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異世界無人島で俺は漂流者達とハーレムサバイバル  作者: りょう
第1章異世界からの漂流者達
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第7話勇者と魔王と人間と

 仲間が増えたところで、改めて拠点作り開始。とはいえ、先程も言った通りまず動画を作る必要があるので、素材集めグループと拠点の設計組に別れて行動する事になった。

 それで、俺は素材集めグループの方につき、連れ添いに選んだのは、


「何で我が勇者と共に行動せねばならんのだ」


「ボクだって不本意だけど、協力しないといけないからね。仕方なくだけど」


「やはり主とは決着する必要があるようじゃな!」


「いいよ、負けないよ!」


「大人しくできないのかお前達は」


 この二人。俺の目が届かないところで、島を壊しかねない喧嘩をされても困るので、俺が二人を見張る形で連れて行く事にした。

 言わば子守というやつだ。


「おい人間、貴様今失礼な事を言わなかったか?」


「俺は翼だ。魔王の癖に名前も覚えられないのか」


「人間の名など覚える必要はない。それよりも我は歩き疲れた。おぶってくれ」


「だそうだぞ、ポロ」


「何でボクに振るの?!」


「ええい、ポロ。貴様でもいいから我をおぶってくれ」


「何で!?」


 けど最初は本当に戦いを始めそうなくらい、険悪そうだった二人だったが、それは最初くらいで、意外と和気藹々(違うかもしれないが)としていた。


(喧嘩するほど何とやら、か)


 意外と勇者と魔王って仲が良かったりするのだろうか。


「それでこれからボク達はどこへ向かうの?」


「木材は拠点周辺に沢山あるから、斧を作る為に石とかが落ちてそうな場所かな」


「すごく大雑把じゃのう。あの様な木くらい我の魔法で切れるというのに」


「それだと島が吹き飛かねないからやめてくれ」


 一応道具の設計図としては、持ち手の部分を丈夫な木で作って、物を切ったりする部分は硬い石などをうまく加工してその二つを合わせる形だ。

 その辺りの知識は、よく遊んだゲームから持ってきているのだが、それが実際に形にできる自信はない。


「ねえねえ、ツバサはボク達と違って、普通の人間なの?」


「何だよ突然。まあ、他の五人と比べれば普通の人間かな。魔法とか使えないし」


「いいなぁ。ボクも普通の人間に生まれたかったよ」


「そんなに羨ましいことか?」


「ボク達からしたら羨ましい事だよ。だって、こんな役目だから普通の生活もできないし、こんな場所に来なければ多分ずっと戦いに明け暮れていたから」


「そっか。ポロは勇者なんだもんな」


 俺は少しだけ自分と彼女を重ね合わせる。彼女の勇者としての生活は、俺なんかの束縛よりもだいぶ違うかもしれないが、彼女も心の中では俺と同じく自由に生きたいと思っていたのだろう。

 こんな魔王と子供喧嘩を続けるかよりは、今みたいに戦いも忘れて生きる方が、彼女の望む生きた方なのだろう。


「また失礼な事を考えたか? 貴様」


「気のせいだ気のせい」


 勇者と魔王を連れた素材探しは続く。


 ◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎

 石材などの素材を集めは、途中で森を抜けて海岸に出てきてしまっていた。ユフィと出会ってすぐに森に入ってしまったので、こうして海を見るのは一日ぶりだ。


「ツバサ、この一面に広がっているのが海?」


「そうだよ。ここの海は見た感じ綺麗そうだし、潜ってみたら案外楽しそうかもな」


「じゃあ今から泳いでくるね!」


「あ、おい、ちょっと待て、石材集めが」


 優先という前に、ポロは数秒で服を全て脱ぎ、下着姿で海へと入ってしまっていった。


「全く、ポロはまだまだ子供じゃな」


「そういう台詞は、自分の姿をよく見てから言えよな」


 音も立てずに既に服を脱ぎ捨てていたチビィに俺は思わずツッコミを入れてしまう。まあ、子供だし泳ぎたい気持ちは分からなくもないが……。


「ポロよ! 今日は水中対決といこうではないか!」


「いいよ、かかって来なよ。容赦はしないよ!」


 その子供が勇者と魔王だと思うと、何とも共感しずらい。二人は水中対決という名目の、息止め対決を勝手に始めてしまったので、俺は二人から離れない程度の範囲で素材集めをした。


(持てる量にも限界があるし、何回かに分けて集める必要があるな)


 俺は拾い集めながら今後のスケジュールを考える。定期的に素材集めも必要になってくるだろうし、食材も人数が多くなったので、また集めなければならない。

 そういう意味ではまず優先的に作るべきなのは、寝る場所と簡易的な倉庫からだろうか。最悪雨風はあの洞窟でしのげるだろうし、まずはそれを優先して作るべきだろう。


「おーい二人とも、素材が集まったし、一旦拠点に」


 結論がついたところで、二人が遊んでいた方に振り返るが、その場所は恐ろしいほどに静かだった。まるで二人が遊んでいた事が嘘だったかの様に、ただ静粛だけがそこには広がっていた。


「ポロ? チビィ?」


 二人の姿を探すが、見当たらない。俺はまさかと思い、一度素材をその場に置いて、海へとダイブした。


「ポロ、チビィ! どこだ返事しろ!」


 二人が遊んでいた場所まで泳ぐが、気配がない。俺は意を決して水中に潜る。するとそこで俺を待っていたのは、


「ぶ、ぶばば(つ、ツバサ)」


「ば、ばばぶべ(た、助けて)」


 イカかタコか分からないモンスターに捕まっている二人の姿があった。


(しまった、勇者の剣は拠点か)


 何故抵抗しないのかと思ったが、そもそもポロは今剣を持っていない。なら、チビィはと思ったが、彼女は先ほどの一言を最後に気を失っていた。


(まさかコイツ……)


 魔王なのにカナヅチなのか?


 それなのによくそんな対決を自ら提案したな。


(って、今はそんな事考えている場合じゃない!)


 二人をなんとかして助けないと。

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