ひよこ、痩せたのでは!?
ダイエットを初めてから二週間。
べビーシッターズの協力もあり、ヒヨコってばちょっと……どころか大分ほっそりしてきた気がする。
「べビーシッターズありがとね!」
今日も今日とてボロボロになったべビーシッターズにお礼を言う。なんだかんだ、一番ダイエットに付き合ってくれたのは彼らだからね。
「ついに自分をベビーだと認めたか……」
「うん、ヒヨコべびー」
「クッ……!」
青髪の苦し紛れの嫌味もさらりと交わす。ヒヨコってば痩せただけじゃなくていい女になったかも。いや、ヒヨコの場合はいいひよこの方がしっくりくるね。
いや~、にしてもこの二週間結構動いたなぁ。
ヒヨコはとっても強いから別として、よくこの三人がついてこれたなと思う。ヒヨコと連日戦ったりしてたから体力がついたのかな。絶対最初のころより頑丈になってるよね。
ヒヨコのダイエットに付き合うだけで強くなれるんだから、むしろ感謝されてもいいんじゃない?
この三人は地面に寝っ転がりながらヒヨコを睨み付けるんじゃなくてむしろ感謝の言葉を述べるべきだと思うの。
「いつまでねっころがってるの?」
「寝転がってるんじゃなくてヘトヘトで起きられないんだよ!!」
「そうだそうだ! 責任もってベッドに運びやがれ!」
「まおーのへやのべっどでいい?」
「「「勘弁してください」」」
地面に倒れたまま頭を下げるという器用なことをした三人に免じて魔王の部屋に連行するのは止めてあげた。
ダイエットにも成功した上に優しいヒヨコって完璧すぎない? キングオブひよこだね。
そろそろ魔王と父様にもダイエットの成果を見せてあげよう。
「まおー、とうさま~」
「ん? どうしたヒヨコ」
「嬉しそうだね」
父様が床に立っている私をヒョイっと掬い上げてくれる。
「あ! もしかしてヒヨコ軽くなった!? そういえば体も随分ほっそりしたね」
「ふふん」
「ほら、魔王も持ってみなよ」
父様が私を魔王に引き渡す。
すると、魔王が目を見開いた。
「! 本当だ、元の重さに戻ってる。ヒヨコ、頑張ったんだな」
「うん! えへへ」
頭の片隅でベビーシッターズが「頑張ったのは俺らだろ!」と喚いてる気がするけど、そのことは一旦忘れて素直に魔王のお褒めの言葉を受け入れる。
「ひよこやせたから、おやつはさいかい?」
「そうだな、だがまた食べ過ぎないように気をつけるんだぞ」
「は~い」
魔王のお許しも得たし、ついにおやつ解禁だ!! うれしい!!
部屋中を走り回りたい気分。
―――おっとっと、ダメだね、この二週間のせいで思考が全部運動に直結しちゃってる。
いや、ダメなことでもないのかな……? たぶん迷惑するのはベビーシッターズだけだろうし。
まあとにかく、ヒヨコはダイエットに成功しました!
元の体型に戻っただけだけど、なんだか一段階上のひよこになれた気がするね!





