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異世界に適応する少年  作者: Yuukiaway
学園潜入 編
64/448

#64 The victory decorated by lamentations

「勝負あり!!!!!」


アイズンの降参の言葉を聞くや否や、審判の男がその手を挙げた。

哲郎の勝利を確信した場内はそれまでの熱狂の全てをかき消してしまうほどに大いに湧いた。


「け、け、け、決着ゥーーーーーーーーーーーーー!!!!!

なんとアイズン選手が ギブアップを宣言した!!!! これぞまさに完全敗北!! 完全決着!!!

それを決めたのはこの男!! マキム・ナーダという仮面を被った あの魔界コロシアムの準優勝者 テツロウ・タナカ氏!!!!


魔界の2番目に立った少年が今、この稀代の卑劣漢に 天誅を下したのです!!!!!」


最初こそアイズンが暴れたものの、終わってみれば哲郎のワンサイドゲーム。

そして、これでアイズン達のいじめという今まで逃れられなかった呪縛から遂に開放される という確信は下級生達を喜ばせた。


そしてその喜びは拍手という行動に変わって哲郎に降り注いだ。

場内には哲郎への感謝や賞賛の言葉が送られた。

しかし、哲郎には喜びの感情は無かった。

あったのは 少しの罪悪感と虚しさだった。


もうこの会場に用は無いはずの哲郎だったが、会場の歓声を気に留めずに跪いているアイズンに歩きよった。


「ひ、ひぃっ!!!!」


アイズンの心は既に 《テツロウ・タナカ》への恐怖心で埋め尽くされていた。

哲郎はそれを怒りを超えた呆れと哀れみの表情で見つめている。


哲郎はアイズンの目の前に座り込んだ。


『マ、マキム いや テツロウ氏 一体?』


「………もう十分 分かっていただけた筈ですよね? あなたがこれまでいじめてきた下級生達の気持ちが。

これからその気持ちを忘れないのであれば、僕はもう何もしません。」 「!!!!!」


アイズンはうなだれた。

その時、彼の中で何かが音を立てて切れていた。


これまで暴力の限りを尽くしてきた人間の心を非暴力によって折る という行動に、会場は熱狂と感謝から賞賛の拍手へと変わり、場内を埋め尽くす。


哲郎は踵を返し、試合会場を後にする。

これで、田中哲郎のギルドとしての最初の依頼 【パリム学園のいじめ問題を解決する】という依頼は完遂された。



***




公式戦から3日後

あれから しばらく面倒事が続いた。


まず初めに素性を偽って学園に潜入した事を少しだけだが問い詰められた。


しかし、それは正式にギルドから依頼を受けた事実と推薦人 兼 協力者 のノアが証人になってくれたおかげで大事にはならずに済んだ。


そして、ルームメイトのマッドとも一悶着あった。


自分との付き合いは表面上のものだったのか などと様々なことを問いただされたが、これも 依頼とは別の事だと言うことや、ファンとアリスの助言のおかげで穏便に済んだ。


そして今、哲郎はエスクの自宅の部屋に来ている。


「………やはり、学園は退学になったか。」

「……ええ。 まぁ当然と言えば当然です。

いくら理由があったとしても素性を偽ったのは何かしらの罰がないといけないようです。」


過程はどうあれ、哲郎はギルドの初依頼をやり遂げた。 それはあの3人の顛末を見ても明らかだった。


グスは公式戦での敗北が決定打となり、無期限での停学を命じられた。

ロイドフもまたラドラ達に責任を取る形で自主的に謹慎したという。


肝心のアイズンはあれから人と敵対することにすら恐怖を感じるようになり、これから実技の授業がままならなくなるが いじめを繰り返す危険性は無いのだと言う。


哲郎の心には一抹の罪悪感があった。

いくら 彼が卑劣の限りを尽くしてきたと言っても、彼の心に一生消えない傷を残してしまった。

果たして自分にそれだけの権利があったのだろうか と


ギルドの依頼で、たくさんの下級生を救うためにやった結果だと割り切っているものの、ふとした時に考えてしまうのだった。


「……話は変わるが テツロウ・タナカ。

パリム学園の寮長 としてでは無く1人の対等な人間として一つ お前に依頼する。」

「……はい。」


「1週間後、 俺たちはラドラの陰謀を止めるために真っ向からぶつかり合う。

そこでテツロウ お前にも一役かって欲しい。」

「はい。 覚悟は出来ています。」

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