラリーマン。

彼はいつも中判カメラを抱え、自然の美しさを捉えるために山々や海を巡っていた。

ある日、カメラ仲間の友人がコスプレの魅力について話をしてくれた。

友人はコスプレイベントでコスプレイヤーさんを撮影している。

彼のスマホに保存されているコスプレ画像にマクミは好奇心を抱いた。


一か月後、大きな会場でのコスプレイベントにマクミは友人と参加した。

マクミの撮影機材は35mmの手巻き式の古い一眼レフカメラ。


友人は「コスプレはアニメやゲームのキャラクターに扮したレイヤーさんがポーズやアクションをするので高速連射が可能なデジタル一眼であることと多灯ストロボでいかにレイヤーさんをキラキラと盛るかがポイントになる、また、こんな風に撮れてますよとレイヤーさんに液晶を見せながらコミュニケーションを取ることも大事。それにフィルムで一コマ一コマ撮影してたら後ろで並んで撮影待ちしている他のカメラさんもいるから」と友人はマクミの機材に少しあきれていた。


撮影が始まったがマクミはゲームもアニメの知識も乏しくコスプレイヤーさんが扮するキャラクターのイメージに合う撮影もコミュニケーションも取れない。

2時間後、マクミは着物を個性的に着こなす女性のレイヤーさんを見かけ彼女のオリジナルコスプレに魅了される。マクミは撮影してもいいでしょうかと声をかけフィルムカメラを取り出した。

ユマは、私もミラーレス一眼レフカメラで撮影しますけど、

このカメラはフィルムカメラですか?、フィルムカメラで撮影してもらうのは初めてです。

撮影はなごやかに進んだ。

これがマクミとユマの出会いだった。


更に一か月後、ユマは祖父の形見として古い一眼レフカメラを家族から受け取った。

このカメラのメーカーはもう存在せず、その技術は現代のミラーレス一眼レフデジタルカメラに受け継がれていた。偶然にも、それはユマの愛用しているカメラと同じ技術の末裔だった。

「このカメラ、本当にまだ使えるのかしら?」と、ユマは考えた。

彼女は、その疑問を解決するために、コスプレ撮影会でフィルムカメラで撮影していたマクミに

連絡を取った。マクミは興味を持ってその古いカメラでユマを撮影することを提案した。

撮影の場所は、ユマのお気に入りである明治時代の洋館。その建物は海を背にしており、歴史を感じさせる優雅な雰囲気があった。ユマは、特別なコスプレ衣装を選び、洋館の風格に合うように心を込めて準備した。撮影当日、マクミはカメラを慎重に扱いながら、ユマの美しい姿を捉えた。

シャッターが切られるたびに、ユマは祖父の記憶とつながっているような感覚に包まれた。

海の風が彼女の衣装を優しく揺らし、洋館の古い壁が時代を超えた物語を語りかけるようだった。

撮影が終わり、マクミがフィルムを現像した写真を見せた時、ユマは息をのんだ。

写真はノスタルジックでありながら、ユマの鮮やかな存在感を捉えていた。

このカメラが今も生きていることを証明しているようだった。

「祖父のカメラはまだ物語を撮り続けているんだね」とユマは微笑んだ。

彼女は、過去の技術と現代の技術が融合した自分のカメラを見つめ、

新たなインスピレーションを感じるのだった。

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