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異世界に適応する少年  作者: Yuukiaway
国王 謁見 編
143/422

#143 Pescatore party

「お待たせ致しました。

ペスカトーレ ファミリーサイズです。ごゆっくりどうぞ。」


エクスの屋敷で国王からの招待状を受け取った翌日、哲郎は近況報告の為に自分とエクス、ノア、ファン、サラ、ミナ の計六人をパリム学園 魔人族・天人族科の食堂に集めた。


「僕がみんなの分よそいますね。」


そう言ってパスタと一緒に出された六人分の小皿を手に取り、麺を巻き上げて器によそう。

それぞれの性別や体格を考慮して麺の分量を調節し、そこに均等に具を盛っていく。


「随分手際が良いな。」

「昔 食事の席ではこういう事は僕がやっていたので。 はい サラさんどうぞ。」

「ありがと。」


サラは表情一つ変えずに盛られたパスタを受け取った。彼女と最後に会ったのはこの魔人族科でレーナに決闘を申し込まれた時以来である。


「………それで、どこから話せば良いでしょうか? 僕達が公式戦で勝った事はもう知ってますよね?」

「ええ。こっちでも記事になってしばらく大騒ぎしてたわよ?〖公式戦にて史上初の下克上が達成された〗なんて仰々しい見出しと一緒にね。 あんたがアイズンに大口叩いた事もしっかり書かれてたわ。」

「………そこは触れないで下さいよ。

ちょっとかっこつけ過ぎたなって後悔してるんですから。それにあれは彼に二度といじめをやる気を起こさせない為に演技でやっただけですから。」

「その割には随分とノリノリだったそうじゃない。冒険者より子役にでもなった方が安定して生活できるんじゃないの?」

「お姉ちゃん! その辺にして早く食べよう!

パスタ冷めちゃうよ?」

「! わ、分かったわよ。」


ミナに諭されてサラはしぶしぶと麺を口に運んだ。その様子を見て『助かった』と軽く胸を撫で下ろす。


「それでテツロウ、今度は私から質問良い?」

「? どうしました?」


食事の席とは思えない程神妙な面持ちでミナが口を開いた。


「……公式戦の後で聞いたんだけど、あの(・・)ラドラが偽物だったっていうのは本当なの?」

「!!」


突然 本題に入られた哲郎は一瞬たじろいだ。

横目でエクスに視線を送ると表情を全く変えずに黙々と麺を口に運んでいる。エクスがミナに伝えたらしいと判断した。


「それは間違いありません。彼になりすまして学園に良からぬ事をやろうとした女が居ます。証拠もあります がそれは後で見せます。


人形とはいえ精巧に作られた【生首】ですから。」

「!!」


【生首】というあまりに直接的な単語に食欲を乱されたのか、サラの喉が震えた。

むせるには至らなかったらしいが水を一口飲んで一息をつく。


「サラさん! 大丈夫ですか!?」

「え、ええ 大丈夫よ 心配ないわ。

ちゃんと証拠品が人形の首だって事も知ってたから 安心して。」


サラの顔がほんの少しだけ青くなっているのを見て『表面を触感を人肌に見せ掛ける魔法を掛けて再現していた事』や『眼球や唇や歯が本物そっくりに作られていた事』や『首だけになった今ですら本物そっくりに見える事』など色々言おうと思っていたが止めておこう と思った。


「だけどやっぱりとてもじゃないけど信じられないわね。いくら魔法とは言っても所詮は人形でしょ?それを人間そっくりに動かしたり見せかけたりするなんて聞いた事ないわ。」

「?! (里香が【転生者】だって事は教えてないのか?)」


「ねぇテツロウ、あんた何か聞いてないの?

その偽者の目的が何なのかとかそいつがどこの誰なのかとか そもそも何でラドラに目をつけたのか とかさ。」

「いや、彼女については何も聞いていませんね。強いて言えばノアさんとエクスさんが友人だったと知っていて(学園内での生活で知ったんだと思う)、それを僕に教えてくれた事くらいですね。」


他にも自分が転生者である事や、哲郎達が実は【不完全な転生者】である事などを教えていたが、伏せておく事にした。


「それに付けても気になるのはこれからよね。

好き放題いじめをやってたグスやアイズン達はもちろん、レイザー達まで捕まえたんでしょ?

まぁ退学や国外追放は免れないだろうけど。」

「その事についてなんですけど、どうやら僕が重要な役割担わなければならないかもしれないんですよ。」

「? どういう事?」


哲郎はフォークとスプーンを皿の前に置いて、持ってきた鞄から礼の便箋を出した。


「!!!? そ、それってまさか…………!!!」


豪勢な便箋の内容を察したのか、サラだけでなくミナの表情も驚きに染まっていく。


「そう。【国王からの招待状】です。これがつい先日送られてきました。

何でも、ラドラ・マリオネスが偽物だった事に関して、一番事件に関与した人物として証言して欲しいらしいんです。」


哲郎は表情を崩さない。

依頼を完遂した後始末も冒険者の立派な務めであると理解していた。

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