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ひよこ、仲良しの二人に違和感





 ゼビスさんとオルビスさんは何事もなかったように仲直りした。

 今までは人を介していた書類等の受け渡しも本人達で直接するようになったし。おかげで手間が減ったって二人の部下さん達に褒められた。


 今も、オルビスさんが魔王の執務室に来てゼビスさんとなにやら仕事のことについて話している。


 う~ん、違和感。

 呼び方も今までと違って「爺ちゃん」と「オルビス」になってるし。クソジジイとか駄竜とか呼び合ってた人達がこんなすぐに和解できるとは……。


「……おいヒヨコ? なんでそんなところから俺達のことを観察してるんだ?」

「ぴ?」


 オルビスさんが言った「そんなところ」とは、魔王の襟ぐりの中だ。ヒヨコは今、魔王の首筋にピッタリとくっついて二人の様子を観察している。

 にしてもここ、あったかくてすっごく居心地がいい。すぐ眠くなっちゃう。


「あまりにもそなた等がすぐ和解したからヒヨコが驚いてしまったのだ」

「俺達を仲直りさせたのはヒヨコなのに?」


 オルビスさんもゼビスさんも首を傾げている。


「そなた等が普通に会話している光景に違和感があるのだろう。ヒヨコはそなた等の不仲期間しか知らないからな」

「ああ、それもそうですね。一度仲がこじれると何をしても修復不可能になる種族もいると聞きますし」


 ゼビスさんはオブラートに包んでるけど、多分人間のことを指してるんだと思う。でも間違ってないよね。私もそれで後ろから勇者にざっくりやられちゃったわけだし。

 腕を組んでうんうんと頷いていると、少し痛ましげな表情になった魔王に頭を撫でられた。別にもう気にしてないけど、魔王の心配がくすぐったい。


「ぴぴっ」

「どうしたヒヨコ? はは、くすぐったいな」


 魔王の首筋に頭をグリグリすると魔王がクックックと笑った。魔王の喉ぼとけが動くのが間近に見える。


「ヒヨコと陛下がこんなに仲良くなった方が奇跡な気がしますけどね」

「確かになぁ」


 じゃれ合う魔王と私を見る祖父と孫。


「どうしてヒヨコと陛下が仲良くなったら奇跡なんですか?」

「あ」


 そういえばシュヴァルツがいたんだった。シュヴァルツは私のことを最初から魔族だったと思ってるんだもんね。

 う~ん、もう隠すのも面倒だしバラしちゃってもいいかなぁ。


「みなさん意外と血の気が多いんですか? 全く、私の尊敬する聖女様を見習ってほしいですよ」

「ぷぴっ!?」


 急に自分の話題が出てきたから変な鳴き声出ちゃった。


「聖女様は誰でも受け入れてくださる懐の大きな方でしたから。正に聖女の名にふさわしいお人柄で―――」

「あ~、シュヴァルツ? ここで聖女について語り始めるのは止めてくれないか?」


 いたたまれなくなってプルプル震える私を見かねて魔王がシュヴァルツの話を遮った。するとシュヴァルツはなぜかハッとする。


「すみません。みなさんにとって聖女様は敵でしたもんね。無神経でした」


 そう言って申し訳なさそうに口を噤むシュヴァルツ。


「……」


 いや、そういうことじゃないんだけど……。

 素直なシュヴァルツの様子に、逆にこっちが申し訳なくなった。


「……シュヴァルツ、ひよこ、かたもんであげる」

「? 急にどうしたんですか? ていうかその手じゃ肩なんか揉めないでしょう」

「……」


 シュヴァルツに言われて自分の手を見る。ふわふわだぁ。


 その後、室内が若干生温かい空気になったことを察してシュヴァルツは居心地悪そうにしてた。


 うん、やっぱりシュヴァルツには極力自分の正体は隠そうと思う。

 もし不可抗力でバレちゃった時は……その時考えよっと!









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