表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に適応する少年  作者: Yuukiaway
魔界コロシアム 編
16/422

#16 For my homeland

ノアとエティーは両方とも外枠に叩きつけられた。試合は佳境を迎え、観客席はさらに熱狂する。


『ダメージは五分!両雄、再び向かい合った!!!

対峙する青年と大男!!魔法と体術!!!


決勝に勝ち進むのは、果たしてどちから!!!?』



立ち上がったエティーは、拳から冷気を解き、拳を下ろした。


「? なんのつもりだ?」

「勝つのさ。私の最も得意とする戦法でな。小細工無しで真っ向からな!!!」

「…なるほど。終わらせると言うわけか。」


決着の時を迎えようとしているこの試合に、並々ならない歓声が沸き起こる。


『いよいよ 決着なのか!!!?

エティー選手は無構えでノア選手と対峙している!!

対するノア選手は魔法陣を展開し、臨戦態勢だ!!! 果たして勝つのはどちから!!!?』


最終ラウンドのゴングは、唐突に鳴らされた。


『エティー選手、ノア選手に全速力のタックルだーーーー!!!!

ノア選手、腹部にモロに食らった!!!!!』


ノアより一回り以上大きなエティーの全体重が乗ったタックルがノアに炸裂した。

重さ200kg近い砲丸を腹にくらったようなものだ。


しかし、ノアもこれでは終わらない。

背中に魔法陣から爆発魔法を見舞う。


エティーは地面に腹うちで、ノアは外枠に背中から叩きつけられた。


『腹と背中にそれぞれ クリーンヒットだ!!!』


エティーは外枠に密着したノアに拳を振るう。ノアはその拳をいなしている。

そして飛んできた拳を躱し、その勢いを利用してエティーの顔面に拳を見舞う。


『これはすごい!!!

両者譲らず 一進一退の攻防です!!!!』


エティーは力任せに拳を振るう。ノアはいなしてはいるが、躱しきれずにダメージを受けている。


「この体は、私の存在は、祖国の明日のためにこそ存在する!!!

だから私は勝たねばならない!!! 祖国の明日が明るくあるために!!!!」

「……そうか。祖国のために………

ならば 俺に勝って見せろ!!!!!」


ノアの手のひらがエティーの腹に触れた。


ドガァン!!!!


『き、決まったァーーーー!!!!

エティー選手の腹部に爆発魔法がクリーンヒット!!!!!


エティー選手、吹き飛ばされた!!!!

巨体が宙を舞う!!!!』


外枠に叩きつけられたエティーは、グロッキー状態になった。終わらせんとノアはエティーとの距離を詰める。


「………愛国心………

気高く美しい精神だった。

楽しめたぞ。


━━━━━━━終わりだ!!!!!」


ノアが手のひらを振り上げ、エティーの頭部に魔法を見舞う。


しかし、


『エ、エティー選手 間一髪躱した!!!!

まだ反撃する余力がありました!!!

ここから逆転を見せるのか!!!!?』


エティーがノアの腰に腕を巻き付けた。


『ノア選手をがっちりと捕らえたエティー選手。ここから逆転が始まるのか!!?』


「ぬあああああああああああああああ!!!!!」

エティーが渾身の叫びと共に、全力で仰け反った。


『な、投げたァーーーー!!!!



い、いや!!!!』


ノアが素早く足を地面に付けて踏みとどまった。


『ノ、ノア選手 強引に切り返しました!!!!』


そのままエティーの勢いも乗せて、ノアが仰け反った。


『エティー選手が飛ばされたァァァーーーーー!!!!!


体重 200kg近くある巨体が宙を舞う!!!!

軽々と投げ飛ばしてみせましたノア選手!!!!

決着の時か!!!?』


エティーは顔面から外枠に激突した。

しかしすぐに立て直し、ノアの追撃に備える。


「わ、私は…………


祖国のために!!!!!」


エティーは最後の力を振り絞ってノアに拳を振るう。しかし、拳はノアの顔の横の空を切った。

ノアはその手首を掴み、



『な、投げ技です!!!!

エティー選手、背中から地面に叩きつけられた!!!!』


そしてノアの手刀が振り下ろされ━━━━




『こ、これはどういうことだ!!?

ノア選手の手刀が顔面直撃 寸前で止まった!!!!』



「な、何を…………………」

「お前はもう十分祖国に尽くした。

そうだろ?」

「!!!!!」


ノアの一言に、エティーは驚愕した。

自分の思考を見透かされたことに。


『ノ、ノア選手 背を向けました

これは一体…………』


エティーがむくりと起き上がった。



「………私の負けだ。」



エティーのその一言で、準決勝 第1試合は唐突に終わりを告げた。



「……君は私の理念を認め、それでいて救いの言葉をかけてくれた。

それに、さっきの寸止め。あれは私を戦士と認めての敬意だったんだろ?


私の完敗だよ。」

「その通りだ。お前は立派に祖国に尽くした。」


そして、ノアとエティーの手が固く結ばれた。



『決着ゥゥゥゥゥーーーーーーーー!!!!!

魔法vs(たい)体術の対決 ノア選手に軍配が上がりました!!!!!

そして、互いの健闘を認め合うその姿はかくも美しい!!!!


ノア・シェヘラザード選手がエティー・アームストロング選手を下し、決着進出を決めたのです!!!!!』


ノアがエティーの肩を抱えて試合会場を去っていく。その2人に、惜しみないほどの拍手が送られた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ