表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

第3話

   

「嫁の機嫌が悪くなるって……」

 私は半ば絶句しながら、彼の言葉を繰り返すしかなかった。

 田中は頭から手を離し、大きく頷きながら言葉を続ける。

「ほら、家事をこなすのは俺じゃなく彼女だから、家電が故障して困るのも俺以上だろ? だから機嫌も悪くなったみたいで……。最近じゃ俺が話しかけてもろくに返事してくれないし、お昼の弁当もわざと違うメニューにしてくる。今日のリクエストはハンバーグなのに、コロッケが入ってたんだぜ?」

 田中は弁当を私に見せつけようとするけれど、話をしながらもきちんと食べ続けていたため、もうコロッケは消えていた。いやコロッケどころか、既にほとんど空になっていた。


 田中は結局、私よりも先に食べ終わり「お先に」と言って立ち去った。午後の仕事の準備を、昼休みのうちに始めておきたいらしい。

 そんな田中と入れ違いくらいのタイミングで、私の隣に誰かが座る。シャンプーなのか香水なのか、ふわりと心地よい香りを漂わせているので女性だろう。

 見れば、同じ部署の後輩だった。

 私と目が合うと、少し不思議そうに尋ねてくる。

「今の人って、経理課の田中さんですよね? 西川先輩、彼と親しいんですか?」

「いや、親しいってほどじゃないけど、一応は同期だからな。それより、君こそよく知ってたな、田中のこと」

「田中さんって、高学歴で高身長、おまけに今風のイケメンですからね。一部の女子の間では人気あるんですよ。あくまでも『一部の女子の間』であって、私自身の好みのタイプは別なんですけど」

 何やら意味ありげな視線を私に向けるが、その件を掘り下げるつもりはないらしい。

「それより、何の話だったんです? 『家電の反乱』とか『愛妻弁当』とかって言葉が聞こえたような……」

「ああ、それは……」

 田中がこぼした家電関連の愚痴。最後の「嫁の機嫌が悪くなった」とか「弁当のメニューが違う」とかまで含めて、手短にまとめて伝えると、彼女は改めて不思議そうな顔をする。

「あれ? だけど、確か田中さんって……」

   

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ