ひよこ、ライバル出現!?
どうも、スリムなヒヨコです。ダイエットに成功したきゅーとなヒヨコです。もうまんじゅうとは呼ばせない。
体重が戻っただけで全てのスペックが上がった気になってルンルンな私だったけど、一難去ってまた一難。痩せた私は新たな問題に直面することになる。
事は、父様が大量の実物大ひよこぬいぐるみを買ってきたことから始まった。
「みてみて~ヒヨコにそっくりなぬいぐるみが売ってたから大量に買ってきちゃった~」
そう言って父様は紙袋いっぱいのヒヨコぬいぐるみをベッドの上にぶちまける。
どんだけ買ってきたの……。
しかも、これは私をモチーフにしたものではなく本当にただのひよこのぬいぐるみだ。だけど私がそのぬいぐるみに混ざっても何の違和感もない。
ぐぅ、ヒヨコがベーシックな見た目をしてるのが仇になったね!
こんな既製品と似てるだなんて!
ちょっと複雑な思いを抱きつつも大量のぬいぐるみは嬉しかった私だけど、問題はそこからだった。
「―――ヒヨコおはよう、ん? 今日は一段と軽いな。ダイエットのしすぎじゃないか?」
「……まおー、それぬいぐるみ」
「なんだと」
ひよこのぬいぐるみに話し掛ける魔王をジトリと見つめる。
すると魔王は慌ててぬいぐるみを置き、私を手のひらに乗せた。
「すまんヒヨコ。あ、こっちのヒヨコの重さは適正だな」
「……」
ヒヨコ、複雑な気持ち。
そんなやり取りを見て本当に腹がよじれるんじゃないかと思うほど爆笑していた父様だったけど、父様も決して魔王のことは笑えなかった。
その日の夜、父様もやらかしたのだ。
「ほ~ら、ヒヨコ~、寝んねしようね~」
いつも通りニワトリの姿になってひよこをお腹の下に潜らせる父様。いつもと違うのは、お腹の下にしまい込んだのが私じゃなくてひよこのぬいぐるみだということだ。
「とうさま、それヒヨコじゃない」
「なにっ」
父様は慌てて起き上がり、お腹の下のぬいぐるみと私をキョロキョロと見比べる。
「……ひよこ、きょうはひとりでねようかな……」
「この前一人で寝ようとして失敗したのは誰だ。ほら、そっちが嫌ならこっちにおいで」
そう言って魔王が私を呼ぶけど、魔王も今朝私とぬいぐるみを間違えたのはまだ忘れてないよ。
どっちもどっちなので、いつも通り父様のお腹の下で寝てあげた。ヒヨコってばやっさしい。
それからも、魔王と父様だけでなくいろんな人にぬいぐるみと間違えられた。
「むむむむむ」
こうなるとわざとじゃないって分かっててもヒヨコも何かやり返したくなるわけで……。
というわけで、ヒヨコってば早起きしてみんなの額にひよこの足跡をつけて回ってみました。
深夜に行動しなかったのは真夜中に一人で城の中を徘徊するのは怖かったからだ。
当然、朝起きて鏡を見たみんなは犯人であろう私を探す。
「ヒヨコ! どこだヒヨコ!」
私を探しに部屋にやってきたのはこの前三回連続で私とぬいぐるみを間違えてたオルビスさんだ。
「ぴぴ?」
オルビスさんとその後ろについてきた魔王や父様、シュヴァルツ達は私の鳴き声のした方を向き、一斉に固まる。
なぜなら、そこには父様の買ってきたひよこのぬいぐるみが山のように積み上げられていたからだ。そして私はもちろんその中に紛れ込んでいる。
ちょっとした皮肉兼意趣返しだ。
ちなみに、全く見つけてもらえないのも悲しいからすぐに自分で出ていったよ。
みんな本気で怒ってるわけじゃないしね。
にしても、良い隠れ家見つけちゃったな。これからも怒られそうになったらここに隠れよう。
木を隠すなら森の中、ヒヨコを隠すならひよこの中だね!





