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異世界に適応する少年  作者: Yuukiaway
国王 謁見 編
154/422

#154 Abomination

「━━━んで、どういう事なのよテツロウ!!

昨日国王様のお城で何があったのかちゃんと説明してよ!!」

「ちょっとお姉ちゃん!少し落ち着いてよ!」

「いえ良いんです ミナさん。ちゃんと全部話します。その為に皆を集めたんですから。」


国王の城で里香の襲撃にあった翌日

哲郎はパリム学園の魔人族 天人族科に足を運んで食堂にノアとサラ ミナの三人を集めた。




***



里香の撤退から物の数時間で城に沢山の人が集められた。国王はそこで初めに決めていた判決文を読み上げ、レイザー達に里香の正体を調査させる事を条件に刑の執行を猶予する事を認めさせた。

里香の存在そしてその恐ろしさを目の当たりにした者達やそれを聞かされた者達は皆国王の判決に異議を唱えることは無かった。


そして国王は里香について現時点で分かっている事を洗いざらい話した。

この世界には転生者という者が存在し、里香がそれに該当している事

世界を破滅させようとしている組織が存在している事

大広間の天井の穴は根源魔法を模倣した里香によって開けられた事

ラドラ・マリオネスはその組織の単なる犠牲者に過ぎなかった という事

その全てを説明した。


しかし国王は哲郎が転生者である事は明かさなかった。




***




「………テツロウ君。此度は君を危険な目に合わせて本当に申し訳無かった。」

「いえいえ そんな事気にしないで下さい。国王様が悪い訳はありませんよ。

悪いのはあの里香なんですから あいつがここを襲撃するつもりでいたならいずれにしろこうなっていましたよ。」


国民達への報告が終わった後、哲郎は城の一室に呼ばれてそこで国王からの謝罪を受けた。


「否、私が頭を下げるのはそれだけでは無い。

君が居てくれたからこそ彼奴からの被害を最小限に抑えることが出来た。もし君がいなければ それこそ私や騎士達だけでなく国民から死人が出ていた可能性すらある。

本当に心から感謝したい。」

「………………………」


国王 そして騎士達は自分達の自尊心すら投げ捨てて哲郎に頭を下げた。

ここまで来ると最早 謙遜すら失礼に当たるのではないかと思えてくる。


「それはそうと、ここに呼んだという事はまだ僕に用があるんでしょう?」

「……実を言うとそうなんだ。ここまで迷惑をかけた君に頼むのは心苦しいのだが、」

「という事はつまり、僕じゃなきゃ頼めない案件だという事なんですね?」

「ああ。世間に顔が割れている我々ではやりにくい事なんだ。」

「分かりました。これから何をするか決めている訳でも無かったですし、引き受けましょう。

それで、具体的に何をすれば良いんですか?」

「君にある所に行ってもらいたいのだ。」




***




「……なるほどな。それでどこに行ってくれと言われたんだ?」

「それがよく分からないんですけど、《鬼ヶ帝国》って所に行ってくれって言われましてね」

『お、《鬼ヶ帝国》!!!!?』

「え!? は、はい。」


サラとミナだけでなく、ノアまでもが驚きの表情で哲郎に迫った。




***




哲郎は三人が何故驚いたのかその理由を聞かされた。それは鬼ヶ帝国が世界から孤立した鎖国国家だからである。

そこには世にも珍しい《轟鬼(ごうき)族》という種族が生活しているという。



「鎖国って、他の国と関係を持たないっていう あれですよね?」

「そうよ!そんな得体の知れない場所にこんな子供を寄越そうだなんて国王様は一体何を考えてんのよ!!」

「いやそれがですね、その鬼ヶ帝国には滅多に近付くことはできないらしくて それで腕があって顔が割れていない僕に行って欲しいという事になったんです。

僕は全然大丈夫なんですよ?学園の問題を解決した後の予定なんて全然立っていませんでしたから。」

「そうなの? だったら別に良いんだけど。

で?その間は?」

「? その間?」


哲郎が質問の意図が分からないでいるとサラが呆れたように口を開いた。


「決まってるでしょ? 今すぐに帝国に行くって訳じゃないんでしょ?」

「はい それはもちろん。

出発は今から一週間後ですね。」


それを聞いたサラの口元が少し綻んだ。


「? 僕何かおかしな事言いましたか?」

「テツロウ、その一週間で一つ依頼を受けて欲しいって言ったらどうする?」

「依頼? それって冒険者としてですか?

どうして僕に?」

「あんたにしか頼めないって事よ。

結構小さい(・・・)依頼だから。」

「小さい?」

「小さいってのはギルドにとっての話よ。

私達には大きな問題だから。」


サラは懐から一枚の写真を取り出して哲郎に手渡した。


「誰ですかこの人? サラさんの知り合いですか?」

「ええ。私の友達の一人よ。

その娘の妹を助けて欲しいっていう依頼なのよ。

宗教団体(・・・・)から。」

「宗教団体?!」

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