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異世界に適応する少年  作者: Yuukiaway
国王 謁見 編
138/422

#138 Beginning of the Tempest Part2 ~The Unwanted Reincarnation~

「ラグナロクの 破滅……………?!!」


ラミエルから告げられた事実は哲郎の予想を超えている物だった。


「申し訳ないですが彼らの目的について知っているのはそれだけなんです。

その代わりと言ってはなんですが、【転生者】について気になってるであろう事を全てお話します。」

「気になってるであろう(・・・・)事?」

「はい。私の口から言うのもおかしいですが、どうして【適応】という能力が与えられたのか分かりますか?」

「どうしてって それは僕が【今まで様々な人に接することや様々な場所で生活してきた】からで………………

え!!? まさか!!?」

「そのまさかです。あなたに【適応】が与えられたように、そしてエクスさんが【聖剣】を持っているように、転生者に与えられる能力はその人の前世によって決まるのです。」

「じゃあつまり……………!!」

「そうです。あの姫塚里香(リカ・ヒメヅカ)は【人形】に関係する前世(過去)を持っているという訳です。」

「人形に関係する過去ってどんなのですか?」

「それは私にも分かりません。」


哲郎の一言で二人の間になんとも言えない空気が流れる。


「……じゃあ今度は僕から質問させて下さい。」

「はい。 何ですか?」

「その巨悪と戦うのをどうして僕に任せたんですか?僕なんかよりノアさんやエクスさんの方が頼りがいがあるように思うんですが。」

「それは彼らが転生する際に私と会う事が無かったからです。そしてあなたに任せた理由がもう一つあるんです。

それは あなたの【適応】の防御力が必要だからです。」

「【適応】の防御力?」

「いずれその必要性が分かる時が来る筈です。」

「分かりました。

それで、その戦いで二人に協力してもらう事はできませんか?」

「あの二人は里香(リカ)の正体を知りたがっていますから、きっと力になってくれる筈です。」


「……そうですか。 じゃあもう一つ

里香以外の構成員は分かりますか?」

「申し訳ないですが、それは私にも分からないんです。」

「そうですか。だったら」

「?」

「だったらそもそもなんでそんなに謎の多い組織の存在をあなたが知ってるんですか?」

「!!」


ラミエルの顔が見る見るうちに青くなっていく。


「……まさかとは思いますが……………!!」

「いいえ。 それにはちゃんとした理由があるんです。」


哲郎の頭の中によぎった最悪の想定を否定するかのようにラミエルが口を開いた。

その表情は真剣そのものになっている。


「それは、その組織(巨悪)の一番上にいるのが死んだ私の関係者だからです。」

「!!!? 関係者!!?

どういう事ですか!!?」


「…………田中哲郎(テツロウ・タナカ)さん。

改めてあなたにお願いしたい事があります。

私の、私の恋人(・・)を止めて欲しいのです!!!!」 「!!!?」

「あ、す、すみません!

単刀直入に言いすぎました。順を追って説明します。」


必死になっていたラミエルの表情が哲郎の驚愕する表情で我に返る。




***



生前のラミエルは川に面したしがない村の住人の一人として農業をしながら細々と暮らしていた。そんな彼女には恋人がいた。

物心つく前から村で苦楽を共にし、いつしか二人共に惹かれあっていた。

彼女自身 このささやかな幸せがこれからも続くと思っていた。



そんな時、村を悲劇が襲う。



王都の暴君の利己的な策略によって村が襲われ、焼き払われたのだ。

ラミエル そしてその恋人を含む村民全員が帰らぬ人となった。この一件は表向きには盗賊団の仕業として処理されている。


そして運の悪い事に、ラミエルの恋人だけが望まぬ転生(・・・・・)を果たした。

自分が死んだ事、そしてもう最愛の人に永遠に会えない未来に絶望した彼はラグナロクの破滅、そして元の世界に帰って復讐する事を誓ったのである。




***




「これが私の今際の話です。」


ラミエルの今際の際の話を聞いた哲郎の表情は青ざめていた。人が死ぬという事がどういう事かを身をもって知っているからだ。


「………そんな酷い話が実際に起きていたんですか………………!!!」

「…人の命には過敏だと思ってましたがそんなに真剣に聞いてくれるとは思っていませんでした。ありがとうございます。」


ラミエルは哲郎に向かって頭を下げた。


「それはそれとして、他に分かってることは無いんですか?少なくとも名前くらいは知ってる筈でしょう?」

「名前 は最早問題ではないでしょう。

転生してる以上変わっている筈ですから。」

「ああ そうか。」


「……ただ、一つだけ分かっていることがあります。

私の彼、もとい組織のボスは二人組です。」

「二人組?」


「はい。同じようにラグナロクの破滅を目論む誰かと手を組んで、ラグナロク中の転生者を仲間に引き込んでいる。

それが巨悪の正体です。」

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