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魔女と魔法使いの子孫

時の魔女の独白

作者: 深謙 琢磨

以前に投稿した「氷華の涙」の番外あるいはエピローグに当たるお話です。

そちらの読了後に読むことをお勧めします。

皆様、ごきげんよう。

私の名前はロゼリア·ミルキーウェイ。

この国、スナイト王国王太子妃であり、

《時の魔女》の名を拝命されておりますの。


さて、今日は嬉しい嬉しい祝福すべき日なのです!!!

あら、つい興奮してしまったわ。

いや、でもしょうがないとも思うのよ。

だって、かわいいかわいいシヴァルが私の実家コリュアーテ公爵家の養子になったの。

つ、ま、り、私の義妹に………!

最後に会った、6年前でさえ「時の魔女様ー」とか「ロゼ様ー」って呼ばれる度にかわいすぎて悶え死にそうだったのに、今度はお義姉さま呼び!!!!!??


はぁ、はぁ。


ふぅ、一回落ち着きましょう。

王太子妃たる者、常に冷静沈着であらねば。


さてと。

どこから話しましょうか?



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


私達四人、シヴァルとルイシス、私と今では私の夫のクリタールは幼馴染みでした。

当時すでに私は《時の魔女》の名を拝命されていましたし、クリタールの婚約者でしたから毎日王城で遊んでいました。

シヴァルも正式ではありませんでしたが、ルイシスの婚約者筆頭候補でしたしね。



それが激変してしまったのは私達夫婦が15歳であの二人が11歳になる年でした。

ルイシス達の正式な婚約が一年後に決まって1ヶ月後位にシヴァルが魔女として覚醒したのです。

魔女ということ事態は問題無かったのです。

私は時間を操る魔女ですし、ルイシスも幻影や幻聴など幻を操る精神干渉の魔法使いですからね。



……ただ、シヴァルの血に対して能力がおかしかっただけ。

炎と氷は真逆ですから、国家機密である魔女と魔法使いの情報の検閲権を持つ少数の人々は疑った、シヴァルの母の貞操を。


一番辛かったのはシヴァルのお母様でしょうね。

実際に心労が祟って2年後に亡くなってしまいましたし。


アルフリィ家の当主はこれで狂ったのだと思います。

かといって同情はしませんが。


あの家はとても家族仲がもともと良かったから、

おしどり夫婦だったから。

だからこその狂い方。


信じたくて信じたくて、信じられなくて。

だから疑いの原因を隠そうとした。

軟禁という形で。

そしてほぼほぼ結婚したら接点がなくなるだろうと思われる政略結婚の相手を作って。


シヴァルの妹は狂いはしなかった。

なぜなら国家機密を知ることが出来ないから。

事態が分からなかった。


シヴァルは覚醒し魔女の名を拝命してから軟禁された。

アルフリィ家の魔法に関する本が眠る塔に。


魔女に課せられる務め(王命)は行っていたけれど、私たちの魔法は関係性が無かった上に強力な魔法だったから同じ務めを行うことがなかった。



結果、あの事件が起きるまで私たちが会うことは無かった。

会うことが一切できなかったからこそ、あの事件が起きたと言えるかもしれない。



私が事件を知ったのはパーティーの行われた翌日だった。

パーティーの出席者の家の者から王城に連絡が入ったのだ。


主人がアルフリィ家のパーティーから帰ってこないのでアルフリィ家に行ったらアルフリィ家の屋敷が凍りついている、と。


原因は知る者ならすぐに分かる。

この国にいる魔女と魔法使いでそんなことができるのは

《氷と癒しの魔女》シヴァレリーナ・アルフリィしかいないのだから。



氷に対する炎の魔法を持つ者はいないので、

魔法ごと時を戻せば良いと私が行くことになったのです。



行って…………絶句した。

シヴァルは屋敷ごと氷に閉じ込めた訳ではなかった。


屋敷ごと、時さえも、凍らせていた。




時は私の専売特許だから、屋敷と人々を元に戻せた。



……シヴァル以外は。



彼女自身は彼女の領域だ。

どうやっても、彼女の身体の周りの氷は溶けても、彼女の身体と魂の時が凍りついているのは溶かせなかった。



何か異変が起きたときのために王城の一室、封魔石に四方を囲まれたベッドの上でシヴァルは寝かされ、こんこんと眠り続けた一年間も。



そして、一年間ルイシスは精神干渉の魔法を使ってシヴァルの精神に語り続けた。





~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



シヴァルが目覚めたときは大変だったわね。



ルイシスがシヴァルから離れなくて、仕事はしないわ、シヴァルが医者にかかれないわ、で。



7年間、シヴァルに会えなかったせいで恋心が愛に、愛から執着心に完璧変わってるわよね。


まあ、シヴァルもルイシスのことを憎からず思っているみたいだし、

シヴァルが幸せならいいでしょう。



ルイシスは何かシヴァルをいじめたアルフリィ家に幻影と幻聴で嫌がらせしているみたいだし…はぁ。




「ロゼ、シヴァルとルイシスが来たよ!」


「あっ、クリタール。

 今行くわ。」




そういえば、アルフリィ家の屋敷を戻したときに地の記憶を見たのだけれど

アルフリィ家は知らなかったようね。



4代前に万の魔法使いの子孫である王族の姫様が嫁いできているし、

何よりアルフリィ家の始祖である炎の魔法使い様の妻は氷の魔女様なのだけれど………




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