#21 Prince of naked,Princess of burned out
『け、け、決着ゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーー!!!!!
我々は今、信じられないものを見ました!!!!
なんと人間族の少年、テツロウ選手が【紅蓮の姫君】 サラ・ブラースの奥義 《煉獄之豪砲》を耐えしのぎ、そして勝利を収めたのです!!!!』
観客席から巻き起こるのは大歓声だけで、サラの敗北を惜しむ声は1つも無かった。
ひょっとしたら惜しんではいたが、哲郎の勝利を素直に讃えようと思ったのかもしれない。
『その身を纏う衣服は全て燃え尽き、この公衆の面前に裸体を晒そうと、全身 火傷まみれで這いつくばろうと、その姿はかくも美しい!!!!!
果たして彼を醜いと罵るものがこの世に居るでしょうか!!!?
彼は弱小種族と罵られ続けた人間族の代表として、その身にマーシャルアーツを引っ提げて、絶対に勝つという信念と執念を持って、【紅蓮の姫君】サラ・ブラースから、勝利をもぎ取ったのです!!!!!』
顎を揺らされて昏倒していたサラも意識を取り戻し、そして自分が全力を出した上で負けた事を確信した。
そしてその場で動けない哲郎に歩み寄った。
「ほら、何やってんのよ。
勝者がそんなんじゃ カッコつかないでしょ?」
哲郎に肩を差し出し、姿勢を支える。
『こ、これは素晴らしい!!!
サラ選手が敬意を持ってテツロウ選手に肩を差し出す!!
これぞまさにすがすがしい戦い!!
サラ選手の表情に、悔恨の念は全く見受けられません!!!!』
哲郎はサラに抱えられ、背中に大歓声を受けながら会場を後にした。
***
「お疲れ様 お姉ちゃん!」
「うん。ありがとう。」
サラは控え室に戻り、ミナと合流していた。
「凄いこと教えてあげよっか?
私、なんでかちっとも悔しくないのよ。」
「だろうね。 テツロウも全力でやってたから。」
「あいつの【適応】ってマジだったのね。
まさか煉獄之豪砲を耐えきるとは思わなかったわ。」
サラは準決勝敗退という無念を味わった。
しかしそれは今まで中々成功しなかった煉獄之豪砲を成功させ、その上での華々しい敗北だ。
だから、彼女の心には悔恨の念は全く無かったのだ。
***
「うぅ………ッ くっ…………」
「大丈夫ですか テツロウ選手!!?」
「え、えぇ。
もう少し休んだら決勝に行けます。
ここまで来たんだからやらせて下さい。」
哲郎は医務室のベッドの上で唸っていた。
流石に全身を焼かれたのは堪えるものがある。
「う、うぅ………!!!」
哲郎はベッドから起き上がった。
ようやく前身の火傷が適温してきた。
「それで、決勝はいつから……」
「今から30分後を予定しております。」
哲郎が役員と話していると、
「邪魔をするぞ。」
と男が医務室に入ってきた。
「ノ、ノア選手!!」
「彼の容態はどうなんだ?」
「見ての通りです。」
起き上がれたものの、全身が包帯まみれで火傷もかなり酷い。
「なぁ、彼と話がしたいから、外してはくれないか?」
「かしこまりました。」
ノアに促されて役員は医務室を後にした。
「どういうつもりですか?」
「どうもこうもないさ。
ただ これから戦う相手とひとつ 話がしたかっただけの事だ。」
哲郎はベッドに座り、ノアと話を始めた。
「決勝には出るんだろ?」
「当然でしょう。せっかくここまで頑張ってきたんだから。」
「そうだ。それでいい。
それでこそお前だ。」
この男はまるで自分を見透かしているようだと哲郎は嫌悪感を示した。
「ところでお前にはこれからやりたいことはないのか?」
「…そうですね。ここに出たのは今の実力が知りたかったからですし、この後は自分でギルドを作ろうと思ってます。」
「自分のギルドか……… 夢があるな。」
「?」
何が言いたいのかと思った直後、彼は思いもしない事を言った。
「いいだろう。
この後の試合で俺が負けたらお前のギルドのNo.2になってやろう。」
「!!!? 何を!!?」
「それくらいの賭けがなくては面白くあるまい。」
何を言うかと思えば と哲郎は馬鹿馬鹿しくなって返しをする。
「賭けだなんて……
じゃあ僕が負けたら一体何をしたら良いんです?」
「何も求めはしないさ。 強いて言うならギルドを組むための能力を付け直せ とでも言うべきかな。」
そこまで言ってノアは立ち上がった。
「じゃあ失礼するぞ。」
哲郎は言葉を返さない。
「もっと仲良くしても良いんじゃないのか?
俺たちは同じ運命を辿ってここに居るんだから。」
「??」
哲郎の表情が疑問に染まったのを見て、ノアは医務室を後にした。
***
『大変長らくお待たせ致しました!!!!
ただ今より、この魔界コロシアムの最終章!!!
決勝戦を行いたいと思います!!!!
総参加選手 32名!!
このラグナロク全世界から集められた超人たち、その頂点が今 決定の時を迎えるのです!!!!!』




