第43話 遅刻の確定
遅刻確定である朝の時間。
教室ではすでにHRが始まっていた。
平然とした顔で、
後ろの出入り口から2人は
静かに教室に入った。
「なんだ、なんだ?珍しい組み合わせだな。
堂々と遅刻だけども…。まあ、いいや。
漆島と綾瀬ね。すぐに席座って。」
担当の先生は、
特に強く指摘することもなく
さっぱりとした対応だった。
雪はホッと一息ついて、
桜は次の授業の教科書を出して
気持ちを落ち着かせていた。
隣にいた菊地雄哉は
特に気にする素ぶりも見せず
いつも通り、教壇に立つ担任を見ていた。
雪や桜のことは見向きもしない。
もしかしたら、想像以上に
考えすぎていたのかもしれない。
雪は右手で左肩をぽりぽりとかき、
何だか考えすぎていた自分は
おかしかったかなと改めた。
外の空を見ると青空が広がっていた。
心が晴れやかになった。
桜もほっと安心して、教科書を出して
授業の準備をした。
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その頃の亮輔は、ベッドの上、
額に熱さまシートをつけて
体温計を脇に挟んでくしゃみを
連発していた。
「ちくしょー。
誰か俺の噂してんのかな。」
鼻水がずるずると流れていた。
ティッシュを鼻にあてて
ずずーと拭った。
ベッドからゴミ箱に
ぽいっと入れようとしたが、
入らなかった。
「今日は全然ついてないな。」
ゴミ箱に入れて直して、
またふとんを頭からかけて横になった。
トラックが近所を走っていた。
ガタガタと振動が響いている。