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つよいひよこ

感想でヒヨコをかわいいかわいい言っていただけて嬉しいです!




 魔王の膝の上で魔王に背中をカリカリとかかれる。


「ぴぴ(あ~そこそこ)」

「ん? ここか?」

「ぴぴ(そこ~)」


 魔王と共にまったりと休憩時間を過ごす。

 このひよこの体にもだんだん慣れてきた気がする。視点の低さにも慣れたし。とっても可愛がられて私は満足。順風満帆なひよこ生活を送っている。

 次はお腹をかいてもらおうと転がって仰向けになろうとした時―――。


 ドガァァァァァン!!!


「ぴっ!?」


 急な轟音に全身の毛が逆立つ。飛び起きたことで膝から落ちそうになった私を魔王は難なく片手で受け止めてくれた。ノールックキャッチ。

 魔王は窓の外でモクモクと上がった煙を見て「また来たか……」と呟いた。


「ぴぴ? (また? なにがきたの?)」

「偶に魔王の座を寄越せと訪ねてくる無法者がいるのだ」

「ぴ? (魔王ってそうやって決まるの?)」

「いや? 魔王は魔神に定められたものがなるから例え我が挑戦者に敗れたところで我が魔王でなくなることはない」


 魔王は逆立った私の毛並みを直しながらそう説明してくれた。

 ぶわっと広がった私の毛を撫でながら魔王がぽつりと呟く。


「……このぽさぽさ具合もいいな……」


 逆立った毛並みも気に入ったみたい。


「ぴぴぴ? (ちょうせんにきた人は、まおうがあいてしなくてもいいの?)」

「もちろんだ。アポイントも取れない者を我が直々に相手してやる必要はない。大概は門番に叩きのめされているが……どうやら今日のは門を突破したようだな」


 魔王が窓の外を見ながらそう言う。私の位置からは窓は見えないけど、侵入者さんが門を突破した様子が見えてるんだろう。


「ぴぴ? (まおうはしんにゅうしゃさんがきたら困る?)」

「……まあ、騒がしいし対応する者の仕事が滞るから困るには困るな」

「ぴ! (わかった!)」

「?」


 魔王が首を傾げる。


「ぴぴ! (ヒヨコ行ってくるね!)」

「ん? ああ、気を付けて行くのだぞ」


 魔王に向けて片手を挙げると、魔王がぎこちなく手を振って見送ってくれる。

 私はこの間自分で開けた扉の穴から外に出て走りだした。




「……どこに行ったんだ……?」




***




「ぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴぴ!」


 私は侵入者さんのいる所に向かって走る。ヒヨコの気持ち的には今ルンルンだ。だってやっとヒヨコがお役に立つ時がきたんだもん!

 軽快な足取りで廊下を疾走する私を歩いている人達は勝手に避けてくれる。魔族の人達の反射神経がよくてよかった。この魔法を使って走ってる状態でぶつかっちゃったら例えぶつかっちゃったのがひよこだとしても怪我しちゃうからね。

 うっかりひよこを踏み潰してもいけないからひよこを見つけたら避けるべしっていうのが魔王城での常識になりつつあるらしい。ありがたや。


 外に出ると侵入者さんはすぐに見つかった。

 フードを被ってるから見えないけど人型の魔族が暴れてる。それに対して魔王城の制服を着た数人の魔族が応戦している。

 侵入者さんが強いのか結構苦戦してるみたい。


「ぴぴぴ!!」

「え!? ひよこちゃん!? なんでこんな所に!?」


 侵入者さんに応戦しているうちの一人が私に気付いた。


「ぴぴ!! (どいて!!)」


 あ、今は魔王以外には通じないんだった。

 それに気付いたのは詠唱を終わらせた後だった。


『ぴぴ! (爆撃!)』


 ドゴォォォォォォォォォン!!!!


 侵入者さんを中心に炎がゴォッと燃え上がった。うっかり威力を間違えちゃって熱風が私のことも吹き飛ばす。


「ぴぴ!?」


 私は慌てて自分と侵入者さんに応戦してた人達に防御結界を張った。

 あぶないあぶない。


「ヒヨコ!!!」

「ぴ?」


 あ、魔王だ。

 爆撃が収まった後、私の名前を呼んで駆けつけて来たのは魔王だった。なんかちょっと怒ってる……?

 魔王は私の所まで走って来ると、私の項部分を摘まんで持ち上げた。


「こらヒヨコ、城の敷地内で『爆撃』なんていうS級魔法を使うんじゃない」

「ぴ(は~い)」

「魔王様甘すぎるっす……。俺ら巻き込まれて死ぬとこだったんすけど……」


 せっかくすぐにお説教が終わったのに制服を着た門番らしき魔族が水を差してきた。

 お説教が伸びたらどうするの!!


「ピィ!!」

「なんでひよこが睨んでくるんすか! うっかり俺らまで巻き込みやがって!!」


 赤髪の魔族がズイっと顔を近付けて抗議してきた。ちゃんと防御魔法展開したもん!!

 でも巻き込んじゃったのは事実だから文句も言えない。私はぷくぅ~っと頬を膨らませた。


「お、不満そうっすね。なんか文句あるんすか?」

「ピィィィィ!!!」


 むかつく!! この自分が優位に立った時特有のにへらぁっとした顔むかつく!!

 私がぴいぴい鳴きながら腹を立てていると、制服を着たもう一人の魔族が近付いてきた。侵入者さんを捕縛し終えたらしい。赤髪の魔族とは対照的にこっちの魔族の髪は青色だ。


「おいやめろよ、ひよこ相手に大人気ない。第一、お前が勝手に席を外してたから門を突破されたんだろう」

「魔王様の前でそういうこと言うんじゃねぇよ! あいつが普通に強かったのもあんだろ!!」


 やいのやいの言い合いを始める二人。この二人は門番さんなのかな?

 未だに私を摘まんでいる魔王をちらりと見たけど、呆れるばかりで叱りつける気はないみたい。


「―――てかあのクラスの魔族を一撃で沈めるひよこ強すぎじゃね!? さっすが元最凶の聖女」


 赤髪の門番さんが興奮したようにそう言ってきた。さっきまでヒヨコに対して怒ってなかった?

 というか、私魔族の中で最凶の聖女って呼ばれてたの……?

 なんかちょっとショック……。








お読みいただきありがとうございます!

ヒヨコを少しでもかわいいと思っていただけたらブクマと↓の☆評価お願いします!

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― 新着の感想 ―
最強じゃなくて 最凶なのが大事な所ですよねw
[一言] 最凶の聖女……後ろじゃなく、前で攻撃呪文バンバン放ってたんだろうなー。
[一言] そう言えば…ひよこ成長したら何になるんだろ…(笑)
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