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異世界無人島で俺は漂流者達とハーレムサバイバル  作者: りょう
第1章異世界からの漂流者達
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第11話修羅場・克服・初体験

 一夜明けて。


「私はカグラ。ここにいるツバサ君とは昨日契約を交わしたの。よろしくね!」


「してないからな! 勝手な事言うなよ!」


 新たにカグラも仲間になったということで、自己紹介をさせたのだが、案の定とても面倒くさい事になった。


「あなたは確か昨日、ツバサさん達を運んで来てくれた人ですよね」


「ええ」


「その節はお世話になりました。ただ、その契約というのはどういう事ですか?」


「私とツバサ君は昨晩、一夜を共にしたの」


「なっ?!」


「え?」


 しかも彼女の言動一つ一つが、非常に誤解を招きやすいものばかりで、


「どういう事ですかツバサさん! 昨日は夜遅くまで何をしているのかと思えば、そんな事をしていたとは、許せません!」


「待てユフィ、どう考えてもおかしいって何で気づかないんだ」


「ユフィ様、やはり男と行動するのはやめましょう。ユフィ様の身に何か起きてしまったら、手遅れです」


「起きない! 絶対に起こさないから、まずは話を聞いてくれ!」


 これが俗に言う修羅場というものなのだろう。わずか三日でそれを味わう事になろうとは、とんだ爆弾が投下されてしまったようだ。


 そんな苦い経験をした後、ようやく全員に昨晩の事を説明。ちなみにカグラが言っていた一夜を共にしたというのは、全くのデタラメで、俺はこの夜も全く眠れなかった。


「じゃあカグラさんは、人間ではないという事ですか?」


「まあそういう事になるかな。こうして人の姿はしているけど、元は刀だし」


「色々な世界の方とお会いした事はありますけど、そういう方にお会いしたのは初めてです、私」


 何はともあれ、昨日いなくなったチビィの代わりに、刀に宿った人の形をした魂であるカグラが仲間入り。拠点の仲間は再び六人になったところで、無人島生活は三日目を迎えた。


「それにしても一晩でここまで完成させるとは、流石ツバサさんですね」


「とは言っても、まだまだ完成には遠いけどな」


 まずは昨晩の成果として、拠点の完成具合を披露。昨夜の時点で、全員が揃って食事を取れるテーブルと椅子。土の上での生活を終わらせる為に作った木製の床。

 昨日の短い時間で、ここまで作り終わり、今日は可能であればそこに屋根をつけようと考えている。ただ屋根をつけるにあたって、まずは安全のための足場と骨組みを作らなければならないので、今日の完成は少し難しいかもしれない。


 その辺りのことを説明し、今日の役割をそれぞれに伝える。


「拠点作りと食材および資材集め、そして今日はもう一つグループを作ろうと思うんだ」


「分かった、島の探索だね。それならボクがやりたい!」


 俺が言う前にポロが乗り出してくる。まあ彼女は勇者なので、そこには異論はない。


「じゃあアタシがポロについて行っていい? 島の探索してみたいしさ」


「キャトラが? 別にいいけど」


 もう一人名乗り出たのがキャトラだった。本当は彼女には拠点づくりを任せて、俺が向かおうと思っていたけど、それならそれで構わない。


「じゃあ私とユズが食材集め?」


「いや、今日はカグラとユフィの二人で行ってくれないか」


「なっ、どうして私が男などと一緒に」


「それを治す為にだよ」


 そうとなれば少々予定を早めて、ユズと二人で拠点作りをする事にする。彼女が明らかに俺を避けているのは分かりきっているので、それを克服させる為にもいつかは二人きりにならなければならないと思っていた。


「ツバサさん、よろしいのですか? ユズの男嫌いは簡単には治るとは思いませんが」


「すぐに治るとは思っていないよ。だから時間をかける」


「分かりました。私はカグラさんと行動すればいいのですね。色々聞きたいことがあったので丁度良かったです」


「ユフィ様まで!」


「いいじゃないですか。これから先私達はしばらく衣食住を共にするのですから、いい機会だと思って克服しましょうよ」


「ユフィ様がそこまで言うなら……」


 嫌々ユズは拠点に残る。これで無事グループ分けも完了。


「じゃあ夕暮れ前までには全員戻ってくるように。あと何か起きたら、すぐに報告しろよ。解散」


 それぞれのグループが別々の道で森の中に入っていく。そして残ったのは、俺とユズのみ。


「さあ、作業始めるか」


「気安く話しかけないでください」


「いきなり手厳しいな!」


 ■□■□■□

 作業を開始してから一時間ほど、俺とユズの間に会話はなかった。なかったというよりは、俺が話しかけても彼女は何も答えないので、会話が一方通行になっているだけなのだが。


「よく懲りずに話しかけられますよね。こちらはわざと無視してるのに」


「別にいいだろ。お前が少しでも心を開いてくれるなら」


「それは絶対ないと思います」


 ようやく彼女が話しかけてきたかと思えば、そう断言される。そしてまた沈黙が続く。


(これじゃあ何の意味ないよな、多分)


 ユフィの前で大見得切ったくせに、何もできなかったらそれは男としてとても情けない。だが、どうにかできる方法も思いつかず、ただ時間だけが過ぎていく。


 だがその沈黙を破ったのは、突然起きた地震だった。


「ツバサ、なんか揺れていませんか」


「地震か?」


 俺は一度作業の手を止める。だがそれが良くなかったらしく、揺れによって、骨組みの一部か外れて、ユズ目掛けて倒れてきたのだ。


「え?」


「ユズ、危ない!」


 俺は咄嗟にユズを庇った。背中に強烈な痛みが走る。


「ちょっと、ツバサあなた何をして」


「お前が怪我をしたらユフィに怒られるだろ?」


「で、でももツバサが怪我をしたら」


「こんなの何ともないって」


 これ以上落ちてくるものがないことを確認した俺は、ユズから離れる。すると彼女は何故か顔を真っ赤にしていて、


「わ、私の初めてが……」


 意味不明な事を言いながら、そのまま気絶した。


「何で?!」


 その一連の出来事に俺は思わずツッコミを入れてしまったのであった。

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