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異世界に適応する少年  作者: Yuukiaway
国王 謁見 編
146/422

#146 The Kingship

哲郎はたった今 国王が言った言葉を頭の中で整理し、そしてその上で理解出来ずにいた。

自分の耳が正しければ国王は『姫塚里香が転生者である』と言ったのだ。


「ん? どうした?

姫塚里香(リカ・ヒメヅカ)について知っている事を教えてくれ と言ったのだが?」

「ど、どうしてそれを…………!!!?」 「?!」


「どうして彼女が転生者だと知っているんですか!!!? ま、まさか国王様も━━━━━━」

「いや違う。 私は転生者では無い。

ただ私の世話係の一人が 『こんな事は魔法では到底出来ない。 転生者の能力でなければ説明がつかない』と言っていた。そいつは転生者だったからな。」


哲郎は心の中で『そうですか』と安堵し、質問を重ねる。


「………国王様は転生者の存在を信じているんですか?」

「信じるも何も転生者の存在は公式に確認されている。古い書物の中とはいえ その存在は伝説として語り継がれているからな。


それよりもテツロウ君、君はたった今 『国王様()』と言ったが もしや」

「!!

…………はい。僕も里香と同じ転生者です。隠すような真似をしてすみませんでした。」

「構う事は無い。他言はしないから安心してくれ給え。

それで、私の質問にまだ答えていないが━━」

「! 分かりました。知っている事を全て(・・)お話します。」




***




哲郎は時間を掛けて 自分を転生させてくれたラミエルの存在

里香が所属するラグナロクの破滅を目論む組織の存在

そしてその組織のトップの前世(正体)をラミエルが知っている事を順を追って説明した。



「━━━これで知っている事は全てです。信じて貰えますか?」

「無論 信じよう。この世界には転生という物があるのだ。その位の事は不自然ではないだろう。それで、それを証明出来る物は何かあるか?もしあれば私以外の誰かに説明する時にでも使いたいのだが」

「申し訳ありませんがこれといってありませんね。彼女 ラミエルさんは既に死んで僕にだけ干渉出来る幽霊のような状態になっていますから。」


残念だ という様子は顔に出さず、国王は首を縦に一回だけ振った。



「では、話を次に移したいのだが、そのリカがなりすましていたという証拠は持ってきているかね?」

「それはちゃんと持ってきました。 こちらです。」


哲郎は鞄に入れていたラドラ(の人形)の生首と里香が写る写真を机の上に置いた。

国王はその生首を手に取ってまじまじと見つめる。


「…………ふむ なるほど。実に精巧に出来ている。これではみんな騙される筈だ。

眼球は水晶を加工した作ったのか………………。

テツロウ君、報告ではこの表面には触感を偽造する魔法が掛けられていたと聞いているが、それも本当かね?」

「それも間違いありません。それ(・・)と戦って実際に触れた僕ですらまんまと騙されました。まだ魔法式の痕跡は残ってる筈ですから後で確認をお願いします。」

「分かった。 ではこの二つは裁判で使うからそのつもりでいてくれ。」


哲郎は目を閉じて頷いた。 これから本当に裁判が始まるのだと実感させられる。


「それで最後に言っておかなければならない事があるのだが、判決は既に決まっている(・・・・・・・・)。」

「エッ!!?? 決まっているってどういう━━━━━━」

「というのもだな、君に証言してもらいたいのは私ではなく学園生徒や国民に対してなのだ。

ラドラになりすましていた女がいるという事をな。」

「………理屈は分かりますが、その判決というのはどういうものになっているんですか?」


哲郎の質問に対し、国王は返事の代わりに丸めた紙を懐から取り出した。


《主文

グス・オーガン ロイドフ・ラミン アイズン・ゴールディ

レイザー・マッハ ワード・ウェドマンド エドソン・グリムガン ユーカ・アムーレ ナイク・シュリカン ハンマー・ジョーズ


計九名をパリム学園 退学及び国外追放に処す

但し ラドラ・マリオネス成りすまし事件の調査協力を条件にのみこの裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。》


「………これってつまり執行猶予って事ですよね?」

「そうだ。ラドラになりましていたリカに一番接触していたのは彼らだから是が非でも協力してもらいたいのだ。

リカ達がこの世界の破滅などを目論んでいるのならば尚更だ。」

「…………………………!!!」


国王の表情は真剣そのものだった。

これから裁判にかけられるのが学生(未成年)とはいえ執行猶予をつけたりすればいじめの被害者から反感を買う可能性もあるかもしれないが、国王は全く恐れていない。

国王は自分の地位や身よりこの世界の安全の為に行動している。


これが王家の血を引いていない彼が国王になれた理由なのかもしれない と哲郎は思った。

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