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異世界に適応する少年  作者: Yuukiaway
新興宗教 編
195/422

#195 The Inferno Tentacle 9 (The Ground Hammer)

「ワシの腕にも脚にも骨も無ければ関節も無い。ワレの技はワシには通じへんぞ!!!」

(………そうか。考えれば普通だな。こいつは植物なんだから。

だけどその身体がカラカラって訳は無いだろ!!!関節がダメならその身体に詰まってる水分に攻撃するだけだ!!!)


哲郎は脚を低く屈めて掌を構え、目の前の《転生者》を狙う。その腹は引き締まっているが、哲郎の目にはその下に沢山の水分があるのが分かる。


(……たとえどんな力を隠していても、僕のこの掌は身体を水分(内側)から攻撃する。ミイラじゃあるまいし、それに耐えられる生物なんて居るわけないんだ!!!!)

「!!!」


《転生者》の動きに隙が出来た瞬間を狙って脚に力を込めて《(さざなみ)》を発動し、一気に距離を詰める。そして身体を振りかぶって渾身の掌底を叩き込む━━━━━━━━━━


バァン!!!! 「!!!?」

「ワレはホンマにアホやなぁ。

そんくらいの対策はハナからできとんのじゃ。」


哲郎の掌底突きは決まったものの、それは《転生者》の腹ではなくその前に展開された蔓の壁に阻まれた。


パァン!!! 「!!」


哲郎渾身の魚人波掌をもろに受けた蔓は少しの間震え、黄緑色の体液を噴き出して破裂した。

そして間髪入れずに噴き出した体液を切り裂きながら飛んでくる《転生者》の蹴りを身体を引いて躱す。


「………………!!!」

「やっぱなまじ避けんのは一端やのう。

ワレの戦法は避けな始まらん(・・・・)からな。」

「!!」


《適応》の能力であらゆる攻撃を耐えられる哲郎が攻撃を避ける事に特化している(・・・・・・)のはダメージを避ける為ではない。哲郎の身体能力で敵を倒す方法が相手の攻撃を避けて隙をつき、相手の力を利用するしかないからだ。


「……とはいえ蔓を使うんも飽きてきたな。こっからは本気で動いてみようやないか!!!」

「!!」


《転生者》はそれまでの蔓を使った攻撃を止め、地面を蹴って再び哲郎との距離を詰める。その片方の脚がありえない方向に曲がっている。

咄嗟に脚を構えて蹴りの攻撃に備える。


「オルァッ!!!!」

バチィン!!!! 「!!!?」


哲郎の脚に今まで感じたことの無い衝撃が走った。骨の無い脚による蹴りはまるで鞭のようにしなって脚の筋肉と骨に鈍痛を響かせる。

さらに《転生者》は体勢を翻してもう片方の脚で哲郎の脇腹を狙う。軸足を変えて脚で防御する暇が無いと判断した哲郎は咄嗟に腕で腹を守る。


ゴッ!!!! 「!!!!」


《転生者》の鞭のような蹴りは哲郎の腕の関節の部分に直撃した。腕を曲げて関節が折れるのを防ぐが、それでも痺れるような痛みが内蔵に容赦無く襲い掛かる。


「…………………ッ!!!!」

「そんまま吹っ飛べや!!!」

「!!!!」


蹴りを振り抜いて、哲郎の身体は回転しながら壁付近まで吹き飛んだ。壁に激突する寸前で体勢を立て直して追撃に備える。


(………………!!!

腕は折れてない!! まだ何とか闘え)

ズッドォン!!!! 「!!!!?」


哲郎の目は一瞬 《転生者》の爪先が自分の方向に伸びてくるのを捉えた。咄嗟に身体を横に躱した瞬間、轟音と共に爪先による蹴りが哲郎が今まで居た所に深々と突き刺さる。

躱し損ねたら頭が潰れていたかもしれない という危険性が哲郎の頭に問答無用で恐怖を植え付ける。


「…………………!!!!」

(チィ!! 頸動脈ぶった切ったった 思うたのに!!!)

(!!! こ、これだ!!!)


哲郎は壁に刺さって動かない脚を見た瞬間、頭の中である作戦を立てた。そして間髪入れずに作戦を実行に移す。


ガシッ! 「!!?」


哲郎は《転生者》の足首を両手で掴み、身体を捻ってその足を背中に負う。脚を伸ばして逃れる暇も無く《転生者》の上半身は脚を軸にして宙を舞う。


(…………!! このガキ…………!!!)

(骨を抜いて脚を伸ばす隙は与えない!!

この一瞬は絶対に逃さない!!!!)

「おりゃあッッ!!!!!」 「!!!!!」


《転生者》の身体は宙を舞い、そして顔面から地面に叩き付けられた。両手は地面から離れており、受け身を取った様子は無い。投げ技は完全に決まった。


ビシュッ!!!! 「うわっ!!!?」


《転生者》の踵から茶色の()のような物が飛び出した。それをなんとか身を引いて躱す。


(こ、これは……………… ()!!?)

「やってくれるやないか こんのクソガキが。」

「!!」


《転生者》は地面に付いた両腕の間から哲郎を奇妙な表情で凝視している。その目は怒りに燃え、対称的に口は引きつってはいるものの笑みを浮かべている。

そして頭や鼻からは(黄緑色の体液)が流れていた。それが哲郎の技が決まった事を証明している。


「……………!!!」

「……まぁそうカリカリすんなや。

ワシに一発ぶち込んだんや。褒美に教えてやろやないか。

ワシの名前を。」 「!!」

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