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異世界に適応する少年  作者: Yuukiaway
ラドラ寮 全面衝突 編 第二幕
126/422

#126 The Overture of catastrophe Part1 ~Face of Fake~

ドカァン!!!!! 「!!!!!」


けたたましい音を立ててラドラの身体は反対側の壁へと激突した。それを確認すると哲郎はたまらず膝を付いた。

今の攻撃で自分の中の体力を全て使い果たしてしまった。


(…………お願いだ もう終わってくれ……………………!!!!)


息を切らしながらぼやける視界で目の前の土煙の中に期待するのは敗北したラドラの姿 ただ一つだ。



「………!!!!」


しかし哲郎の眼は土煙の中に人影が揺らぐのを確認した。その瞬間に自分の事実上の敗北が決定した。


(…………ここまで来たのにダメなのか……………!!!!!)


哲郎は地面を拳で打ちたい衝動に駆られた。

そんな彼を見下ろすかのように土煙の中の人影(・・)が口を開く。


「━━━━━━━━━あーあ、これ(・・) 結構お気に入り(・・・・・)だったんだけどなー。」

「!!!!?」



土煙の中から聞こえてきたのはラドラとは違う少女の声(・・・・)だった。


「まー とりやえずおめでとう。マキム・ナーダ君。君の勝ちだよ。」

「………………!?!?!」


土煙の中から出てきたのはラドラではなく哲郎と同年代の派手な格好をした少女だった。

金髪を頭の上で二つに結わえ、左目に眼帯を付け、身の丈程の巨大な傘を手に持っている。


そして最も異様だったのはもう一方の手にラドラの生首(・・・・・・)を持っている事だった。


「『あれ? 何こいつ? 何でラドラの生首持ってんの?』って顔してるね?」

「…………………………?!!!」


哲郎は目の前で起こっている異様な光景に圧倒されていた。しかし冷静さを取り戻して一つの違和感(・・・・・・)に気が付く。


「…………そういう事ですか…………………。」

「アレ? もう分かっちゃった?」

「ええ。あなたが手に持ってるその首から全く血が出ていない!つまり、それは精巧に作られた人形であなたがそれに入って《ラドラ・マリオネス》という全くの架空の人物をでっち上げてこの学園に悪さをしようとしていたと言う事でしょう!!!?」


体力が回復せず、未だに立ち上がれない中で哲郎は辛うじての啖呵を切った。目の前の少女はそれを涼しい顔で聞いている。


「んー ちょっと違うね〜

65点ってとこかなー?」 「?」

「ラドラはね、ちゃんと実在する人間だよ?ボクがそいつに成り代わってたの!」「???」


目の前の少女の話を聞けば聞くほど頭の中が混乱する。てんで少女の言葉の真意が掴めない。


「あーあ、後ちょっとでこの学校の連中全員人形に変えてあの人(・・・)に使ってもらおうと思ってたのになー。」


ラドラ(の人形)の生首を地面に転がして頭の後ろで手を組みながらわざとらしく残念がる。その様子すら哲郎の事を嘲ているように見えた。


その事を隅にやって少女から手掛かりを引き出す為に口を開く。


「………ラドラは、本物の《ラドラ・マリオネス》は何処です……………!!?」

「あー、あいつなら【封印】させて貰ってるよー?」 「!!」


悪びれる様子もなく平然と呟いた。


「心配しなくてもボクの正体なら教えてあげるよ!だからちゃんと話を聞く姿勢を取ってね?」

「?


!!!??」


少女の言葉の意味が分からずにいると哲郎の身体は後ろから強烈な力で引っ張られた。


(………………!!!

これは糸か……………!!!)


ダンッ!!! 「ガハッ」


糸に引っ張られていると気づいた時には既に反対側の壁まで引っ張られ、そのまま磔になった。


首と両腕に糸が掛けられているのが危険だと理解した哲郎は逃れようと必死にもがく。しかしそれでも糸が緩むことは無かった。

そこに少女が歩を進める。


「そんなに慌てなくても大丈夫だよ?別に今の君をどうこうするつもりなんて無いよ?

言ったでしょ? ボクの正体を教えてあげるって。」

「そんな言葉を信用するとでも思ってるんですか!!!?」

「なーんだ 案外捻くれてるねー。」


哲郎に向かって少女は煽るような視線を送る。


「じゃあさ、一つ質問に答えてよ!」

「???」


「ボクの人形魔法さ、【魔法】にしては出来る事が多すぎる(・・・・・・・・・)と思わなかった?

君みたいに(・・・・・)。」

「………………………………………………………………?


!!!!! ま、まさか……………………!!!!!」


哲郎の頭の中に一つの可能性が浮かんだ。

人形化に藁人形、くるみ割り人形に式神の人形(ヒトガタ)、そして極めつけには自分を操り人形に変える奥の手まで使って来た。


哲郎はその全てをワードのように魔法式を改造した魔法だと結論付けていた。

しかしそうでないなら残された可能性は一つしかない。


「分かったみたいだね? 田中哲郎(・・・・)君?

そ! ボクの名前は《姫塚(ひめづか)里香(りか)》。君と同じ【転生者】だよ!」

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