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異世界に適応する少年  作者: Yuukiaway
新興宗教 編
194/422

#194 The Inferno Tentacle 8 (Against the Human)

「………………!!!」

「なんや? 大口叩いといて来んのかい?

それともワシの攻撃を待っとんのか?まぁ無理もないわな。そんなひょろひょろした腕でワシに勝てる訳ないしのォ。」

(こいつ、僕の戦い方を分かってる!!

里香が教えたのか!!)


公式戦の後の戦いで哲郎は里香(偽ラドラ)に自分の手の内の大半(・・)を見せてしまった。目の前の《転生者》が里香と通じているなら手の内が漏れているのは必然だ。


「ま、ワレから来ぉへんっちゅうんやったらこの場でワシが最初に取る行動は一つやけどな。」

「!!!」


《転生者》は一本の蔓を哲郎目掛けて物凄い速さで伸ばした。辛うじて身を躱すが《転生者》の狙いは哲郎では無かった。


(!! しまった!!!)

「こいつは返してもらうで。ワシと繋がってもうてるからな。」


蔓は哲郎ではなく気を失っているマリナを掴んで引き戻し、あっという間に《転生者》の腕の中へと戻った。


「………ずいぶん大切に扱いますね。

それともその人が捕まるのがそんなにまずいんですか?あなたの事をバラされるのが怖いんでしょう!?」

「さぁな。こいつがワシ()の事を漏らすか言われたら五分五分やろうな。

こいつはこいつなりにワシに忠誠(惚れ)てくれとるさかい。こいつのお陰で安全にメシが飲めた(・・・)しのぉ。」

(何なんだこいつは!! 所々で口を滑らせる!!!

それともバレても問題無いとアピールしてるのか!?)


目の前の《転生者》の不気味なまでの余裕溢れる表情と口ぶりが哲郎の頭の中にどんどん《疑心暗鬼》の感情を植え付ける。自分は相手の手の内が分かっていない為、下手に動く事が出来ない。


「ああせや。足元には気を付けた方がええぞ。」

「!?

うわっ!!!!?」


哲郎の足元から蔓が伸びて襲い掛かった。それを横に飛んで再び辛うじて避ける。

さっきまで足があった場所でとぐろを巻いている蔓が自分の足を掴んで地面に引きずり込もうとしていたと証明する。


「……………!!!」

「ほーん。こいつを避けおったか。

やっぱこの手(・・・)の攻撃は対策出来とるみたいやのぉ。何処ぞのお嬢サマのお陰でな。」

(………コロシアムのサラさんの話か!!

一体どこまで僕の事を把握しているんだ………!!!)


哲郎がここまで手出しが出来ないのは目の前の《転生者》が自分に先制攻撃を仕掛けて来ないからであり、もし来てくれる(・・・)なら今すぐにでもその頭を地面に叩きつけたいと思っている。


「なぁガキ、こんなんやってても時間が無駄になるだけでしゃァないやろ?

ずっと地下暮らしで退屈してたさかい、ワシから仕掛けたってもええぞ?」

「!!

(こ、これはどっちだ!? 嘘か本当か!!?)」

「オラ 余所見すんなや!!!」

「!!!」


マリナを地面に下ろしながら話し続け、そして地面に下ろし終えた直後、《転生者》は地面を蹴って哲郎目掛けて襲い掛かる。しかし哲郎は冷静にこれから《転生者》が何をするのかを見極めようとする。


(何で来る!!? 蔓か!? それとも拳か!!? 蹴りか!!?)

「オラァッ!!!」

(!!!! (パンチ)!!!!)

「くっ!!!」


哲郎が《転生者》の攻撃の種類を認識する事と回避の動作を取ったのはほとんど同時だった。

自分の鼻目掛けて飛んで来た拳を横方向に身を引いて躱す。

そのまま手首を掴み、全力で身体を捻った。腕を折るか、その身体を地面に叩き付ける事が目的だ。


「…………!!!?」

「やっぱりな。里香(アイツ)が言うてたようにワレは甘ちゃんやなぁ。」


哲郎の思惑はどちらも現実にはならなかった。哲郎は間違いなく手首を掴み、その手を下方向へと向けている。本来なら腕の関節が破壊されているか、それを拒否した腕が宿主の身体を地面へと送り届けている筈だ。


「!!!?」


目の前の光景を認識した哲郎は面食らった。《転生者》の黄緑色の腕がありえない方向で曲がっている。先程の植物の魔物と同様に《転生者》の腕にも関節は無い。そこまでは今までの事から説明出来る。

しかし、今起きている光景はそれだけでは説明がつかない。


(う、腕が曲がって伸びている(・・・・・)………………!!!)

「そういうこっちゃ。」

「!!!」


哲郎の背後から蔓が槍のような速度で飛んで来た。《転生者》の手首を離し身体を引いて何とか事無きを得る。


「…………………!!!」

「今ので分かったやろ?ワシの身体は人の()をしとるだけで腕にも脚にも関節は無い。更に自由に伸びると来とる。

分かるよな?この意味が。

ワレが馬鹿の一つ覚えみたいにポンポン使う投げ技も関節技も所詮は人間相手(・・・・)専用の中途半端な戦い方や。んなもんはワシには通じへんぞ!!!」

「!!!」


《転生者》の言葉に動揺しつつも哲郎は頭の中で次にやるべき事を考えていた。

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