ひよこ、白虎と対戦する
とらしゃん―――白虎と対戦することになった。
騎士達と青髪達、そしてオルビスさんが見守る中私と白虎さんは向かい合った。
ルールは簡単、相手に負けを認めさせた方が勝ちだ。
「……ヒヨコ、お前小さいな」
「びゃっこさんはかわいいねぇ」
「かわいい? そんなの初めて言われたな」
そんなことを言いつつ満更でもなさそうな白虎さんはやっぱりかわいい。あの毛皮に埋もれてお昼寝したい……。そうだ!
「びゃっこさん、これでまけたほうはかったほうのいうことを一つ聞くっていうのはどう?」
「お、面白いな。いいだろう」
白虎さんはあっさりと受け入れてくれた。
気のいい兄貴って感じでさっぱりした虎さんだな。
ルールも決まったのでさっそく白虎さんとの手合わせを開始することになった。審判はオルビスさんだ。
「じゃあ俺の合図で開始するぞ~」
「ぴ」
「ガウ」
私達はそれぞれ鳴き声でオルビスさんに返事をする。
「―――始め!」
開始の合図と同時に、私と白虎さんは地を蹴った。
「ぴっ」
グワンと物凄い勢いで振るわれた前脚をひらりと避ける。その間自分に身体強化をかけることも忘れない。万が一あの鋭い爪が掠りでもしちゃったらひよこの切り身になっちゃうからね。
『氷柱』
私も負けじと魔法を発動し六本の巨大な氷柱を生み出した。そしてそれらを順に白虎さんの方に飛ばす。
「フッ!!」
白虎さんはニヤリと笑い猛スピードで襲い掛かってくる巨大な氷柱を避ける。白虎さんも巨大な体躯だけど身のこなしはかなり軽い。
ひょいひょいっと二本の氷柱を避ける白虎さん。そして、三本目の氷柱は白虎さんの前脚一振りで破壊されてしまった。
「おお……!」
細かい氷の破片が辺りに飛び散る中、四本目の氷柱が白虎さんに襲い掛かる。それもいとも簡単に破壊されてしまった。
氷が舞い散る中を猛然と駆ける白い虎はなんだか芸術的な光景だ。
それから五本目、六本目の氷柱も砕かれる。
「おいおい随分脆い魔法だなぁ」
白虎さんの腕力が異常なだけだと思うけど。岩石だって余裕で抉れるくらいの強度はあるし。
だけど私の狙いははなから氷柱を白虎さんにぶつけることではない。だってほら、白虎さんってなんか物理攻撃効かなそうだし。
氷柱で攻撃した狙いは別のところにある。
『茨』
「む!」
私は次の魔法を発動させた。すると、白虎さんの周りに舞い散っていた氷の破片からニョキニョキと茨の蔓のようなものが生えてきて、あっという間に白虎さんを拘束した。
かなりの数の蔓が白虎さんにからみついている。まさにがんじがらめだ。
「なるほど、はなからこれが狙いだったか。やろうと思えばこんなに固い氷を生み出すこともできたのだな……」
白虎さんを拘束している茨の蔓風の氷の強度は先程のものとは段違いだ。それにしっかりと拘束されてしまっているのでさすがの白虎さんも身動きが取れない様子。
なんとか破壊しようと身じろぎしているけど茨の蔦にはヒビ一つ入らない。
「……これは壊せねぇな。やられた。俺の負けだ」
白虎さんが降参する。
ヒヨコの勝ち!
「それで? ヒヨコは俺に何を望む?」
「えへへ、えっとね―――」
数分後。
「……白虎お前何をしているんだ?」
「お、陛下。ヒヨコが俺の毛皮に埋もれて寝たいってんで大人しくベッドになってやってるんですよ」
「そうか」
「ヒヨコが起きるまで動けねぇんですがどれくらいで起きますかね?」
「うちの子は三時間くらいは平気で昼寝するぞ」
「え」
「ぴぃ……」
白虎さんの毛皮はとってもフカフカで温かくて、ヒヨコはぐっすりとお昼寝した。





