ひよこ、ダイエットをする!
「ぴぃ~……」
思わず情けない鳴き声を漏らしながら魔王を見上げる。すると、おやつのお皿を私から取り上げた魔王は少し困った顔になって言った。
「……ヒヨコ、ダイエットをするんだろう? あんまり太っていると体に悪いから少しの間おやつは我慢しないか?」
「ぴぃ」
ヒヨコのおやつ……。
悲し気に魔王を見上げていると、父様がよちよちとヒヨコの頭を撫でて魔王に言う。
「ねぇ魔王、ちょっとくらい食べさせてあげちゃダメ? ヒヨコが可哀想だよ」
「そうやって甘やかすからヒヨコがまんじゅうになったんだ」
「がーん」
魔王、ヒヨコのことまんじゅうだと思ってたの?
ショックを受けつつ魔王を見上げると、魔王も口が滑ったと思ったのかスイッと視線を逸らされた。
「まおー?」
「……」
無言で私のことをすくい上げる魔王。
「ヒヨコ、お前の健康のためだ。少しの間だけ頑張ろう」
「……わかった。ヒヨコがんばる」
魔王があまりにも真剣な顔をするから、ヒヨコはそう言わざるを得なかった。
おやつを止めたので、次は運動だ。
運動となればお供はもちろん、ヒヨコのおもちゃ三人衆。つまり青髪達だ。
魔王に呼び出されると、三人はすぐにやってきた。
「なんでしょうか魔王様!」
「ヒヨコがダイエットをするから運動に付き合ってやってくれ。あと、差し入れのスイーツも暫くはなしで」
「……」
青髪達の持ってくるスイーツはおいしいからなくなるのは惜しいけど、今は仕方がない。痩せたらまた差し入れを再開してもらおう。
「いや、あれは差し入れというか約束で仕方なく……いえ、なんでもありません」
途中で諦めたね。
魔王は青髪の言葉に一つ頷いた後、ヒヨコの方を向いた。
「ヒヨコ、この三人といっぱい遊んでおいで」
「は~い」
お利口さんなヒヨコは右羽を上げていいお返事をする。
だけど青髪達はなんか不満そうだ。
「え、それはちょっと……。というか、俺達はそのために呼ばれたんですか……?」
「何か?」
「あ、なんでもないです。喜んでご息女のダイエットに協力させていただきます」
青髪達には厳しめな魔王だけど、青髪の言った「ご息女」という言葉で少しご機嫌が上向きになったようだ。
「じゃあ頼んだぞ」
そう言うと魔王は仕事に向かって行った。
魔王がいなくなったのを確認して青髪が口を開く。
「……あのお方、俺達のことベビーシッターだと思ってらっしゃるのかな」
「……さぁ」
「割とその説濃厚だよね」
ヒヨコのベビーシッター達がなんかぼやいてる。
「ほらほらさんにんとも、はやくじゅんびして。きょうはいっぱいうごきたいから、おいかけっこだよ。ヒヨコにおいつかれた人はもんどうむようでふっとばします」
ヒヨコが言い終わった瞬間、三人は走り出した。
うんうん、ノリノリだね。
三人ともヒヨコのダイエットのお手伝いに乗り気なようだ。三人のやる気に応え、ヒヨコも頑張って走ってやせなければ!!
その日、三人が何回吹っ飛ばされたかは本人達しか知らない。
「王子の婚約者だけど冤罪をかけられました。彼らを嘘つきにしないように冤罪内容を全部ほんとにしてあげようと思います! その後の小話」投稿しました!
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