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異世界に適応する少年  作者: Yuukiaway
ラドラ寮 全面衝突 編 第二幕
97/392

#97 The remodeled magic

ワードは不敵な笑みを哲郎に向けた。


アイズンやハンマーだけでなく レイザーまでも倒して見せた哲郎を危険と判断し、ここで確実に潰そうと考えたのだろう。


そのために今の状況は最適だった。

哲郎は敵地に戦力が揃っている今が唯一のチャンスだと言ったが、それは敵も同じ事だ。



「………テツロウ君、君は下がっていろ。」

「え?」

「まだ追っ手から彼女達を守った疲労が抜けていないだろう。

ここは私に任せて 君は休め!!」

「…………………!!」


ミゲルの指摘は正しかった。

今日だけで既に ハンマーと戦い、そして地下通路ではミリア達を人形達から守り、更にレイザーも撃退した。

控えめに言っても 既に限界に近い状態であり、いつこの戦いが終わるかも分からない状況下に立たされている。


これが【魔界コロシアム】と【実戦】の明確な違いなのだと痛感した。


「わかりました。 では僕は



?!!」

「? どうした?!」


哲郎は触れている地面に違和感を感じた。

そして見ていると 地面が濡れていた(・・・・・)

そして微弱ながら 震えている。


「!!! ミゲルさん 危ない!!!

離れて!!!!」

「!!?」


哲郎は咄嗟にミゲルを突き飛ばしてその場を離れた。


するとその地面から鋭く尖ったものが何本も発射した。 外見だけで人を簡単に仕留められる迫力を放っていた。


「………………………ッッ!!!」

「な、何だあれは!!!?」


(……………あれを躱すかよ。

一発で仕留めたかったんだがな。)


(濡れていた地面から手や針が生えてきた!!

まさかこの人の魔法って……………!!!)


哲郎はこの状況でも必死に敵の謎を解くことに専念し、活路を開こうとしていた。


「その顔、どうやら君も分かったようだな。」

「ええ。 間違いありません。 あの人の魔法は【泥】の魔法だ!!

それなら 床下から僕を引きずり込んだのも説明がつく!!!」

「そういうことだ。

恐らくは水系統の魔法か土系統の魔法を改造して作ったものだろう。」


「? 改造?」

「君は知らないのか。 ラグナロクに存在する魔法のほとんどは魔法式を改造することで性質を変化させたり改良することができるんだ。

攻撃力を持つ魔法の改造は至難だが、それもラドラの側近ともなれば話は別だ。」

「………そんなことができるんですか………!!」


魔界コロシアムで何度も見てきた魔法

それが改造できるなど夢にも思わなかった。

それも 目の前にいるワードは魔法を【泥】という未知の物質へと改良し、それを完全に我が物としている。


「テツロウ君!! とにかく君は離れて身体を休めろ!! こいつは私が



!!!」


ミゲルは足元に違和感を感じて咄嗟に視線を送った。


「し、しまった!!!」


悠長に魔法の改造の事を説明している間に 既にワードは地面に魔法をかけて泥にし、ミゲルの足を捉えていた。


「その通りだ ミゲル・マックイーン。

俺は水と土の魔法式を組み合わせて泥の魔法(こいつ)をこしらえた。

だが生憎 お前に構ってる暇はねぇんだ。


用があるのはお前だけだよ

テツロウ・タナカァ!!!!!」

「!!!」


ミゲルは足を取られて動きを封じられているが、ワードは逆に泥になった地面を滑って移動できる。

その機動力で哲郎の眼前へと迫った。


「テツロウ君 逃げろ!!!!」


逃げろ と命じられたが哲郎にその選択肢は無かった。

これは自分が冒険者として受けた依頼の一環であり、退く事は即ち依頼を放棄するも同然だ。


そして哲郎は既にワードの魔法の特徴を見抜いていた。


「!!」


魚人波掌の構えを取り、向かってくるワードを待ち構える。

急に止まれないと判断してワードは手から泥を生み出して防具にする。


(防御にも使えるのか。

だけど それがあなたの弱点だ!!!)

《魚人波掌 杭波噴(くいはぶき)》!!!!!


身体を振るってワードの作った泥の壁に渾身の掌底を叩き込んだ。


魔法で作った泥

それは即ち水分と魔力を大量に含んだ土 も同然。 哲郎の得意技 《魚人波掌》との相性は抜群だと 哲郎はそう確信していた。


「!!??」

「おう どうした?

もしかして チャンスだとでも思ったか?」


掌を通して伝わってきた感触は明らかにただの土(・・・・)だった。


「教えておいてやるよ。

俺は今までハンマーには負けたことがない。 なんでか分かるか?」

(!!! ま、まさかあの一瞬で水分と魔力を抜いたのか!!!?)


ワードの作った泥には 哲郎の見立てでは魚人波掌の媒介である《水分》と《魔力》が詰まっている。

しかし、その2つを抜かれてはそれはただの土と化し、魚人波掌の衝撃の通りは途端に悪くなる。


「お前はガキの分際でテングになりすぎたんだよ。 ここで消えろ。」

「!!!」


ワードは腕から泥を固めて槍を作り、哲郎に向けて撃った。


(!!! 間に合え!!)


全力の魚人波掌を放ち 隙だらけになった哲郎の頭を貫く━━━━━━━━━━━━




バシッ!!! 「?!!」


瞬間、泥の槍が弾かれた。

しかし11のガキ(哲郎)の手足では距離が遠すぎると直感したワードの視線の先には



ミゲルが立っていた。


「!?? ミゲル!?」

「隙ありだ ワード!!!」


ミゲルは一瞬 硬直したワードの腕を両手で掴み、そのまま身体を捻って投げ落とした。




(………………???!!

一体何が………………??!!)


そんな中 哲郎が立っていたのはミゲルが(・・・・)立っていた場所(・・・・・・・)だった。


「…………なぁるほど。」

(!! 地面を泥にして受身を取ったか!!)

「ミゲル お前の魔法

【入れ替える】効果か。」

「!」


ワードの反撃に備えて 咄嗟に後ろ跳びで哲郎の側へと移動する。


「ミゲルさん!」

「怪我はないか!?」

「ええ。 僕も戦います!!!」

「! 身体は大丈夫なのか?!」

「休息ならもう十分取りました。

エクスさんの仲間として、最後まで戦い抜いてみせます!!!」


ミゲルに熱意を伝え、ワードと向かい合った。

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