老婆の依頼④
3人は事務所に戻った。家具スペースを越えて扉を開けるとそのスペースと同じくらいのバックヤードがある。それが実際の仕事場だ。
「ふーちゃん、どう?依頼受ける?」
「まぁあのお婆ちゃん、嘘はないね。あと身なりも問題ないし、考えもしっかりしてそうだから大丈夫だと思うよ」
「直哉は?」
「代表の仰せの通りに」
いつもの返答だ。
今回の依頼人小谷佳子は30年前ひとり娘を失った。その後、飯島を死刑にすべく最高裁まで争ったが無期懲役は覆らなかったようだ。昨年旦那を亡くし、どうしてもこの世の未練を果たしたいようだ。飯島は無期懲役で服役していたが、仮釈放となる予定だ。無期懲役で仮釈放となる確率は25%だからよほどの模範囚だったのだろう。仮釈放となったおかげで私たちに仕事が回ってきたのだから文句の一つもないのだが。
「よし、受けよう!」
「オッケー、今回は何で殺す?」
直哉がいつもように威勢良く私に質問する。
「薬で寝かせ、絞殺にしよう。最悪の場合レフチェンコピストルを使う。最悪の場合だが」
銃殺を私たちは嫌う。殺すのは楽だが、隠すのが難しい。レフチェンコピストルはサイレント拳銃で旧ソ連式だ。使い勝手が良いが、弾痕が残ると殺人を警察に疑われるので極力使用は避けている。直哉も銃殺は血痕の他に弾痕を隠すのが大変のようで、ピンチの時だけにしてほしいというのが私たちの暗黙の了解になっている。




