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異世界に適応する少年  作者: Yuukiaway
ラドラ寮 全面衝突 編 第二幕
129/422

#129 The Overture of catastrophe Part4 ~Faith of Fake~

『……質問に答える?』

「言葉の通りです。僕の質問に嘘偽り無く答えて下さい。」

『………分かった。とりあえずそっちに迎えを送る。』

「お願いします。」


言葉の中に『何の事か分からない』と言っているのが手に取るように分かった。エクスはまだバレていない(・・・・・・・・)と考えている。それがあまりに気味悪く、そしてそもそも何の為に隠していたのかも分からない。


迎えを頼んだ後の哲郎の頭の中では里香の言葉から得られたあまりある程の謎が渦巻いていた。その場に座り込んでこのラグナロクに来てから得られた情報を頭の中で必死に整理し取っ掛りを掴もうと苦闘する。



「テツロウさん!」 「!」


座り込んでしばらく思考をめぐらせていると通路の奥から一人の男が走って来た。


「遅くなって申し訳ありません。エクス様のご命令でお迎えに上がりました。」

「こちらこそわざわざお手数を掛けさせてすみません。それでここから屋敷まではどれくらいかかりますか?」

「幸いにもこの通路を真っ直ぐに進めば地下水路から屋敷に出られます。 さぁ行きましょう。」

「分かりました。」


本来なら勝利を祝う帰路の筈だが心做しか足取りが重く感じられた。ノアやエクスが自分に何を隠しているのか気が気では無かった。




***




「テツロウさん!!!!」

「ラドラに勝ったんですね!?」

「君なら勝てると信じていたぞ!!!」


屋敷に戻った哲郎を待っていたのはファンやアリス達の勝利を祝う言葉だった。しかし今はその言葉すら心に響いてこない。 ラドラが偽物だった衝撃と自分に隠し事をされた驚きとで後味は最悪と言っていいほどだ。


「……ありがとうございます。

エクスさんの計画が台無しにならなくて本当に良かったです。」


軽く流すセリフを言ったがこれは本音だ。

自分の初任務が問題なく成功し、エクスの計画を継ぐ責任も果たした 結果だけ見れば最高と言って良いほどだ。


ファン達を適当に相手してエクスに視線を送る。


「……エクスさん、七本之牙(セブンズマギア)は今どこに居ますか?」

「今は尋問室に入れている。もう抵抗する意思もないから拘束もしていない。」

「……そうですか。 それは好都合です。」 『?』


哲郎は目を閉じてラドラとの戦いで得た真実を話す決心をした。それは即ちこの場にいる全員を自分の目的に巻き込みかねない事だ。


「……皆さん 僕と一緒に尋問室に来てください。そこでラドラの正体(・・)をお話します。」




***




エクスに連れられて尋問室に入るとそこにハンマーやレイザー達 七本之牙(セブンズマギア)の面々が座らされていた。

最低限の手当を受けて観念したのか大人しくなっている。

そしてその前方にファンやガリウム達が座り、哲郎が二組を挟んで机の端に立った。


哲郎を見た七本之牙(セブンズマギア)は何故ここにラドラが居ないのか疑問に思ったのか少しざわつく。


「……皆さん ここに集まって貰ったのは他でもありません。 どうか今だけは敵味方は関係なく今から僕が話す【事実】を聞いてください。


到底 信じられないでしょうがこれは正真正銘の事実です。僕自身 今も信じられません。」

『?』


もったいぶった言い回しにその場にいた全員が疑問を抱く。


「………結論からお話します。

七本之牙(セブンズマギア)の皆さん あなた達は騙されていた(・・・・・・)んです。

あなた達が忠誠を誓ったラドラ・マリオネスは全くの別人でした。」

『!!!!?』


突如として告げられた事実に部屋に衝撃が走る。


「こちらがその証拠です。この女性がラドラそっくりの人形に身を包んで彼に成り代わっていたのです。」

『……………………!!!!』


哲郎は机の上にラドラの人形の生首と里香が映る写真を置いた。その事実が信憑性を帯びていくにつれて七本之牙(セブンズマギア)の面々の表情が目に見えて青ざめていく。


「……それであなた達にひとつ提案があります。これからあなた達は多かれ少なかれ責任を問われるでしょうが 僕に偽ラドラ(この女性)があなた達に何を言っていたのか教えていただければ酌量出来るように掛け合うと約束します。」


突然の事実を受け入れられないのか全員が生首や写真に釘付けで哲郎の方を見る者は一人もいなかった。


「……今の心中はお察しします。

すぐに答えは求めません。よく考えておいてください。

では僕はこれで失礼します。」


彼らのした事の全てを許した訳では無いが彼らこそが偽ラドラ(姫塚里香)の事を一番良く知る人間である以上 彼等から情報を得ることが唯一の手掛かりの入手方法だ。




***




「………テツロウ 今の話は間違いないんだな?」

「はい。姫塚里香(リカ・ヒメヅカ)と自分で名乗っていました。詳しい事はまた後ほどお話します。」


哲郎はエクスと一緒に通路を進む。目的地は三人(・・)だけで話せる部屋だ。


表面上は落ち着いているが頭の中では手掛かり一つ無い謎が渦巻いている。哲郎は無意識の内に安心を欲していたのだ。

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