テレポーテーション時のテンション
書けてよかったです。まあ、書けないよりはっていう感じです。
朝起きると、なんか体調が悪かったので、二度寝して、二度寝から起きたら若干体調が良くなっていたけど、でもこうなんか寒気が取れなかったから、昼ごはんはdデリバリーでピザを頼んで、dTVで『バックトゥーザフューチャー』の1を観ながら、ピザ食べて、第三のビール飲んで、くしゃみしたら、
テレポーテーションした。
・・・、
ビィョー・・・、
見ると僕は家着の状態で片手に飲みかけのビール、片手にピザの切れ端を持って、雪吹き荒れる場所に座っていた。テレビを見ている体勢そのままで僕はテレポーテーションした。
みたいだった。
ビィョー・・・、
「・・・おおおおおおお!?」
僕は立ち上がり、あたりを見回した。暗い。僕の部屋も映画を観るために暗くしていたけど、でもそれとはこことは全く違うタイプの暗さだった。なんだろう・・・不安になる。不安になる暗さっていうのだろうか?すごい不安になる暗さ。
不安になる。すごい不安になる。
・・・ここはどこだっ!?
何だ?
何が起こったんだっ!?
ビィョーー、
あと風の音がうるさいし、顔に雪がバンバン当たってくるし、寒いし、まずそれだし、寒いしっ!!それに僕は裸足だし、一体、痛い、ここは、痛い、どこだ、イタイイタイ、なんで僕は、イタイイタイイタイ、どうしてこんなところに来て、いたいイタイイタイ。
立ち上がったら雪がバンバンと当たってくる。それに吹きすさぶ風の冷たさは本当に肌、例えば耳たぶとかが切れてるんじゃないかと思えた。
切れたんじゃないかと思えた。
落ちているんじゃないかと思えた。
一応見回したら落ちてはいなかったけど。
でも、
死ぬ。
このままでは、
死ぬ。
とにかく、屋根。
屋根があって、風を凌げて、暖かい場所。ここよりかはまだ暖かい場所。
いくら僕が東北県人とはいえ、無防備に雪の吹き荒ぶポイントに放り出されたら、もう当然といっていいけど、死にます。死にます間違いなく。凍死します。凍死。『八甲田山』凍死。凍死。
まず間違いなくトウシーするに決まっている。
トウシーしてしまうっ!?
『トウシ100%』
このままではトウシーしてしまいます。雪、雪を、雪をやめてください、あと風と、やめてくださいしんでしまいます。
レーイトウミーカンになってしまう。
人間なのに、レーイトウミーカンに、
なってしまうっ!?
トウシーしてレーイトウミーカンになってしまいますっ!?
僕は太もものあたりをすごい勢いで摩りながら辺りを見回した。
僕の太ももがもしも、駄菓子屋にあるあのこすったら煙が出るやつだったら、その時すごい煙が出ていたに違いない。
・・・それにしても無駄で余計で雑念が多かった。
いろいろと多かった。
でも、そうしないとダメだった。
だって、パニックになっていたから。
あと、なにも考えないときっと思考能力がどんどんなくなっていくんじゃないかと思えたから。
死ぬかもしれなかったから。
っていうか、
もうその段階で完全に詰んでいたけど。
詰んでいたけど。
全ゴマだったけど。
うん。
それだから僕はきっと『サムライ』のような潔い死に方はできなんだろうな・・・。
そんなことを考えて少し悲しくもなった。
・・・、
ん?
・・・、
ど、どど洞窟――――!!
僕はそこに向かった。急いで向かった。でももう足に感覚がなくて、うまく歩くことができない。それでもとにかく向かった。八甲田山は避けたい。その一心で向かった。
洞窟に何かいるとか、そういうことは一切考えなかった。
もしかしたら中にはとんでもない獣がいるかも知れない。でも、その時はそんなこと一切考えなかった。凍死かどうかの瀬戸際だったし、それに逆にドラキーとかがいたらいいなと考えていた。
だってほら、それだったら夢だと思えるでしょ?
・・・、
洞窟内は暗く、狭く、好奇心があおられるほどは深くなく、奥はすぐに行き止まりだった。あと防空壕とかでもなかった。だから骨とか頭蓋骨とかは転がっていなかった。んで、もちろんドラキーなどもいなかった。そういう現実だった。しかしそれでも吹き荒れる吹雪を喰らわなくなったのは間違いなく僕の寿命を伸ばしただろう。少しくらいは。希望は『てぶくろをかいに』の狐がすんでいたら、よかったということだ。居たらほっこりしたかもしれない。でも、これが現実だ。
ビィョー・・・、
洞窟内にすわり、一切まとまらない思考のまま僕は考え事を頭の中で再開させた。落ち着いてなんて居られないし、落ち着くまで待てば、きっと僕はここで死ぬ。レイトウシーエンドだ。
果たしてこれ、この状況で死ぬことがバッドエンドなのかは知らないし分からない。僕は未来を見れるわけじゃないし、自身の人生を他人と比較することも出来ない。だって他人は僕じゃない。どんな人生でもそれは僕の人生だ。他は存在しない。これしか無い。これ以外なんて無いのだ。
ビィョー・・・、
・・・たとえこのような惨状に見舞われていたとしてもだ。
それにどうせ死んだら楽になるんだし。
それにしてもどうして僕はいきなりテレポーテーションをしたんだろう?
確かに朝から体調は悪かった。二度寝しても寒気は取れなかった。だから外に出るのも億劫になって、dデリバリーしたのだ。コンボでdTVもした。
・・・ああ、そういえば、btf途中だったのにな・・・。
僕が一番好きな映画だ。それを人生最後に鑑賞したのだったとしたら、最後まで観たかったな・・・。
・・・いやいやまだ最後とは決まっていないけどね!!
でも・・・まあ、でも最後かな・・・。
・・・。
ここにテレポーテーションしたときに観ていた映画がbtfだった。
でもどこでテレポしたんだっけ?
僕は最後のbtfをどこまで観ていたんだっけ?
・・・、
確か・・・。
終盤、落雷、過去から現代へ、デロリアンが・・・、
・・・、
・・・もしかして、そのせいか?
・・・、
た、例えば、例えばの話。
例えばこんな想像はどうだろう?
・・・たまたま昨日の夜、生レバーが食べられなくなったことに対してフラストレーションが溜まっていた僕がスーパーで買った牛肉を焼かずに食べてそれで体調を崩して寝た。
そして、
たまたま、その間に僕に『テレポーテーション』の能力が発症した。発症といっても、それは潜伏期間みたいなものであり実際に『テレポート』が発現するスイッチはまた別、それはなんだかわからなかった。
でも、
そのスイッチがたまたま、たまたま『ピザを食べながら、第三のビールを飲みつつ見るbtfの例のシーン・・・時のテンションの急上昇』だったとしたら、
・・・どうだろう?
「・・・」
僕は立ち上がって寒さも雪も裸足も家着も気にしないで洞窟外の雪上に再び躍り出た。
ピザの切れ端と、第三のビールの缶を探すためにだ。再現したら帰れるかも知れない。そう思ったからだ。
もちろん、そんなこと、そんな想像、馬鹿げていると思うだろう?
でも、
考えてみて欲しい、一番馬鹿げている『テレポーテーション』を自身はしている。
それに比べたら、僕にとってはこの世に馬鹿げたことなど無いように思えたんだ。
それに、もう僕には他のことを考えるだけの余裕は、無い。
死ぬかここからテレポーテーションか、どちらかだ。
もしもテレポで生き残れば、また煩雑で貧乏な僕の元通りの生活を送ることになる。
もしも死ねば楽になる。
でも死んだらもうこんな事を経験することもなくなるだろう。
いきなり吹雪荒れ狂う一面雪の中に放り出されて、八甲田山になるか、ならないか?みたいなこんなこと経験できないだろう。
ふへへ。
雪の中にピザとビール缶を裸足で探しに駆け出した僕の姿は、人が見たらどう思うんだろうな。
「うひょー!さみー!」
ってなっている僕の姿。どう思われるんだろうな。
うへへ。
奇跡、
奇跡的に雪の中からピザ切れとつっめたい缶を見るけた僕は急いで洞窟の中に走って帰った。
そして洞窟の中に戻り、致命的なことを思い出した。
「・・・こ、ここにはbtfがないじゃないか・・・」
・・・死んだ。詰んだ。完全に詰んだ。トウシーだ・・・。
「・・・んぐぐ・・・」
それでも僕は冷凍ピザ切れを口に押し込み、冷凍第三のビールの欠片を自分の口の中に入れた。もう後戻りはできない。例えここまでであったとしても、もう後戻りはできない。ここはそういうところだ。
今、この場での行いに僕の人生は掛かっている。
だから最後の食事になるかもしれないそれらを噛みまくりながら、僕は頭の中で念じた。
レールガンのことを。
僕がbtfのあのシーンに思うのはいつも『レールガンみたいだ・・・』ということなんだ。
だからレールガンのことをすごい考えた。
実際のレールガンなんて僕は知らない。
一生関わりのないことだ。
僕は知っているのは主に『御坂さん』の事や、『バイオ3のラスボスを倒したあの場所』の事、だからそういう想像をした。すごいした。
もう足には感覚が無い。
手の指先にも無い。
もしかしたら既に壊死しているのかもしれない。
それでももう構わない。
今、この場で死ぬか生きるか?
もう、それだけだ。
・・・飛べ、
飛べ!
行けっ!!
「・・・ぶっ!」
まず最初に鼻血が出た。
「べバッ!!」
次に口血も出た。
ブチュ。
両耳からも血が噴き出した。
「・・・」
試しに触ってみると、やっぱり目からも血がたれていた。
両目から。
ドブドブと。
それでも僕はレールガンのことを考えることをやめなかった。
だって、
やめてどうなる?
だから、
なんでもいいんだ。
この場ではやめなければそれでいいんだ。
例え、ここで脳梗塞が起ころうが、鼓膜が破裂しようが、口から胃が出てこようが、鼻血が止まらなくなって脳みそが出てこようが、
もう構わない。
やめなければ、それで構わない。
飛べっ!!
飛べぇっ!!!
ジャn・・・、
その瞬間、僕の脳みそが一部『ジクリ・・・』ってなった。
そうして三度目の願掛けで僕の意識は遠のいた。
・・・、
そして、
次に目が覚めると僕は自分の家に帰っていた。
フローリングが血まみれになっていたけど、でもとにかく僕は帰っていた。
僕は子供の頃から、btfの映画が好きで何度も観ていた。ビデオ、あるいはDVDで、今はdTVでも観ることができる。それにテレビでやればテレビの奴も毎回観ていた。だってbtfは何度観ても面白かったから。
ちなみにかのレーガン元大統領もこの映画が好きだったそうだ。そうWikipediaに書いてあった。レールガンを想像した僕と、レールガンに似ているレーガン元大統領に関係があるかどうかはわからない。まあ、どうでもいいことだ。
でも今回のこの一件で僕はその映画が観れなくなってしまったんだ。
それがとても悲しかった。
テレポーテーションなんてしなくていいから、btfをちゃんと最後まで観せて欲しい。僕は本当に心からそう思った。
「こないだの傷大丈夫だった?一体どうしたの?」
「うん、大丈夫、ごめんね迷惑かけた、それに手当ありがとう」
「・・・まあ、無事だったからいいけど・・・」
でも、今日どうしても観たくなって僕は彼女を家に呼んだ。
「ねえ、映画観ない?」
「観る、何観るの?」
「btf」
「またあ~!」
またピザも取った。それに第三のビールもある。
そしている内にテレビの画面の中で『btf』の映画は始まった。
僕は口にピザを咥えて、第三のビールを飲みながら、片手に彼女の手を掴んでいた。
「・・・この手、何?」
「いや、別に・・・」
一人では辛いことでも、二人なら頑張れる。
君はなんていうのだろう?
それが知りたい。
今はそんなことを考えている。
最初は、テレポーテーション時のテンションとポーションにしようとしていましたが、ポーションはめんどいのでやめました。