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第2回 〝かっこいい二字熟語〟はかっこよくない?

二字熟語にじじゅくごとは、漢字二字で表わされる言葉のことで、私たちが普段何気なく使っている漢字二字の言葉は、全て二字熟語に属します。

(上記の文章の、「熟語」「漢字」「言葉」「普段」などの事です。)


二字熟語には、名詞や形容詞など、膨大な種類があるので、文章を書くときに、言いたいことを表わすのにたいへん重宝します。


特に、響きや語呂ごろの良い、いわゆるかっこいい二字熟語は、小説で好んで用いる書き手も多いのではないでしょうか。


豪奢ごうしゃ」「壮麗そうれい」「幽玄ゆうげん」「讃嘆さんたん」など、最小の表現の中に、奥深い意味が込められているように、一見感じられますからね。


でも、こういった二字熟語を多用した文章が、期待通り奥深い文章になるかというと、必ずしもそうはならないどころか、かえって書き手の語彙ごい不足のように読み手に感じさせたり、読み手の想像力を制限するマイナスの効果を発揮してしまう事があります。


上記のかっこいい二字熟語を使って例文を示すと、


「その豪奢な邸宅の応接間は極めて壮麗であった。壁に掛けられた風景画は幽玄であった。私は主人に讃嘆の言葉を贈った。」


なんだか、読み方によっては、笑わそうとしている文章のようにさえ感じます。

しかし、立派な言葉を使っているはずなのに、どうして滑稽こっけいに感じるのでしょうか。

それは文章から、書き手が無理をして背伸びをしているような感じが表れているからだと思います。


書き手が本当に博識はくしきで、語彙も豊富であれば、これらの二字熟語を用いたとしても、さらに対象物の描写を増やすなどして、深みのある文章に仕上げる事が可能でしょう。

文章から滑稽さがにじんでしまうのは、書いている対象に関する知識やイメージがあまりないのに、こういうかっこいい二字熟語を用いて表現しようとしている書き手の背伸びを、読み手に感じ取られて、そのうそっぽさを見抜かれてしまうからだと思います。


では、博識でもなく、語彙も乏しい書き手は、どういう言葉でイメージを文章化すれば、読み手に自然だと感じてもらえるのでしょう。

答えは簡単です。書き手の身のたけに合った言葉だけを使って表現すればいいのです。


上記の例文を、試しにより簡単な語彙だけで書き直してみます。


「その立派な邸宅の応接間はとても華やかで堂々とした造りだった。壁に掛けられた風景画は静かなおもむきのあるものだった。私は主人にそれらを大いに褒めた。」


かっこいい二字熟語を好きなように使った方が、書く分には楽しくもあるのですが、読む分には、書き手の知識や技量に合わせた語彙を使ってくれた方が、すんなり、書き手の意図する情景が伝わって来て良いようです。



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