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異世界に適応する少年  作者: Yuukiaway
魔界コロシアム 編
23/448

#23 Rain of despair

ノアの蹴りあげが哲郎を襲う。

しかし哲郎は間一髪 横に飛んで躱した。


「ほう。」

『テツロウ選手は冷静です!!

あの猛攻から一瞬で攻撃を回避した!!!』


哲郎はすぐに体制を攻撃に移す。

そしてフットワークでノアの背後に回り込んだ。そしてそのまま魚人波掌の構えをとる。


『テツロウ選手の反撃か!!? ━━━━━━━━━━━

い、いや━━━━━━━━━━━』


ノアは背後に回った哲郎に全身のバネを使った蹴り上げを見舞った。


『ノ、ノア選手の蹴りが直撃した!!!!

全身のバネを使った渾身の攻撃!!!

テツロウ選手、これは効いたか!!!?』


ノアの蹴りに飛ばされた哲郎だが、すぐに体勢を立て直して受身をとる。

ノアの蹴りを咄嗟に右手で受け止め、上手く衝撃を流した





かに思えた。



ボキッ!!!! 「!!!!?」

哲郎の右腕がありえない方向にへし曲がった。


『お、折れたァーーーーー!!!!

かろうじて蹴りを受け止めましたが、その右腕が破壊された!!!!!』


哲郎は不意の激痛に顔をしかめるが、すぐに意識をノアへと向け直し、適応する時間を稼ぐために間合いをとる。


『やはり無謀なのか!!?

人間族が魔人族に勝つなどというのはできないのか!!?

マーシャルアーツでは種族間の差は埋められないのか!!!?』


アナウンサーの声も既に哲郎の耳には入っていなかった。

右腕を抑えて己を奮い立たたせる。



「…小僧、お前にだけは教えておこう。俺の正体をな。」

「?」


ノアが唐突に口を開いた。


「さっき、俺が言ったことを覚えているか?」

「…さっき言ったことと?あの『同じ運命を辿ってここに居る』ってやつですか?」

「そうだ。


……お前、【転生者】だろ?」

「!!!!?」


哲郎は不意に図星を付かれて驚愕した。

別に修行相手の女性から転生者であることがバレてはならないと言われていた訳では無かったが、出会って間もない男に言い当てられて動揺を見せた。


「おそらく、何かの事故で死ぬところをこのラグナロクに逃げ延びたというところだろうな。」

「……それが何だって言うんですか?」


哲郎は強気を装って恐怖に押しつぶされそうになるのを堪える。

そんなことを気にもとめずにノアは話を続ける。


「2000年前、このラグナロクを圧倒的な力と権力で統治した男がいたんだ。

人々はその男を恐れおののき【魔王】と呼んだ。」

「???」

「そしてその魔王と呼ばれた男は実力を出せない退屈という苦痛に耐えかねて、より強い者を求めて自らの魂と記憶を未来に送った。

つまるところ転生(・・)だ。」


「何の話を…………


!!!!! ま、まさか!!!!!」

「どうやら分かったようだな。」


哲郎の表情が驚愕に染まった。

今までのノアの話から哲郎が得たのは最悪の答え(・・・・・)だった。


「そうだ。

その魔王の転生体が俺だ。」

「……………………!!!!!」


同じ運命とは、転生した者と言う事だったのだ。

転生した魔王なら同じ転生者である自分に注目していたのも、貴族を【貴族()】と蔑称したもの全て説明がつく。


「ところで、前の試合でレオル・イギアが根源魔法を使ったな?

あの後 ヤツの腕が焼け焦げたのは 何故か分かるか?」

「?」

「それは無理がある(・・・・・)からだ。魔力の根源からチカラを借りたなら、その体には必ずガタがくる。


逆に言えば、魔力の根源(・・・・・)なら魔力の続く限りいくらでも使うことができる。」


哲郎は彼の言葉の意味を理解し、そして身構えた。


「そう。いくらでもな」


『!!!!! こ、これは━━━━━━━━━━』


哲郎の上空に巨大な魔法陣が幾つも(・・・)形成されていた。哲郎はその形に見覚えがあった。


『こ、これは絶望的ィーーーーー!!!!!

ノア選手、なんと根源魔法の魔法陣を幾つも展開した!!!!!

ダメ押しの攻撃か!!? テツロウ選手、絶体絶命ィーーーーー!!!!!』



根源魔法 《皇之黒雷(ジオ・エルダ)》!!!!! 「!!!!!」


魔法陣からレオルの時と同じ漆黒の雷が放たれた。


『出たァーーーーーーーーーーーーーー!!!!!

根源魔法!!!!! 決まったか━━━━━━━


い、いや!!!!!』


哲郎はそれを見切り、横方向に回転して躱す。


『テツロウ選手、かろうじて難を逃れた!!!!

し、しかし』

「まだまだ行くぞ!!!!」


幾つもある魔法陣からは未だに雷が哲郎を襲う。直感と反射神経で躱しているが、1発でも貰ったら致命傷。

それは哲郎だけでなく場内の全員が暗黙に理解していた。


『まさに絶望の雨霰!!!!!

1発でも受けたら命の保証すらないこの猛攻!!!! それなのにノア選手の肉体には何の異変も見られない!!! こんな不公平が許されていいのか!!!!?』



無限ではない根源魔法の猛攻は、遂に終わりを告げる。

トドメの一撃を加えんとノアは最後の雷魔法を渾身の力で放った。


しかし、哲郎はそれを待っていたのだ。


ダッ!!!! 「!!!?」

『テツロウ選手 走り出して回避した!!!!

ノア選手に一直線に突っ込む!!!!!』


そして哲郎はノアの反射をも上回る程の全速力で彼の背後に回り込み、ノアの首に腕を回す。


『こ、これはまさか━━━━━━━━━』


そのまま全体重を後ろにかけ、首を締め上げながら仰向けに倒れた。


『は、裸絞!!!!! スリーパーホールドだァーーーーーーーーーーー!!!!!


ざまぁみろ ノア・シェヘラザード!!!

そう言いたくなるような華麗な逆転劇を魅せました!!!!


人はトドメを刺した時にこそ油断をする!!!!

そこに付け入った見事な逆転です!!!!』


哲郎は全力でノアの首を締め上げ、そして両足で彼の腹を固定した。


『か、完全に極まったぞ!!!!

ノア選手 仰向けで動かなくなってしまった!!!! これでは一回戦でゼース選手が見せたような上空からの魔法での返し技も使えない!!!!!


ノア選手、絶体絶命!!!!!』

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