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異世界に適応する少年  作者: Yuukiaway
国王 謁見 編
150/422

#150 The Crazy Beauty

「や! 久しぶり…………………って程時間も経ってないか。

まぁとにかくまた会えて嬉しいよ 哲郎君!」

「里香……………!!!」


国王の玉座の上 天井近くの装飾の上に少女が座っている。その異様な光景はその場に居た全員をパニックを通り越して沈黙させた。

そして国王に携わる人間は皆 その少女が哲郎が持ってきた写真の人物であると理解した。


しばらくの沈黙の後、状況を理解できない人々のがやがやとした声が場内に少しづつ発し始めた。


(そうか! みんなまだ里香の顔を知らないんだ!!

どうする?! この何も知らない大勢の人達を一斉に外に出すのは無理がある!!

だけど間違いなく里香は沢山人が居るこの場所で何かやるつもりだ!!!)



「おい貴様!!! ザフマンを離せ!!!」

「!!!」


国王の護衛をしていた騎士の内の一人が里香に向けて弓を構えた。哲郎が止せと言う間もなくその矢は放たれ 里香の眉間目掛けて一直線に突き進む。


シュパッ!!

「!!!? 何!!!?」


里香の顔面で何かが光り、矢が縦に二つに割れ彼女の左右を素通りした。

哲郎は直感的に里香が細い糸を巧みに使って飛んでくる矢を真っ二つに割ったのだと理解した。


「答えろ!! ザフマンをどうするつもりだ!!?」


自分の放った矢が縦に真っ二つに割れた

その異様な光景を見せつけられてなお彼の戦意は折れず、里香に更に凄んだ。


「……その台詞、先に攻撃してから言う??

まぁ 答えてあげると、良い素体(・・)がないか探しに来たんだよ。」

「?! 素体?!!」


(!!! まさか━━━━━━━)

「今すぐその場所から離れて!!!!」

「?! 何を言って━━━━━━━

グエッ!!!!?」 「!!!!」


哲郎の警告も虚しく矢を放った騎士は苦しそうに首に手をやったかと思うとその身体が宙に吊るされ、里香の目の前で止まった。彼女の左右にザフマンと弓の騎士が吊るされている。


「ん〜 結構丁寧に鍛えられてるね。流石は国王サマを守る騎士さんってトコかな。

これならそこそこの(・・・・・)ができそうかな!」

(!!! やっぱり!!!)


「させるか!!!!」 「!!!」


哲郎の真横からオルグダーグの砂の触手が里香目掛けて一直線に伸びた。しかしその砂は里香の前方に作られた交差する二本の巨大な人形の腕に阻まれる。


「ッ!!」

「凄い凄い!! やっぱり国王サマの護衛を任されてるだけのことはあるねー!

(ワード)と使い方は同じでも精度が段違い! 分かってたけど魔法と《能力》でここまで差があるとはねー!」


嫌味を混じえてオルグダーグを褒めたたえた後、里香の表情が険しくなっていく。


「……………だけどボクの芸術(・・)の邪魔をするのは止めて欲しいかな。この服や人形達を砂でドロドロにされたらたまんないし。」

「……………!!」


「あ! そうだ!

折角哲郎君が居てくれてることだし、サービスしてあれ(・・)作っちゃおっか!」

「!!?」


人が変わったように明るい表情になった里香が指を縦に振り上げるとザフマンと弓の騎士の表情が苦痛に染まり、その喉から声にならない程の呻き声が漏れ出した。そして二人の顔面や身体がガタガタと木が揺れるような音と共にどんどん変形していく。

それが始まった直後には哲郎と国王達以外の人間は皆 混乱と共に一斉に出口になだれ込み、大広間から逃げ出した。


そして大広間が静かになった頃には里香の変形は完了していた。彼女の左右に《五体満足のくるみ割り人形》と《上半身だけのくるみ割り人形》が浮かんでいる。


「よしよし悪くない出来栄え!そんでもってこの二つを

ガッチャンコ っと!」

「!!!!」


里香が両手を組んだのを合図に彼女の製作(・・)は完了した。作られたのは哲郎が地下通路で襲われた《上半身が二つくっ付いている人形の怪物》そのものだった。

下手に里香を刺激出来ない哲郎達は二人の騎士が人形に変えられていくのをただ 指をくわえて見ている事しか出来なかった。


「…あー、 驚いてるとこ悪いけど、君達への用はもう済んだよ?」

(!!! それってまさか!!!)

「さ! まだ遠くには行ってないよ!

素体(・・)を沢山捕まえて来て!!」

(やっぱり!!! 狙いは弱い傍聴者達か!!!)


哲郎が振り向いた時には怪物の姿は既に大広間の入口近くにあった。


(だ、ダメだ 間に合わない!!!)

「行かせるか!!!!」 「!!」


その瞬間、大広間の出入口を砂の壁が塞いだ。

人形の怪物は砂の壁に強かに打ち付けられる。


「おー 反応早いねー。」


その様子を里香は驚きもせずに見つめていた。


「オ、オルグさん!!」

「テツロウ君、しっかりと聞け。

今ので奴をこの大広間に閉じ込めた。最早援軍は望めない。今ここに居る私達だけで奴を倒す。 戦えるな!?」

「はい、もちろんです!!!」


オルグダーグに助けられてばかりではいられない と言わんばかりに哲郎は己に喝を入れた。

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