老婆の依頼③
小島は何か感じるところがあったようだ。
「私はね、娘は交際していたとは思えないのよ。どう考えても付きまとわれてた。1人娘でね、殺害された日、主人も私も旅行に出てて、その日を狙われたんだと思うの。もう30年もずっと後悔してる。お願いですから、飯島を殺していただけないでしょうか。費用なら幾らでも出しますから」
小島は柔らかい笑みで小谷に優しく告げた。
「ありがとうございます。ではご依頼をお受けするかどうか弊社に戻り、代表と相談をします。明日の正午にご返答いたします。もし弊社でご依頼を承る際、手付金1000万、成功報酬2000万頂くことになります。恐れ入りますがご依頼人様の支払余力につきましてもご依頼を受けるかどうかの判断材料とさせていただきますのでご了承くださいませ」
小島はそう告げてその場を後にした。
私と直哉も小谷が立ち去るのを確認し、事務所に戻った。この順番は10年前から決めてたルーティンだ。依頼人が万が一小島を尾行し、事務所を特定されたら大変だからだ。
依頼を受けるかどうかはまず小島の判断だ。基本的に私たち2人はそれに従うのみ。小島が嘘を付いていたらどうするかって?そんなことは考えない。なぜなら小島はもっとも嘘を嫌う男だからだ。




