第38回 英語の不思議
英語の名詞の単数形には、頭に「a」か、「an」というのを付けますよね。
anを付けるのは、名詞が母音で始まる場合です。
母音というのは、「あ」「い」「う」「え」「お」という、5文字の事です。
例えば、アップル(リンゴ)だったら、母音の「あ」で始まっていますから、単数形は「an」を付ける事になり、
an apple
となるわけです。
ここで、不思議なのは、英語圏の人が、「あいうえお」が母音であることを、知っている、という事です。
日本人なら、かなの一覧の一番初めに、「あいうえお」があるので、これらが特別な意味を持っている事が分かりやすいのですが、英語圏の人は、アルファベットの中に、「あいうえお」に相当する「aiueo」があるものの、これらのアルファベットは、単語の綴りによって読みが変化するので、必ずしも「あいうえお」と同じ意味では用いる事ができないという問題点があります。
例えば、「大学」の英語の綴りはuniversityで、単語の冒頭の文字は「u」ですが、発音は「ユニバーシティー」で、冒頭の発音は「ゆ」なので、母音ではないという事になり、従って、単数形は、
a university
になります。
これが、「叔父」だと、綴りはuncleで、読みは「アンクル」なので、冒頭の発音は母音と見なされ、単数形は、
an uncle
となるのです。
つまり、英語圏の人は、「あいうえお」の存在は知っていながら、それに正確に当てはまる文字を持たないために、発音から推測して、「a」を付けるか、「an」を付けるか、決めなければいけないという、何とも面倒くさい事を、文章を書いたり会話したりする時に行なっているのです。
でも、英語圏の人は本当に、「あいうえお」という形で、母音を把握しているのでしょうか?
発音記号を見ると、「あいうえお」にしても、この5種類だけでなく、色々あるようなので、もしかしたら、母音という概念が、日本人とは異なるのかもしれません。
一度、英語圏の人に、「母音を言ってみて下さい」と、お願いしてみたいですね。




