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異世界無人島で俺は漂流者達とハーレムサバイバル  作者: りょう
第1章異世界からの漂流者達
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第1話得た自由はサバイバル

 何にも束縛されずに自由に生きたい


 俺、冴島翼(さえじまつばさ)は若干十八歳にしてそんな事を願った


 別に素行不良の悪い人間とかではなく、むしろ学校は皆勤賞を取るくらい真面目な人間だった。

 ただ、真面目に生きすぎたのだ

 真面目に生きすぎた故に、俺は高校生を卒業した春に、自由になろうと願ったのだ。


 そしてその願いが何故かどこかの神様に届いたらしく、


『じゃあボクが叶えてあげるよ君の願い』


 夜中に突然現れて、そんな事を囁いてきたのだ。そしてその声が聞こえてわずか数秒の事、俺はこの世の人間ではなくなった。

 別に死んだわけではない。体はそのままだ。


「それで願いを叶えるって、具体的にはどうしてくれるんだよ」


「だから、君を自由に生きれる異世界に連れて行ってあげるって言っているの」


 ただ、普通じゃないのは今俺の目の前に自称神様と名乗る男だから女だか分からない神様が立っている以外は、全て正常だった。


「ボクはこれでもれっきとした女の子だよ。こんなんだけど」


「自分でこんなのとか言うんだな。あと勝手に人の心を読むな」


 俺の物語の全てははここから始まる。


 ■□■□■□

「それで異世界って言ったっけ? 本当に連れて行ってくれるのか?」


「勿論だよ。その為にこの場所に君を呼んだんだから」


 この場所というのが真っ白い何もない空間。そこで俺は、この自称神様と向かい合って立っている。


「でも本当に異世界で自由に暮らせるのか? ほら、そういうのって何かと束縛されがちだし」


「その点も大丈夫だよ。自由に生きたい君にピッタリの異世界に連れて行ってあげる」


「そこまで言うなら、信じるけど」


 とは言ってもあまりに突然の話だったので、俺は困惑している。幸いなことに俺は一人暮らしなので、居なくなったことにすぐ気づかれる事はないが、現世に未練がないと言えば嘘になる。


「なあ、やっぱり異世界に転移するのは」


「じゃあ信じてくれた事だし、早速だけどご案内するね」


「おい、話を」


「それじゃあ、行ってらっしゃーい」


「だから俺はまだ何も」


 了承していないと言う前に、神様は俺の目の前からふっと消えて、俺は一瞬の内に真っ白い空間から別の場所に移動させられていた。

 俺が神様に勝手に転移させられた場所、そこは……。


「なっ、ちょっ、ここ、ごほ」


 小説とかに出てくる都市とか、そういう場所ではなく至ってシンプルな海の上。正確に言うなら海の中だった。

 突然海に投げ出された俺は、溺れそうになりながらも、何とか体を浮かせようとするが、そこでようやく足が付く場所にいる事に気がつく。


「あの自称神様、滅茶苦茶なことを」


 俺は立ち上がり周囲を見回す。すると少し先にかなり大きな島を発見した。どうやら俺を転移させたかった場所は、あの島と思われるが、あれと自由に生きる事と何が繋がっているのだろうか。


(とりあえず上陸するか)


 俺は濡れた服をそのままに、島へと足を踏み入れる。見た感じ、異世界とかそういうのには程遠い、日本にも普通にありそうな島だ。一番目立つのはこの島の象徴なのか、大きな山がある。

 それ以外にはほとんど木に囲まれていて、到底人が住んでいなさそうな島だった。


(まだ探索して見ないと分からないけど、この木の多さからして人が住むのって、難しいよな)


 何というかこういう島って一言で言い表すなら、


 "無人島"


 一昔前までよくテレビで無人島のサバイバル生活とかやっていたのをよく見ていたので、この島はそれに近いものだった。

 それを象徴するかのように、先場から俺の耳に届くのは波の音と、聞いたことがない動物の声。それ以外の音は全く聞こえてこなかった。


(なるほど無人島か……)


 ようやく今自分が置かれている現状を理解し始めた俺は、ここで改めてあの神様が話していた事を振り返る。


 束縛もなく自由に生きたい、今の俺のピッタリの場所。


 その答えは無人島生活。確かに条件は遠からず合っている。合ってはいるが、


「自由に生きる以前の問題だろこれ!」


 まず生きる事が安定しない時点で、話が違うじゃないですか神様。


「こんなんだったら、自由に生きたいとか考えるんじゃなかった……」


 日差しに照らされた砂浜に膝をつき、俺はうなだれる。無人島で"サバイバル"生活という時点で、そもそも自由からかけ離れている。それをあの神様は理解しているのだろうか。


(分かってたらこんな事しないよな……)


 ああ、この先の人生どうしよう。


「アノー」


「何だよ! 俺は今誰とも話したくないんだ!」


「アナタモココにナガレツイタのですか?」


「そうだよ! 俺もあんたと同じで……え?」


 俺は顔を上げる。そこには俺と同じくらいの歳の女性が、こちらを不思議そうな顔で見つめていた。


「ヨカッタ! ナカマがイマシタ!」


 笑顔になる女性。俺は一瞬何が起きたのか分からなかったが、ようやく今起きていることと頭の理解が追いついた。


「いたー!」


 そして俺は叫んだ。無人島だと思っていたこの島に、人がいた。絶望するのは早かったんだ。


「よかった、人が居た! 人がいた!」


「お、オオゴエ出さないでクダサイ」


「だ、だって人がいたんだよ! 俺と一緒でこの島に流れ着いた人が……あれ?」


 だけどその希望もすぐに消える。俺は先ほど彼女が言った言葉、「あなたもここに流れ着いた」を。それによく聞くと、彼女の言語がどうもおかしい。

 俺の耳には彼女の言葉が全て片言として届いていた。


「君はここの島に住んでいた人?」


「チガイマス。ワタシはカミサマにイワレテ」


「オーマイゴッド!」


 仲間は仲間でも、俺と同じサバイバル仲間が増えただけでした。


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