表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に適応する少年  作者: Yuukiaway
ラドラ寮 全面衝突 編 第二幕
128/422

#128 The Overture of catastrophe Part3 ~Friends of Fake~

ノアとエクスが友人同士である事を哲郎に隠していた(・・・・・)と里香は哲郎に言った。


「………………………!!!」

「あれ? ボクの言ってる事がそんなに信じられない? それこそ後で本人に確認すればいいんじゃないの?」

「!!」


里香は哲郎に向かって煽り立てる視線を送る。


「…………言われなくてもそのつもりですよ。」

「あーそ〜?」


精一杯の虚勢を張るが哲郎の頭の中は動揺で埋め尽くされていた。今考えれば哲郎が最後にノアと接触したのはエクスに出会うより前の事だ。

初めてエクスと会った時に彼は『全てを知っている』と言った。今になってなぜその理由をしっかり聞かなかったのか自分に問い質したくなる。

あれがノアから自分が学園に潜入する事を知らされて自分を見て転生者だと見抜いたからだとすれば全てに辻褄が合う。そもそもマキムに変装する術を与えてくれたのは他でもないノアだ。


思考を巡らせれば巡らせるほど表情が猜疑心に染まっていく。


「あれ? どうしたのその表情()

もしかして転生者の事もよく知らないのに『巨悪を倒す』とかイキっちゃってたの?」

「!!!!?」

(な、何であの事(・・・)まで知っているんだ!!!!?)


他でもない哲郎がラグナロクに行く前の事

自分を事故から救ってくれた女性は『ラグナロクで人知れず暗躍している巨悪』の存在を話した。そして哲郎の最大の目的はその巨悪を倒して元の世界に帰る事だ。


(ま、まさかさっき言っていたあの人(・・・)って……………!!!)

「それとさ、もうどうせすぐにバレる事だし教えてあげよっか? ボク達はね


!」 「?」


哲郎に話しかける途中で里香は突然 背中を見せた。そして懐から水晶を取り出す。


「…………………はいはい。

…………え? 喋りすぎだって? はい スミマセン。

…………はい 分かりました。すぐに向かいますね。」


里香は水晶を懐にしまって哲郎の方を向いた。


「あー ごめんねー。

すぐに戻って来いって怒られちゃって これから戻らないといけないんだー。」 「!!」

「心配しなくてもその糸なら解いてあげるよ。そもそもその糸はボクから離れすぎると勝手に消えちゃうからさ。」

「…………………。」


ひとまず拘束が外れることに一安心し、そして彼女の言っている事がどこまで本当なのか思考を巡らせる。


「あ、それから哲郎君。

ボクに勝てたご褒美にいい物をあげるね! あの中に入れといたからさ!」

「?」


後ろのラドラの生首を指さして言うと里香は後ろに手を伸ばし、魔法陣のようなものを展開した。そこに足を突っ込むと里香の半身が見えなくなる。


「それじゃ哲郎君 ボクはこれで帰らせてもらうね。出口はあそこにあるからエクスやあの七本之牙(バカ達)に宜しく言っといてね!」

「………………………!!!」


終始 人を食った言動が鼻についたが今の哲郎が彼女を引き止めて得をすることは何も無い。

里香の姿が魔法陣に消え、その魔法陣も消えると哲郎を縛っていた糸が消え自由の身になる。


頭の中が謎や疑念で埋め尽くされていたが今出来ることは一つしかない。彼女が自分に残していったラドラの生首に入れられた《ご褒美》を手に取る。それが罠である可能性も十分に考慮して慎重に手を伸ばす。


「……………これは……………………!!!」


生首の空洞に入っていたのは里香がラドラの人形を抱えた自撮り写真と《N:46.957》と《E:55.263》という奇妙な数字が書かれた紙だった。




***




(………僕への挑戦状なのか? 正体がバレても問題ないというのは本当みたいだな……………………。)


これをどう捉えて良いのかは分からないが、とりあえず危険な物では無かったと胸をなでおろし、里香が指し示した出口へと歩を進める。

これも罠である可能性があったが、哲郎に残された道はそれしか無かった。


「!」


何も無い壁に手を当てると先程と同じ魔法陣のような物が展開され、腕がスルスルと入っていく。そのまま全身を入れると広い通路へと出た。

そして哲郎の目に入ってきたのは地面に置かれた水晶 そして傍に置かれた紙だった。そこには『おめでとう エクスに迎えに来て貰ってね!』 と記されてあった。 慎重に手に取ってエクスを呼び出す。



「…………もしもし。」

『その声はテツロウか!? ラドラはどうなった!!?』

「……ひとまず安心してください。彼には何とか勝ちました。部屋の中で人形にされた人達も無事に保護しています。」

『……そうか。よくやってくれた。

お前なら出来ると信じていたぞ。 ならラドラの身柄を持って戻って来い。』

「…………………すみませんが ラドラの身柄(・・)はありません。」 『?』


「ラドラはラドラでは無かったんです(・・・・・・・)。」

『何だと!!!? 一体どういうことだ!!!?』

「詳しい事はそっちに戻ってから話します。それから僕の力ではそっちに戻れそうにないのでこの水晶の反応をたどって迎えを出して欲しいんですが」

『わ、分かった すぐに手配する。』

「それから一つお願いしたい事があるんです。」 『?』


「僕とエクスさんと あと水晶からノアさんを呼び出して話したい事があるんです。僕の質問に正直に答えて下さい。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ