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異世界に適応する少年  作者: Yuukiaway
新興宗教 編
193/422

#193 The Inferno Tentacle 7 (Atonement)

(い、一体何なんだこいつは……………!!!!

こいつがここの《転生者》なのか………………!!!?)

「おん? なんやワレ。《転生者》やないかい。

しかも昨日来たガキとは違うみたいやのぉ?」

(僕の正体に気付いた!? って事はやっぱりこいつが………!!

それにこのしゃべり方は…………!!!)


哲郎はその何か(・・)の独特の口調に聞き覚えがあった。前世()に経験した転校の内の一回で訪れた日本 近畿地方に住む人々が話す方言だ。


(って事はこいつは僕と同じ日本(世界)から転生して来た可能性が高い!! 元々人間だった人が違う種族に転生したのか!!?)

「おい(アマ)、次のメシ(・・)はまだまだ先の筈やぞ。それにこんな男の(くっさ)い血ぃ 飲め言うんかい オォ?」

((アマ)!? マリナの事か!? それに今 ()メシ(・・)って言った!!!

って事はやっぱり…………!!!)


哲郎は自分の立てた仮説が真実味を帯びていくのを頭で実感する。そして同時にここで何人もの少女が徒に殺されていた(であろう)という事実が怒りをふつふつと滾らせる。

それでも哲郎は頭を冷静にさせて何か(・・)と対峙しようとする。


「も、申し訳ございません!!!!

私の信仰心が足りないばっかりに侵入者の存在を許してしまって…………!!!」

「なら話ァ早いやないか。そのガキとっとと摘み出せや。 ケツァ拭いたるさかい。」

「か、畏まりました!!! 直ちに!!!」

(摘み出す(・・・・)!? ボクを殺そうとしないのか!?

それとも殺す以外の対処法でもあるのか!?

例えば、僕の記憶を消す方法とか……………。)

「!」


マリナは目を見開いて哲郎に向かって来ている。そしてその手にはなにかの薬品を染み込ませたであろう布が握られている。

その立ち姿だけで『自分の口に布を当てて眠らせる』という作戦が手に取るように分かる。


見開かれた目は哲郎を凝視していた。

『今ここで自分を撃退するしかない』と強く心に決めた目だ。


「うわああああああ!!!」

「…………………………………………」

(………たとえ弟さんに不幸があったとしても、何かにすがる道しか無かったとしても、それでもあなたに同情する事は出来ません。

代償(・・)は払ってもらいますよ!!!)


ドゴッ!!! 「!!!!」


マリナが哲郎の口目掛けて伸ばした布を握った手を躱し、それに合わせて首筋に手刀を振り下ろした。痛いと感じる暇も自分が倒されたと感じる暇も無く白目を向いて倒れる。

哲郎は倒れる彼女を受け止めた。そこにはなんの感情も無かった。


「…………お仲間が一瞬で倒されたって言うのに表情一つ変えないんですね。」

「お仲間ァ? 笑わせんなや。

何が悲しくてそんな人間(・・)と仲良しこよしせなあかんねや?」

「………………… (あなただって人間だった(・・・)でしょうに。)」


人型の植物の魔物の何か(・・)はマリナが倒された光景を顔色一つ変えずに見ている。それが二人の関係が薄っぺらい物である事を物語っていた。


「………ってかワレ、何処の馬の骨や?

何処でここの事を聞き付けおった? この(アマ)の管理はそこまで杜撰やったっちゅうんか?」

「………僕の名前は田中哲郎(・・・・)。この世界で駆け出しの冒険者をやらせて貰っています。

ここへはとある人から依頼を受けて来ました。それで貴方達の事を掴んでここまで辿り着いたんです。」

「……そうか。 で、昨日ここに入信し(入っ)たガキはワレの連れか?」

「……彩奈さんは僕の友達の一人です。彼女のおかげで貴方の存在を知る事が出来ました。

それと、僕も二つ聞きたい事があります。


………この宗教団体から《卒業》した人達はみんな行方不明になっています。彼女達を殺してその血を飲んでいたのは貴方ですね?」

「………そうや。

っちゅうたらどうすんねん?」

「……………………………」


哲郎は昂る頭を冷静にさせて話を続ける。


「………ならもう一つ、

…………貴方の仲間に派手な格好で傘をさした人形使いの女は居ますか?」

「せやから 居る っちゅうたらどないすんねやって聞いとんねや。 答えろやカス。」

「……………里香を知ってるんですね。 それなら僕の取る行動は一つです。」

「……………」


哲郎は構えを取って目の前の何か(・・)と相対する決意を固めた。それを何か(・・)は冷めた目で見ている。


「この場で貴方を倒して、貴方の後ろに居る人達の事を全て教えて貰います!!!!」

「………魔法も使えん(・・・・・・)人間がワシに勝つつもりでおんのかい?

調子乗っとんちゃうぞ クソガキが。」


何か(・・)は初めて表情を歪ませ、背中から大量の蔓を伸ばし、哲郎に狙いを定めた。

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